holiday 第百六十三話 f=ma
カイは釣竿を突起にかけ、落下の衝撃を殺す。
フレックサーは千手を床に叩きつけ免れる
マンティスは壁に刀を当て続け摩擦の力を借りる。
一階から激突の怒号がアジトの色を塗る。
三人と一頭がその場を支配する。
ギルド「それじゃあ、パーティを楽しもうや」。
ギルド「て、そうだった。言い忘れていたな」。
ギルドの顔から興奮が抜け、語り出す。
「俺はな、力があまりにも強すぎて人を殴ると俺の骨もバラバラになるんだ」。
フレックサー(脈絡のない発言。儂等を誘い出す罠か?)
カイ(何だ急に。余程自信があるのか?)
その時、カイは横から鋭い視線を感じた。
その出元はマンティスだった。
マンティスは地面を踏み込み、ギルドに向かって走り出す。
フレックサー「マンティス!早まるな!」
ギルドの目と鼻の先まで近づくと
マンティスの目の前には拳がすでに接近していた。
だがマンティスは拳の全面に刀を押し込みその反動で後ろへ飛ぶ。
空ぶった拳はこの世の何よりも大きくなったかのように、色でも変わったかのように禍々しい何かが漂い、近づかずとも触れてはいけないと遺伝子に刻み込まれるかのようにわかる。
マンティス「カイ。ユネルコとの戦いで意味のない会話を何度も聞かされたのだろう」。
「だが意味のない言葉には二種類の性質がある。覚えておけ」。
カイ「はい!」
ギルドがゆっくりと拳を戻す。
ギルド「つれねーな」。
「少しは乗ってくれてもいいじゃないか」。
フレックサー「アホか。儂らはそれほど暇ではないんじゃ」。
一方、二階ではカーミと桃怪、グチが対峙していた。
カーミ「浴衣が台無しじゃねえかメスガキめ」。
カーミが謎の小玉を投げる。
グチ「さっきそれは見たんじゃ」。
グチを通り抜け、桃怪がカーミに迫る。
桃怪の鎌が牙を向く。
鎌を紙一重で避けるも一閃の鮮血が舞う。
グチが板材を掴み、小玉全てにフルスイングを決める。
だが出てきたのは炎ではなく謎の液体だった。
グチが板材を縦にするも間に合わない。
液体が全体にかかる。
グチ「なんやねんこれは!?」
液体がかかりながらもカーミに拳を振りかぶる。
カーミはそれを避ける。
カーミ「それはガソリンよ。私を殴りでもしてみぃ。お前は燃えて炭となるわ」。
カーミ(え、今何かがが爆ぜた?まさかあのガキからなのか?)
(こいつにガソリンかけといて良かったわぁ)。
桃怪「そんな他人任せの炎は大して燃えないわよ」。
桃怪がカーミの死角に潜り込む。
桃怪の蹴りがカーミに狙いを定めた。
カーミは腕でガードをするもその蹴りは斬られたかのような鋭さを持つ。
桃怪の鎌が鋭さを帯びカーミを切りにかかる。
カーミも瓶を取り出し鎌に対抗する。
瓶と鎌が交わろうとした時桃怪の横に何かが現れる。
グチが瓶目掛けて振りかぶり殴りつける。
その瓶は拳を中心に激しく割れる。その破片はカーミは目掛けて飛んでいく。
便の中から現れた炎はグチを拳蝕もうとする。
カーミもバーナーを取り出し目の前に飛んでくる破片を溶かして破片を液状化しようとする。
だがそれによりできた隙を桃怪が縫いにかかる。
炎を避け、桃怪の鎌がカーミの喉元にまで迫る。
カーミはそれを紙一重で避けた。
ばずだったが鎌が通り過ぎた後、喉の薄皮から血が滴る。
彼女は振りかぶる瞬間に指が離れるまで持ち手をズラしたのだ。
飛んでいった鎌をグチが掴む。
グチは燃え盛る拳を鎌で削る。
燃えていた皮膚が削ぎ落とされる。
グチの拳は尚赤く染まる。
カーミ(人間は本能的に火を恐れるもの。こいつらは恐れるどころかそれすら飲み込もうとしているわ)
(遊んでかかると燃え尽きるのは私)。
グチ「なーんだ。チープな炎だなこりゃ」。
アジトは誰彼巻き込む混沌の渦となり果てていく。




