holiday 第百八十一話 桜
後藤(分かってはいたが体は震えるわ冷や汗は止まらなないわですぐにこいつが何なのかがわかる)。
後藤(だからこそするべきこともわかる!)
マリアはカイの冷や汗を逃さない。
N「もらったわ!」
マリアが手刀をカイの脳天目掛けて放つ。
後藤「カイ君!無視しろ!」
その声でカイの動悸が収まる。
カイがその斬撃を躱したのだ。
カイ(後藤さん。信頼してますよ)。
ウィビラン「無視しろだと?そんなもん不可能だ」
カイ「大将さん。俺がここを駆け巡っていたのはなぜだと思う?」
ウィビラン「そんな質問なにになる」。
ウィビランが後藤を袈裟に切り裂いた。
その一撃は彼の胴を分けるのになんの隔たりもない。
ウィビランが血のついた扇子を払った時」
後藤「あまりにも綺麗な斬撃が仇となったな」
後藤は腰から下を失い口から血を流しながらも胸についていたボタンを押したのだ。
次の瞬間、セキュリティルームの外から凄まじい爆発音が轟いた。ウィビランの足がついていた階段全て爆ぜた。
階段は粉のように人を乗せるものではなくなりウィビランが最上階から落下する。
だが落ちる際のウィビランの顔は涼しい。
後藤(あとは...任せました)。
ウィビランは一階へと再び降りることになった。
その着地は直前まで心臓すら置き去りにされそうな落下を経験してすらないようなものだった。
ウィビラン「こんなもん稚拙ですらない」。
するとウィビランは扇子を頭の上に運び扇子を持たないもう一方の腕を指先を全て頭に向ける謎の構えを見せた。
次の瞬間、扇子が地面を何度も叩くかのような異様な音で回転し、ウィビランが足を地から浮かした。
だがウィビランは何かを思い出したかのように回転は消え地面に着地した。
ウィビラン(待てよ。奴らは今ので私が死んだとでも思ってるだろう)。
ウィビランの口角が耳に届くほどにニヤつく
(ならマリアを討ち倒した希望の中での私はより潰せるんじゃない?)
N「さっさと逝けよ」。
爪が再び指から飛び出した。
カイはその爪を竿で受けた。
それと同時にマリアがカイの真正面へ急接近する。
手刀がカイの脳天へ襲いかかる。
カイは咄嗟に竿で頭を防ごうとした瞬間、カイの肩から袈裟が飛んだ。
直勘から半身引くも斜め一文字に血飛沫が舞う。
カイ(いままで爪生やさなかったのはフェイントか)。
カイがバックステップをとりながら釣竿を振り回す。
マリアがそれを飄々と避け続ける。
ガラスが割れ、机の破片や埃も飛び散る。
N(太刀筋がなっていない。至近距離からさっさと殺す)。
(いや待て。いきなり攻撃が雑になるか?)
マリアがカイの目の前まで来た時、カイは懐から何かを抜く。
チャクラムだ。
チャクラムをマリアに向けて振り上げるもそれは爪により真っ二つとなる。
カイのフェイントが突破された。
N「ダメじゃないか。それが光るとか何重にも工夫しないと」。
「例えばこのように」
マリアが懐から何かを抜こうとする。
カイ(何かを光らすのか。なら目を塞げ!)
カイは目をコンマ数秒閉じたがそれに意味などなかった。
カイの肩が爪に貫かれた。
カイ(太い血管は避けた。爪を切ればまだ動かせる)。
N「あらら〜。毒入っちゃった」。
カイ「うるせぇぞ」。
カイ(動きに影響はない)。(俺を萎縮させる気か)。
カイが肩に突き刺さる爪を竿で落とす。
更にその竿は回転し、針が下からマリアを襲う。
マリアがそれをバックステップで制空圏から逃れる。
カイがそのマリアを追いかける。
マリアが瓶を取り出す。
N「石灰水。失明するわよ」。
液体をカイへけしかける。
カイがバックステップで液体から離れる。
カイ(バックステップじゃこれ以上逃げれねぇ)。
(だがこれじゃあ攻めれないのは奴も同じでは)。
その刹那マリアが液体にかかりながらもカイの前へ飛び出した。
そう、液体は石灰水ではなくただの水だったのだ。
マリア(馬鹿め。そのまま貫かれときな)。
爪がカイを突き刺そうとしたその時、
カイが地面を蹴った。
蹴った時に生じる風で床に寝そべる机の破片や埃が坂に登るかのようにマリアへと飛ぶ。
マリアが払い除けるたび再度破片が飛んでくる。
N(釣竿の雑さはこのためだったか)。
マリアが破片を掻い潜りカイを掴み掛かる。
カイ(今だ)。
カイの足が浮き両足でマリアを蹴り当てた。
N「当たらんし切るし」。
カイの脛が切られるもカイが宙を浮きセキュリティルームの周りを駆ける。
N(釣竿をロープウェイ代わりか。そんなもん針を落とせばいいもの)。
マリアが爪を飛ばし天井にかかる針を落とそうとする。
だがカイが途中で地面を着き蹴り上げ針の位置を変えたのだ。
N(奴からの攻撃が減っている。奴の思考はきっと..)
カイ(さっきから近接が弱くなってる)。
(それに不自然な軽口。何か隠しているのか..?)
その時カイの目にマリアの腹の傷が映った。
そこから出る血の量は明らか放置では済まされない程だった。
(もしかして..桃怪がつけた傷が効いたのか)。
(ならやることは一つ。失血を狙う!)
N(じゃあなんでわざわざ私が近接を挑むのかしら?)
釣竿で縦横無尽に駆けるカイの視界が揺らいだ。
針が滑り落ちた。
カイ(なんだこれは。まともじゃない)。
カイ「まさか本当に毒を入れていたのか」。
N(馬鹿ね。毒入った体で暴れちゃダメじゃない)。
その時、カイの口から血の塊が吐き出された。
そして宙ぶらりんからの落下が始まる。
カイ(この高さはダメだ。完全に戦闘不能となる)。
(どうすればいいのか)。
(...いやこれがある)。
次の瞬間、釣竿を足元に敷いた。
足場となった釣竿をカイが両足で蹴った。
釣竿とカイは地面へと叩きつけられた
今の動作により衝撃の減少は成功した。
カイ(物理の話聞いといてよかったわ)。
しかし決して無事ではない。
片足の骨は外れてしまっていた。
地べたに膝をついた。
カイ(大丈夫。まだ動ける)。
カイ「その毒って自分にも効くのか?」
マリアは自らを辿る血を跡にしそれに返答はしない。直後、唐竹を破るかのような勢いの手刀がカイへと降る。
カイは横っ跳びで直撃は避けようとしたその時
N「シャーー!!」
金属のように鋭く甲高い声がカイの耳を通り脳に深く突き刺す。
金切り音と耳から額へくる脳を弄られるような不快感により動きが止まった。
そこに爪が迫った。
爪は足首に亀裂が走らした。
その斬撃は骨まで真っ二つだった。
カイ(クソ。かなりの深手か)。
N「軽口叩いた罰よ。早く死になさい」。
首の皮に爪が迫る。
カイ(だがなぁ)
「鼠の生命力をなめんじゃねぇぞ!!」
カイは顎をを決死の覚悟で引いた。
顎の硬さにより爪は逸れるもくの字に顎が裂かれる。
そのままカイはマリアに頭上を見せ頭突きが飛んだ。
回避が遅れたマリアはその頭突きを受け止めた。
マリアが力に従うように体が反り返り飛んだ。
鼻から流れる血を擤み外へ飛ばした。
カイ(チェッ。これでも鼻骨へし折れねぇか)。
N(柔軟性にも影響が出てる)
(傷のタイムリミットは近いね)。
(だが奴はもはや体を動かすこともできない)。
N「確かに鼠のように汚かったわ」。
マリアがトドメを刺そうと頸動脈を裂きにゆく。
カイ「お褒めいただき感謝します」。
カイがその斬撃を獲物でも見た獣のような跳躍で回避したのだ。
竿を咥え、滑るようにマリアから離れた。
両手を地面へ着き片足をぶら下げながらもう一方を立てる。
そこにはもう一端の牙が生えそろっていた。
牙と爪。手負い猛獣が落ち着くことなどないのだ。




