holiday 第百四十七話 撃つ、切る
後藤が車から何かを取り出した。
後藤「お待たせしました」。
それは太いダイナマイトだった。
フレックサー「全員下がれ!」
漏電の周りに空間ができる。
それを埋めるかのようにダイナマイトが着火され、投げられた。
漏電「舞妓もいいところ。早く幕を閉じたいものだ」。
コインを投げ、射的の的を撃つかのように軽く、正確にダイナマイトへ放たれる。
トラ(ダイナイト特有の音がない)。
カイ(後藤さんが爆発するのに下がらせないのはおかしい)。
カイ、トラ(これは俺からの何かしらのメッセージか)。
その赤い筒は破裂こそしたが飛び出したものは爆発ではなく砂鉄だった。
漏電の牙城はそれでも崩せず、
砂鉄の密度が高い場所に銃を放ち、自分の周りから散らばらせる。
後藤のしたことは意味がなかった。
否。すでにトラがチャクラムを片手に、カイが竿を両手に、漏電の死角へ向かう。
カイとトラは目を合わせる
トラ(この砂、かかってみると違和感があるものの、体に影響はない。おそらく傷口に入ると毒が回るタイプの砂だ)。
カイ(もう言いたいことはわかる。やってやろう)。
流石に漏電。
死角であるにも関わらず、2人を察知し、そのうちのトラに視線を向ける。
トラが大きく振り上げる。
漏電「老に力比べとは。情け無用、讃え不要」。
漏電も同時に銃を振り上げる。
鉄と鉄が悲鳴をあげる。
押されているのははトラのほう。
漏電は押しながらもトラに銃口を向ける。
トラ(逃げるだけでも、向かうだけでもダメ。なら向かい、逃げてみせる)。
その刹那、漏電は手応えを感じなくなった。
トラがチャクラムに籠る力を抜き、一歩引いたのだ。
それにより包丁の如く、線に沿い、火を噴く銃口が下に落ちた。
漏電の銃口は袈裟に斬られ、銃の体を成していなかった。
それにより銃の牙が砕かれた。
その背後にはすでにカイが迫る。
カイの竿に砂が纏う。
カイは竿を伸ばし、漏電の脇腹へ運ばせる。
その先は尖っている。
その竿は漏電の腹から背にかけて通り過ぎた。
腹に穴が出来る。だがその穴は竿よりも数周り大きかった。腹の穴から視線を繋ぐと使用済みの弾へと辿り着く。
漏電「逃げ。それは誇りを捨ててでも何かを遂行する一種の覚悟でもある」。
そう、漏電は毒の竿がつく直前に自らの穴に弾を飛ばし穴を開け、毒針が穴を通り抜け刺さらないようにしたのだ。
餡が静寂に違和感を覚え、砂埃に向かう。出迎えは銃弾。
餡は難なくそれを避ける。
そのまま銃で2人を殴り殺そうとする漏電に立ち塞がる。
餡「あれ?本当にジジイになったのかしら?精度もクソもなくなっているわ」。
桃怪も遅れて漏電の領域に侵入する。
今度は桃怪の方に視線を向ける。
漏電が銃を薙ぐ。
桃怪もさらに合わせ鎌と銃を重ねる。
しかし銃が滑り落ち、銃口が削られ、破片が落ちる
。
漏電「これで十分至極」。
再び銃を放ち、砂埃を削り、外へ出る。
その先にはグチ。砂埃の中からなのにも関わらず、グチに正確に向かっていた。
完全に遅れをとったグチの代償は重く、腹のど真ん中に
命中してしまった。




