holiday 第百十六話 無作為は禁物
潮の匂いがする。
奴は未だ姿を見せない。
カイが釣竿を振り上げる度打撲痕ができる。
カイ「ケツビィ。さっきみたいに奴を見ることはできるか?」
ケツビィ「見えるけどあまりにも速く伝達が追いつかん」。
草木が揺れる中見えない凶器に嘲笑われつづける二人。
カイ(よく思い出せ。あの時あった死体のほとんどに首に絞められた痕があった。つまり奴は最終的に首を狙うつもりだ)。こうなったら…
その時、釣竿の針がどこか彼方へ飛び、握る力が小さくなり肩を落とす。それを見たヤモリはカイ目掛けて締めにかかるその瞬間、ヤモリの横目に針が飛ぶ。それに驚いたのかそのまま飛びかかり針を避ける。カイはヤモリがどこにくるかわからない故針を自分に沿って一周させたのだ。
ヤモリは距離を離してから再び2人に向かって加速する。
ケツビィが後ろに視線を向ける。
「正面だーー!!」
その合間という穴に針を通すものが現れ、チャクラムがヤモリ目掛けて飛んでくる。避けた奴とカイとケツビィの隙間にグチとトラが滑り込む。
グチ「おいケツの坊主。お前はあいつが見えるのか?」
ケツビィ「見えるというより読んでいるに近いかな?」
トラ「どちらにしてもこちらが有利になる。そのままレーダーとなってくれるか?」
ケツビィ「Ok」。
グチ(それにしても読む…か)。
3人がケツビィを囲むような陣形を作る。
グチは腕に重さを覚える。
その腕を殴りにかかるも空を切り顔面を引っ叩かれる。
カイはそれを見る。
カイがもう一度釣竿で円を描く。
トラ(どう?奴の動き見えそう?)。
ケツビィ(君の前!)
それに従いチャクラムを投げるもそれは何にも命中しない。だが草が不自然な方向に傾くのはみえた。
トラ(ケツの子の言っていることは本当のようだな)。(だがそれはカイが足止めしてくれているからこそやっと読みと伝達が追いつく)。(しかもカイもそれがいつまでもできるわけじゃない)。(こりゃまずいな)。
グチ(俺はさっきから何やってんだ?)。(無作為に攻撃しても当たるわけがないだろ)。
そしてグチの脳裏にあの惨劇が掘り起こされる。
グチ(マリアは冷静に相手の動きを完璧に読んでそれに対する最適解をだしている)。
カイが見えない衝撃と打ち合う。
そしてそれが消える。
ケツビィ「あそこに行った!」
トラがどこかにチャクラムを投げる。それはケツビィの言った方向とは違うところだ。だがそれは見えない何かの目の前に突き刺さる。驚きで一瞬姿を現すも再び姿を消す。
グチ「なぁトラ。今のってどうやったんだ?」
トラ「やつにとってどこが攻撃の都合がいいのかを考え予測してケツビィが言った場所からどう行くのかを予測してるんだ」。
「所謂偏差撃ちさ」。
グチ「…はっ!!それか!」




