holiday 第百六十二話 誓いとしての
鈴木(あれ~。これちょっとやばいかも)。
鈴木はこれまで経験したこともない浮遊感を浴びる。
最上階から重力に縛られ落ちていく中、鈴木の前に鉄の何かが垂らされる。
彼はそれを自分を救う蜘蛛の糸だと直感し、掴む。
その先にいたのは残された床を掴み、鎖を垂らす横小路の姿。
横小路は急激な浮遊感により目を覚ましたのだ。
横小路が鎖を引っ張り上げる。
横小路「大丈夫か?」
鈴木「それはこっちのセリフでしょーが」。
遅れて再度床が抉れる音がする。
その音に目を配ると光弾使いの赤子が鎮座していた。
有無を言わさず光弾が二人を標的に射出される。
だがそれは寸前で波紋となり阻まれる。
タナカ「残念それはさせねぇ」。
しかし狙いははなから彼だった。
波紋となった光弾がタナカへ牙を向ける。
鈴木「俺はまだ死んでないぜ!」
鈴木が床の隙間に指を突っ込み
腕を振るい上げ一部が外へ放りなげられそれを蹴り飛ばす。
タナカを前にした光弾は抜けた床がタナカの代わりとなり
砕ける。
砕けた破片の隙間を縫うよつに鎖が宙を這いしょうやへと向かう。
しょうやも光弾を盾代わりに鎖の前へ放つ。
それは当たったかと思いきや
鎖が光弾をぬるりと避ける。
横小路は手首のスナップを活かし左右の手をクロスさせて軌道を変えたのだ。
鎖はそのまましょうやのコメカミへ襲いかかる。
しょうやは光弾を自身の前に飛ばしその衝撃で鎖の速度を殺す。
さらに死んだ鎖を持ち、再度電撃。
その時、横小路は鎖を放ち、それを埋めるかのように鈴木が鎖を持つ。
電撃の威力は何一つ変わらない。自身の肉体が雷で侵されるのを身に染みてわかる。
鈴木「綱引きなら付き合ってやるぜ」。
鈴木は肉が焼ける音を耳に鎖を持つ手を離さない。
その時、タナカが後ろへ迫る。
タナカがレイピアをしょうやに突き出す。
しょうやの目が完全にレイピアを捉えている。
空気の槍が今放たれようとしていた。
しかし空気に変化はなかった。
タナカはレイピアを投げ捨て、左手をしょうやへと差し出す。
横小路「馬鹿野郎!やめろ!」
しょうやに触れる寸前、彼の体に電流が流し込まれる。
口から血を流しながら体にあるありとあらゆる肉が炭となりタナカの体から離れ、煙が出始める。
それでもタナカは電撃を押し除けながら少しずつしょうやの首元へと手が近づく。
その時間は永遠のようなものにも感じた。
だがその時間にも終わりが告げる。
タナカがしょうやの首を掴んだのだ。
しょうやは自分が敵に触れられたことに衝撃を覚え、タナカにさらなる電撃を浴びせようとするも遅い。
追撃が来るよりも速く首持つ手に力を込めしょうやを締める。
しょうやの黒目が幕が開くかのように白目の上へと追いやられついに電撃が止まった。
しょうやの口から泡が吹き出す。
しょうやを掴んだままタナカが立ち上がる。
肩の角が消え、掴む手首に至っては色が変わり、赤に染まっていない部分の方が少ない。
その姿はまさに血を被る鬼だ。
タナカ「空気を操るのは何もレイピアでなくともできるさ」。
そう、彼はレイピアで突き出した空気を囮に左手も振動させ手に空気を纏わせそれを絶縁体としてしょうやに掴み掛かったのだ。
タナカ「すまないがそこの壊れたベッド持ってきてくれるか?
タナカは冷たくなったしょうやを優しくベッドに乗せる。
その後ポケットから十字架を取り出し、正座をする。
彼は血の鬼としての顔が消えた。
その赤か染まるものでさえも彼の心にさえ思える程に。
タナカ(将来のある者の芽を摘んでしまった)。
(君が望むならこの業を俺に重く乗せてくれないか)。
タナカが十字架をしょうやの側に起き、立ち上がる。
横小路(なんだろう。あの人は)
(距離は離れているはずなのにあの赤子と同じところにいる感じがする)。
鈴木「おりゃーー!!」
鈴木は死に物狂いで鎖に力を込める。
横小路「鈴木。もう大丈夫だぞ」。
横小路が鈴木の肩を叩く。
鎖から力が抜ける。
タナカ「お前達。動けるか?」。
鈴木「誰に聞いてんだ?俺はまだまだ..」。
突然鈴木の足の踏ん張りが効かなくなる。
鈴木が大の字に倒れる。
横小路「相変わらずの精神力だなお前は」。
鈴木「このポンコツめ。動けやコラ」。
タナカ「鈴木くんだっけ?君は休んでくれ」。
タナカ「横小路くん、鈴木くんは任せた」。
横小路「おう。任されたぜ」。
タナカ「それと...」
タナカ「よかったよ。君達」。
横小路の耳にそれが響く。




