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holiday  作者: NY
柳家編
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holiday 第百七十六話 咲くか裂かれるか

桃怪がマリアへ踏み込む。

その跳躍は走り込まずに尚階段全てを越える。

それを見ても尚マリアは避けずに彼女に真っ向から迎え撃った。

鎌と爪が金切り音と共にぶつかる。

悲しいかな。鍔迫り合いの最中刺された腹から痛みが滲む。

腹に力が入らない桃怪は鎌が弾かれそのまま胸が切り裂かれた。

N「半身を引いたか。浅かったようね」。

桃怪「濁ってるお前の太刀筋なんて誰でも見切れるわ」。


桃怪(あの女は強い。奴と戦闘中をしつつ消化器を見つけ出すのは極めて困難)。

(こうなったらマルチタスクではなく一つの目的に絞る)。

(それは絶対に失敗しては)。

(大丈夫。私なら出来る)。


N(今の状態で私との直接対決は無謀にも程がある)。

(きっと別の目的があってここにきたわね)。

(考えられる最大のリスクとしては...)。


マリアが棚の方を見つめる。

桃怪(なんだ?もしかして棚の方にあるのか...?)


次の瞬間、爪がマリア手から射出された。

その先は桃怪だった。


体全体を横に滑らすも爪の一本が脇腹に刺さる。

マリアが飛び蹴りを放つが刺さったままそれを躱した。

N「注意が逸れちゃったね〜」。

桃怪は鋭い痛みに屈せず今度は宙に舞うマリアをつま先を立たせて刺すような蹴る。

その蹴りは激しくマリアを飛ばした。

しかしマリアの着地は蹴られたにしては異様に綺麗だった。

マリアの捩れた腹が定位置へ戻る。

N「これほどの鋭利な蹴りでも威力も精度も落ちれば意味がないわね笑」。

N(とはいえ、これでもそう何発は喰らえない。慎重に奴を削るのが最適解だろうね)。

マリアが不安そうに棚に視点を寄せる。


桃怪(離れた!)

桃怪は棚の方へ飛び抜けた。

その時、マリアの表情が歪み始めた。

桃怪(しょっちゅう見つめる棚に今の顔。当たりを引いたか!?)

桃怪が鍵のかかった棚を鎌で切り刻む。

棚の戸が落ちた時、中にあったのは消化器ではなく霧だった。

桃怪はその霧でさえ触手のような鎌捌きで全てかき消したがマリアがもうサイドまで迫っていた。

桃怪は後ろに飛ぶも踏み込んだ太ももが突っ張った。そのコンマはマリアが凌駕し背中が切り裂かれる。


N(人間は守りたいものに視線を寄せる)。

(つまり攻め手はそこに向かうのが定石ということ)。

桃怪(チェっ負傷した足を使わざるを得ない方向に飛ばしたか)。

マリアは後ろを向く桃怪に一切手を緩めない。

爪の刺突が幾度となく襲う。

しかし彼女の集中力は異常値。

その斬撃を落ち葉のように躱しては躱す。

その爪の雨の中に鎌の銀閃が上から弧を描いて振り下ろされる。

マリアはそれを紙一重で回避する。

桃怪「ギリギリで避けすぎよ」。

その時、マリアの顎へ爪先が下から飛ぶ。

N(蹴りか。受け流して心臓を切り裂く)。

マリア頭を逸らし軌道を逸らそうとするも桃怪が後ろから手でマリアの首根っこを抑える。

蹴りの衝撃が入りマリアの体が吹き飛んだ。

マリアは下に向いた頭から沿って足で落下する。

顎は粉々となり、歯も数本抜け落ちた。

桃怪「打撃ならご自慢の柔軟性で流せるとたかを括ってたでしょ」。

今度は蹴りを放とうとする。

その一閃をマリアは上半身を反って避ける。

放たれた蹴りはモニターへ飛ぶ。

モニターは一文字に深い傷がつき、真っ暗となった。

桃怪(そこにもないか。ここの部屋隠せる場所多すぎなんだよ)。


崩れた林の中で歩み続ける者。

影が包んでもその存在感は決して影とはならない。

ウィビラン(ホープ・ファミリーよ。死戦期の呼吸を存分に味わっているがよい)。

(もう数えるほどしか時間はないからな)。


鈴木(あかん。これ以上は捌きからねぇ)。

鈴木が膝をついた。

マロンは膝をつくものにも容赦はしない。

トドメと言わんばかりに襲いかかるがフレックサーに薙ぎ払われる。

そのフレックサーの集中力はもう底を尽きている。

もはやなけなしの精神力で立っているのも同義。

戦闘員達も長時間ナイフを振り回したことにより疲労が見え始めた。

切り傷が増え、鼓動も早くなる。

マンティスも下半身の麻痺に疲労と加わり首から下が動かなくなった。

それでも小刀を口に咥え、無数に切り刻まれ床が血で染まりながらも対抗する。

マンティス(死なない。せめてこいつらを始末するまでは絶対死なねぇ)。

カイ(桃怪はおそらく消化器を探すのに苦闘してる)。

(場所を把握することが出来る手法はないのか...)。


極限の最中、何かがカイの脳裏を刺した。

カイ(これか?これなのか?)(トラみたいに絶対的な根拠は見出せないが繋いでみせるぜ)。


(グチ)。

カイ「シューター!ボールを真上に蹴れ!」。

シューター「上だと!?何もねぇぞ」。


カイ「いいから全力で蹴れ!」


その気迫に押されたシューターは全霊を込めてボールを蹴り放つ。

かなりの空気が入ってる故硬いボールだ。

シューターの足の甲にヒビが目立つ。

放たれたそれは塔が立つかのような速さで急上昇する。

カイ(あいつならこれで見つけてくれる!)


マリアが桃怪の目へ突きにかかった。

桃怪がその腕を鎌で切り落とそうととするが

その突きは鎌を掻い潜った。

桃怪の腕に巻きつき螺旋を描きながら突きにかかる。

桃怪は目尻を犠牲に突きを避けた。

その時、巻き付かれた腕に持つ鎌を手首を弾くようにマリアの腕へ投げた。

付いたままだと落とされる。

トグロはマリアの元へ素早く戻らざるを得ない。


桃怪(次は机じゃ)

マリアの脅威がコンマ数秒消えバックステップを踏んだ時、桃怪の腹が蹴られた。その正体はbotだった。腹の傷口に深く入った蹴りはより傷口を開かせ激しい痛みを生み出す。


N(私から距離を離したら近くの物を物色する)。

(それしか探し物を見つける方法はないもんね)。

桃怪がbotの首を即座に刈り傷口を手で押さえる。

N「では次は何をするのかな?」

マリアが桃怪に向かって駆ける。

爪が構えられた。

桃怪(奴が離れた瞬間しかチャンスはないのに近くのものじゃ読まれる。遠くのものでもそもそも手が届かない)。

(一体どうするのが正解なんだ..)

桃怪の目に迷いが宿った。


その時だった。

セキュリティルームの床が揺れた。

N(何事!?)

それにより置いてある器具も共に揺れたが...

不自然に床の揺れが止まった直後に何かがコツンと当たる音がしたのだ。

桃怪はその音を耳に入れ、迷いを捨てた鎌がマリアの目の前に飛ぶ。

マリアは避けるも鼻の筋が裂かれた。

N(ホープのクソガキめやりやがったか)


桃怪(音のした方は...このキーボード!)

桃怪がキーボードへ駆け抜け両鎌でキーボードを破壊した。

キーボードの裏には消化器が置かれていたのだ。

N(あれを見た瞬間、目が光りやがった)。

(今あそこまで命をかけてあれを探してたってことは単に目眩しの道具目的ではない!)

(もしかして...)


N「それ見つけてどうするのよ」

「ここからは出られないのに」。


マリアが爪が袈裟切りをお見舞いする。

桃怪がそれを消化器で防ぎ互いの間に煙が広がる。

互いの視界は消える。

桃怪(揺れるほどの衝撃。もう一度それをしてくれれば床に穴が開くはず)。

桃怪がトランシーバーを出す。

桃怪「カイ!もう一度あれをy」

N「誰と話してるの?」

煙が晴れた直後、マリアがトランシーバーを正確に突き、破壊した。


カイ「シューター!もう一度蹴れ!」

シューター(マジか。もう利き足は使えねぇのにどうすれば..)

フレックサーがシューターの状態を見抜く。

フレックサー「わしにやらせんかい!」

シューターからボールを取り上げて同じように真上に蹴り上げた。

その速さは先程のものを凌駕し、同じ場所に命中した。

2回の衝撃に耐えられなくなった天井は抜けセキュリティルームの床に穴が空いた。

何かを感じ取ったマロンは片足のフレックサーに集中砲火をかます。

フレックサーは容易にバランスを崩し飲み込まれていく。

フレックサー(頼んだぞ)。

戦闘員達もマロンの猛攻にいよいよ耐えきれなくなり飲み込まれて始める。

カイ(釣竿での処理が追いつかねぇ)。

横小路はついに口からマロンの侵入を許してしまった。

横小路は嗚咽と共に吐血する。

桃怪が消化器を手に穴の方へ向かう。


しかし度重なる負傷のうえ、重量のあるものを持ったままでは機動力もクソもない。

N(穴を開けるなんては余計にダメじゃないか)。

マリアが張り手で桃怪の手にある消化器を弾く。

消化器は遠くに転がる。

桃怪「もういっちょあるよ」。

桃怪が穴へ投げ入れようとする。


N(筋肉が消化器を離そうとしない。フェイントね)。

マリアは穴には向かわず

振り下ろされるもう一方の消化器を手で受け止めた。掴んだ手から爪が伸び、桃怪の反射神経を利用し、離させる。奪ったそれをセキュリティルームの外側へ追いやった。

N(全部で三本。あとは鎌を掻い潜ったら終わりよ)。

桃怪の腰から何かが抜かれた。

飛んでからそれをマリアは超人的な反応で避けた。


しかし飛ばされたのは鎌ではなかった。

桃怪の手にあったのは煙がかったペットボトルだった。

ペットボトルが手から離れ、落ちていく。

桃怪「両手話してくれてありがと」。


一階へ向かってボトルが落とされた。

フレックサー(なんじゃ!?マリアの罠か!)


マンティス「罠じゃない!遠慮なく叩け!」

その言葉に発破をかけられたカイは針でそのペットボトルに穴を開ける。

中からは空気が漏れる音と共に白い煙が広がる。

それはマロンに容赦なく降り掛かり、それを吸ったマロンは統制は完全に崩壊し、無造作に暴れまくる。

煙の中、マンティスは心眼を展開する。

マンティス(これが最後!親玉よ出てこい!)

鈴木の体はマロンの海で完全に見えなくなる。

マンティス(...)

横小路の内部が切り刻まれていき、白煙の中悶え苦しむ。

シューターの足が切られていく。

マンティス「...あそこだ!」


マンティスが異様に高くなったマロンの柱に向けて口から小刀を飛ばした。その刀は柱へと深く刺さった。


しかし状況は変わらなかった。



マンティス「もういっちょじゃぁぁ!」


その瞬間、刀身が赤く染まり、爆ぜた。

それはマロンの柱の中心を崩した。

床に...ソフトクリーム型の殻が破片となり落ちた。

その瞬間、マロンの海、柱から塵が目立ち始めた。

風のような速さで塵となり、まるでそこに地獄がなかったかのように消えたのだった。


モニターの通信が途切れた。

桃怪「ハハッ。これでお互い気を使うことはなくなったわね」。

その時、マリアの目が黒くなる。

N「どいつもこいつも獣心の輩しかいない」。


マリア「家族の命はホープ全員を持ってしても償えねぇぞ」。


マリアと桃怪は同時にスタートを切った。

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