holiday 第百五十五話 疾風地雷
3人が再度別れる。
だがトノはその場で動かず、目を閉じる。
風により木々が揺さぶれる音、水溜りが弾く音、その雑音を脳内に捨て去り、草の揺れに絞る。
そして一番大きな揺れを感知しすぐさま飛び掛かる。
トノ「わん!(ここ掘れわんわん!)」。
凶刃は草の雑音を正確に捉える。
だが草が炭となるだけでそこには誰もいない。
その真横から鋭いものが飛ぶ。
トノはそれを避けるも不覚を取られた。
マッサーカ「知ってたか?カマキリって擬態も得意なんだぞ」。
その鋭いものは貫手かと思われた。
しかしトノの背後に同じものが迫る。
今度はそれを弾き返す。
鋭きものは木に深く突き刺さる。
その正体はチャクラムだった。
そのチャクラムに何かが乗り、蹴り落とし、重力に異常なまでに従い、落ちる。
林の天辺から急降下してくるのはフレックサーだ。
フレックサー「使うものが林だけだと思ったら大間違い」。
急降下する勢いに身を任せ、手刀を被せてくる。
トノは一度地に足を突き再び急上昇してくる。
と思われたが上昇したのは落ち葉の数々。
フレックサーは身を降ろしながらも全ての落ち葉を散らすもののそこには誰もいない。
フレックサーの真横にトノがやってくる。
それでもフレックサーの牙城は崩れない。
至近距離なのにも関わらずもう手刀がトノの目前に飛んでいた。
その時、トノが手に噛み付く。
手に血が流れる。
いや流れていない。
代わりに鉄が砕かれた音がした。
トノが噛み付く瞬間に素手からチャクラムに変えていたのだ。
トラ「流石に水。ボロボロなのにも関わらず技はドンドン進化している」。
その隙を見逃さずトラがチャクラムをゴムで引っ張り飛ばす。
その速さは投げるのとは比べものにならない速さだ。
しかしトノは急降下によりそれを避ける。
さらに異次元の動体視力によりチャクラムの反射から見えた、見てしまった。
トラの場所を。トノは降りだと同時にもうトラの目の前だ。
トラはそれに物怖じせずチャクラムの刃先を上げるだけ止めて奴の速度で斬りつけようとする。
しかしトノはすんでのところで前足をチャクラムに横に乗せ、撃ち落とし、バク転の勢いで再びトラに迫る。
トラ(しまった。あの犬、あれだけのスピードで自滅なんて一切していない)。
(脳の回転もそれに匹敵するに決まっているだろ)。
トラの喉元が掻っ切られる
ことはなかった。
トラとトノの間に巨大なクレーターができていたのだ。
その中心にいたのは腹に包帯を巻いたグチだ。
トラ「グチ、傷は大丈夫なんか?」。
グチ「そんなんが仲間を見殺しにする理由にはならんだろ」。
グチ「さてと、害獣駆除いっきま〜す」。




