holiday 第百五十六話 火
N 「それじゃ、まずは3キルってとこか」。
桃怪「3キル?オレらがすることを代弁してくれてるのかしら?」
桃怪(重傷の餡があるとはいえ、3対1ならなんとか何を逃れられるか?)
N 「まぁ私だけじゃないけど」。
その時、地中からマロンの柱が立ち、それは桃怪とカイを取り込む。
マリアが爪を長くし、餡へ近づく。
N 「さっさと死んでよね」。
爪が振りかぶられる。
だが動けないと思われた餡は腕をしならせ、マリアの爪を弾く。
その後マリアの腹目掛けて張り手を出す。
それはマリアの腹に明確に入る。
だがその瞬間、張り手を出した手の感覚が消える。
その目には赤くなっているマリアの爪が映し出された。
マリアは体を最小限に捻り、当てたと錯覚させたのだ。
N 「よく粘るね」。
マロンの二つ柱に穴が開く。
カイ「餡!!」
桃怪「このアバズレめ!」
だが二人とも両手両足が拘束されている。
N 「お友達の死に様、ちゃんと見届けてあげて」。
「大丈夫。すぐにあんたらも行くから」。
餡は柱のほうを見て微笑む。
マリアの爪が脳天に突きにかかるその時、
マリアは冷たい何かを腕に感じた取り、
餡から距離を取る。
自分がいた場所に刃が落ちていた。
マンティスだ。
餡「回避に余裕がないわよ」。
餡が残った手で再び張り手にかかる。
マリアはもう一度切りにかかるがそれは刃で受け止められ、張り手が飛ぶ。
マロンの柱へマリアは吹き飛び、マロンの柱の一つが破られる。
そこから瞬時に桃怪が飛び出し、
桃怪とマンティスがカイに纏わりつくマロンを切り刻み、マロンの檻から脱出する。
マンティス「餡の状態がまずい。一度戻るぞ」。
カイ達は即座にその場から離れようとする。
しかし、餡の腹からナイフが生えた。
桃怪「、、、は?」
そのナイフが一回転される。
餡がこれまでにない吐血をする。
その正体は訓練用のbotだった。
カイがbotに糸をかけ、こかし、マンティスがbotの首を斬る。
餡の腹からは明らか尋常ではない。
血だけには留まらず、肌色で細長いものも流れるものに含まれていた。
餡がその場で膝をついてしまった。
N 「これだから消える前の蝋燭は嫌いなのよ」。
マリアが汚れを払い、餡の方向へ向かう。
桃怪(まずい、餡を担ぐという隙を見せちゃ余計ダメな方向へ行く)。
マンティス(餡も守るうえでのbotとマリアとの戦い、やるしかねぇのか)。
彼らが置かれた状況は文字通りの詰み。
マリアを凌いだとしても全員が生き残れる保証はどこかしこもない。
餡「あんた達。私を置いて行きなさい」。
マンティス「もう喋るな。傷が開く」。
マンティスが刀を抜く。
カイ「何を言ってるんだ?」
「そんなん餡が死んでしまうだろ」。
餡「いーえ。私は多分死なない」。
桃怪は彼女を黙って見つめる。
餡が歩を進める。
マンティス「おい何やって、、」
餡を見てマンティスの口が止まる。
カイ「ダメだ。本当にダメだ」。
カイ「いかないで」
桃怪「カイ、マンティス。行くよ」。。
桃怪がカイの肩に手を置く。
マンティスが餡に背を向ける。
カイ「え、まさか、、」
その背中には後悔も困惑も何にも引っ張られていない。
だが彼は違う。
生き様に引きずられようとしていた。
桃怪がカイの手を掴む。
桃怪「餡も私も言ったでしょ。連携とはなんなのか」。
もうすでに餡はマリアの前にいた。
そして何か赤いものを持っていた。
N (消化器だと。いつの間に)。
餡はそれを叩きつける。
消化器は割れ、煙が浮かび上がる。
その時、マロンが一斉に煙の中から湧いていくのが見える。
botは隙間から薬入の煙が入ることで故障し、停止した。
餡がマリアの頬を殴りつける。
それにダメージはない。
だが煙の中で体の向きが大幅に変わると互いは互いしかわからなくなる。
N「何してくれてんのよ!」
餡の残っていた手が肩から切り裂かれ、腕が跳ねる。
煙が二人を完全に閉じ込める前に餡はカイ方を見つめる。
餡(カイ、置き手紙を渡すわ)。
(炎を忘れるな)。
その手紙はカイに何の隔たりもなく伝わる。
煙の外へ赤き臓物が飛び散る。
餡から3人が遠ざかっていく。
カイを灯す炎が見えなくなっていく。




