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holiday  作者: NY
柳家編
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69/73

holiday 第百七十話 いきたい

カイはトラが吹き飛ばされる姿を目に焼き付けられた。

しかし飛ばされた方向は見ない

もう知ってしまったからだ。

フレックサー「マンティス。カイのメンタルがヤバい。戦線から降ろすぞ」。


マンティス「それは待て」。


マンティスがカイを凝視しフレックサーの前に手を置き静止させる。

その時、ギルドの腕にはチャクラムが深々と刺さっていた。

腕の腱がチャクラムにより切れている。

カイの目から熱いものが込み上がるもトラの言葉の意味をすぐに理解できた。

フレックサーはの口角が少しだけ上がる。



カイ(.....ありがとうと言いたいのは俺のほうだよ)。




込み上げるものを内に秘め、両手に釣竿をがっしりと握る。

横小路(まじかよこの人。今のを見て尚戦いに挑むのか。なんでそんなことできんだよ)。

(明らかおかしいだろ)。

横小路の肩に手が置かれる。

その手の先には鈴木が立っていた。二人は顔を見合わせた。

鈴木「まさか後輩に抜かされるなんてことはねぇよな?横小路」。

横小路(...なるほど。そういうことか)。

横小路の顔から暗みが晴れてゆく。

カイが横小路へ視線を向ける。

釣竿が投げかけられた。

横小路「んなわけねぇだろ。やってやろうじゃないか」。

横小路が手から離れた鎖を持ち直す。

それはギルドの真上を通り過ぎた。

ギルド(自暴自棄か。ならジジイをさっさと殺すか)。

ギルドがフレックサーへ向けて進行を始める。


フレックサーが膝をつく。

ギルド「どーせ今死んでもそう寿命は変わらんやろ!」

ギルドが全速力で駆け抜ける。

次の刹那、横小路が鎖を放ち投げられた針にかける。

釣竿と鎖が合わさり長い縄となった。

それは遠心力で凄まじい速さでギルドへと行く。

ギルドが地面が割れるほどに片足を踏み込む。

その瞬間、鎖と糸はギルドが踏み抜いた地盤に引っかかり数ミリズレた。それでも深く踏み込んだギルドには十分。大勢を大きく崩した。

フレックサー「トドメをさせるとでも思ったか。残念だったな」。

フレックサーがギルドと見合わせた。


顔面に幾千もの殴打を浴びせる。


隙を見せてしまったギルドが腕で防ぎそれに呼応しフレックサーのコメカミに拳を迫らせる。

その拳はフレックサーのコメカミへと当たる。

フレックサーのコメカミは大きく割れ、拳の衝撃により片目にまで影響し、視神経が潰れた。

だがフレックサーは一切止まらない。

殴打を続ける。

ギルド「なぜだ!?」「なぜ潰れないのだ!」

フレックサー「そんなしょうもない拳、わしには響かんぞ」。

ギルドが見た光景は一人だったはずのフレックサーがもはや何人もいるかのようだった。

千があらゆる方向から同時に降り注ぐ。

腕に加え蹴りまで交えギルドを幻惑へと引きずり込む。

ギルドは怒涛の乱撃で後方に押されていく。

ギルド(まずい、こやつから逃げて大勢を整えなくては...)

ギルドはフレックサーから距離を取ろうと地面を前に踏んだ。

だがその時、ギルドの視界が何かに奪われた。

次に眼から強烈な刺激を受けた。

暗闇の中千手の応酬を喰らう。視界が戻った時、袋を持った鈴木が見えた。

鈴木「やっぱジニアル特性の砂はよく効くなぁ」。

それも束の間、ギルドの両の足から力が抜け膝をついたのだ。

腱が切られたのだ。

切先には鎌を両手に持つ少女がしゃがみ込んでいた。

桃怪「逃げれるわけないでしょ」。

ギルドの歩行能力は完全に死んだ。


ギルド(この俺が、この俺が後手に回るだと)。

(冗談じゃねぇ。テメェらが俺を上回るなど)。

「笑止千万じゃーー!!」

怒号があたりを響き渡る。

フレックサーは遂に耳から血が流れ出す。

それでも手は滞ることはない。

ギルドは全身の骨が軋み出すのを脳細胞から感じ取る。

胸骨は砕け、鎖骨は粉々に、腕の骨にもヒビが入り始める。

ギルド(落ち着け。こいつはもはや連打に全集中している)。

(後ろから破壊すれば止められる!)

ギルドがもう一方の腕でフレックサーの背後に忍ばせ脊椎をへし折ろうとする。


フレックサーの横を見るとタナカが吐瀉物を口に流しながら腕の後ろに立っていたのだ。

レイピアを自身の横に持っていき腕を引く。

タナカ(体に纏う空気を剣に集めろ)。

(身体を隠すことなど今必要ない)。

タナカの輪郭は徐々に見え始め、刀が無数の関節があるかのように柔らかく上下に唸る。


レイピアの原型が視認できなくなった時、身体の横に持っていき腕を引いた。


今際の際までタナカは植物のようにレイピアを片手に持つ手首以外一切の動作を遮断し時が満ちた今、


レイピアを突き出した。


空気がレイピアを中心に一気に膨らみそこから収束して真っ直ぐとギルドに向けて放たれた。


その空気は三日月状に駆け抜けもはや空気とは呼べないほどの鋭利さを秘めていた。


ギルド(ここだ!)


フレックサーの脊椎に触れた次の瞬間、ギルドは忍ばせた腕の感覚を感じなくなった。

質量が地面に落ちる音が聞こえる。

ギルドの腕が真っ二つに切り裂かれたのだ。

流れるはずの血すらも消しとばされたのだ

遅れて腕から灼熱感を覚える。



レイピアはあまりの空気の量と極限の圧縮により限界を迎え持ち手から剣先まで塵となった。

レイピアと同時にタナカも地に伏したのだった。

フレックサーの手刀は更に加速し

ギルドは次々と歯、骨、肉が潰され断たれてゆき激痛するも緩い地獄を感じとる中マンティスがギルドの真横に現れる。

そこに気配は残穢すらもかき消されていた。

小刀を腰から取り出して前へと突き出した。


だがその時、マンティスの腰に横からギルドの手が飛んだのだ。

マンティスはその手の直撃は免れるも指先が背骨に命中した。

マンティスは全身が痺れる感覚に陥った。

そこから腰から下の感覚が消える。

ギルドは手刀の圧により腕が横に飛んだのだ。

気配が消えていた為攻撃する意図がなかったのだ。

小刀が飛ばされマンティスが地面から落ちようとした。

フレックサーも何技術の急激な向上、さらにその乱撃を長時間撃ち続けたことより精度が落ちてゆき、ひいては速さも失われていた。

ギルドの腕は再起しフレックサーの脳天目掛けて拳を走らせた。

フレックサーに避ける術などない。

木偶の如く潰される。



しかし、ギルドの腕に風穴が開いた。

鎌の傷跡に加え、チャクラムに切られた傷の間にできた隙間を埋めるように開いた風穴は容赦なくギルドの腕を垂らし機能を奪った。

その下にはマンティスが地面を這い煙上がる銃を向けていた。

マンティス「至近距離かつお前が気づかない刻」。


その声からは重厚で鋭いものが聞こえず、掠れていた。


「これを逃す馬鹿がどこにいる?」



ギルドの顔から脂汗が滲み出る。

ギルド(嫌だ。こんなところで死にたくなんかねぇ)。

口いっぱいに息を吸い込んだ。


どこまでも多く吸い込んだ。

頬が大きく膨らんだその時、首から空気が漏れ出す音が聞こえた。

更には声すらもあげられなくなっていた。

桃怪が血に塗れた鎌を手から垂らす

桃怪「見苦しい悲鳴は聞きたくないな」。


何体にも見えたフレックサーが一つに集まりハッキリと形が見えた。

ギルド(頼む。やめてくれ...死にたくない...)

「これが我が家族の...」

右腕に千手を集めフレックサーから情が弾け飛んだ。




「そこぢがらじゃあぁぁぁぁぁ!!」



魂の貫手がギルドの喉を貫いた。

喉仏は粉々を通り越し体内で消え、頸動脈、脊椎にまで鋭く刺ささった。

ギルドの目からは光が消え、突き刺した喉から伝わる体温が急激に失われていく。

巨大な岩にすら見える彼は目を閉じることすら叶わず


石ころのように転げ倒れたのだ。


フレックサーが着地をする。

その時、自身の負担に体が気づき崩れるように大の字に倒れた。


フレックサー「儂はどこまでも希望となるのだ」。

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