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holiday  作者: NY
柳家編
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holiday 第百七十三話 かぼちゃの馬車

セキュリティルームではマリアが地獄のような光景を監視カメラで傍観していた。

ダクトから青色の体色を持つヤドカリが降りてきた。

マリア「もう大丈夫かしら?マロン」

マロンがコクリと頷く。

「ゴミ共に引導を渡しにいきなさい」。

ダクトから降ってくる更に夥しい数の裸のヤドカリがドーム状となる。

そして泳ぐようにヤドカリの軍団は階段を伝って行った。

マリア(ようやく復帰したか。あのアバズレ、ホント余計なことをしてくれたわね)。

(だけど、何もかも見抜くマンティスも状況を分析するトラもいないうえ、そいつらが伝えたとて消化器は私が全て回収した)。

(このまま警戒を怠るな。全ての可能性を排除しろ)。


マッサーカが階段から聞こえる怒涛の這う音に彼の警戒アラートが鳴る。

それにより意識を手放した脳が覚醒した。

マッサーカ(何事なんだ。何が起こってるんだ?)

痛みから来る軋みを振り切り体を起こして見た景色は

階段を埋め尽くして怒涛の勢いで降るマロンの姿だった。

その軍団が螺旋階段を降りる軍と自身のある階へ行く軍とで枝分かれし向かって来る。


カイは桃怪の方へ走る。

カイ「桃怪、大丈夫なんか?」

桃怪「えぇ。なんとかね」。

桃怪(正味腹から力が出にくくなってるけど動ける内に動いとかんとね)。

鈴木と横小路が意識を手放したタナカへ駆け寄る。

横小路「大丈夫か!」

タナカを仰向けにし胸に両手を重ね何度も胸を圧迫する。

だがタナカは息を吹き返さない。

フレックサーが倒れた体を起こさせる。

地に伏すマンティスに肩を貸す。

フレックサー「マンティス。大丈夫か?」。

マンティス「こんなもん、少し経てば動く」。

フレックサー「馬鹿言え。モロに脊椎砕かれとっただろうが」。

マンティス「それよりもカルチャーさんはどうなんだ?」

フレックサー「まだどうなるか分からん。まずは自分の心配をしろ」。


その時、マンティスの眼が開く。

数階先から夥しい数の気配を感じ取った。


マンティス「おい!まだ終わっとらんぞ!」


フレックサー「なんじゃと!?」

螺旋階段が悲鳴をあげながら降りてくるのは星の数程のマロン。

桃怪が瞬時に鎌を抜き階段から攻めて来るマロンを行かせまいと次々と切り裂いて横小路は鎖で叩き潰すも永遠と湧き出てくる。マロンが瞬く間に一回を飲み込んでいく。

横小路はマロンの波について行けず足元を掬われた。

鈴木「横小路!」

横小路が呑み込まれた。


マッサーカ(この状態、しかも一人でこの渦を捌くのは厳しいにも程がある)。

(とにかく、絶対こいつらにはやられたら死んでも死にきれねぇ)。

マッサーカがマロンに背中を見せて全力で逃走を図る。

彼の体から軽やかな動きはなく重い。

腹を押さえながら無理矢理にでも足を運ぶ。

ヤドカリ軍が足を引き摺るマッサーカとの距離を縮めてゆく。

マッサーカ(ここに来てもらってる他支部の奴から協力を仰ぐ!)

ポケットからトランシーバーを出す。


マッサーカ「待機していr」

音声が切られる。


マッサーカが伝える前に彼のトランシーバー持つ手にマロンが群がってトランシーバーを数の圧力で潰した。

腕から肉が削がれる感触が伝わる。

唇を血が滲むほど噛み締めながらその痛みで気絶しないよう踏ん張る。

マッサーカ(ヤドカリ抱えて逃げてりゃあっという間に捕まる)。

マッサーカは走りながら傷だらけでボロボロのマチェットを取り出す。

マッサーカ(やるしかねぇな)。

マチェットが振るわれた。

その方向はマロンが巻き付く腕。

腕にマチェットが当たる。

その衝撃により一部のマロンが剥がれる。

腕に喰い込むマチェットが血を滲ませる。

切れ味が劣化しているゆえ一発では落とせなかった。

マッサーカが口にタオルを挟み傷口に何度も何度もマチェットを打ち込む。

肉に続いて骨が割れる音が聞こえる。

叩き付けられた腕が骨を通り越して潰れる音を耳にしながら落とされた。

即座に切った腕を噛んだタオルできつく縛る

落とされた腕を見送りながらマロンから逃げ続ける。


アジトに到着した彼らは見た。

無数のヤドカリが膜のようにアジト中を覆うこの世の次元とは思えない景色を。

火の者「マッサーカからトランシーバーで合図が届いた」。

木の者「ここに突撃するのかよ」。


マリア「今更来ても無駄よ」(まぁいつ来ても無駄だけど)。

アジトを覆うマロンは周りに立つ餌共をロックする。

液体が壁から滴るようにマロンがゾロゾロと降りて来る。

波打つマロンに到着した者たち全員の足がすくむ。


火の者(なんじゃこりゃ。こんなんとあいつらは戦ってんのかよ)。

木の者(無理だ。勝てるわけがない)。


動くことも喋ることもできない多くの戦闘員達に容赦なくマロンが迫る。


その時だった。


「こっちだ!」


クラクションが鳴ったのだ。

その正体はトラックだった。

トラックは目の前に迫っていたマロンを次々と引き摺り殺す。

そのままドリフトでさらに潰しゆく。

そうしてできた一瞬の隙間にトラックから人が降りて来る。

それはボールを持つシューターだった。

シューター「全員こっちに来い!」

その怒号を頼りにホープの入り口前に戦闘員達は向かう。だが奥の方から向かって来る者達は間に合わず

マロンにすぐさま囲われた。

シューターがボールを蹴る。

その威力は高く入り口の防弾窓ガラスを割る。

シューター「今すぐに入れ!」

急に急が重なる出来事に恐怖と判断する脳すら麻痺したのか、その声に引っ張られるように皆がついて来る。

火の者「なんなんだよ。何が起こってるんだよ」

木の者「とにかく奴について行くぞ!」


大量の人から鳴る床が何度も軋み響く。

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