ゴミクズ達
太陽神ラーと300人のアヌンナキ、彼らは昨今において神のように崇められるが、資料によると彼らは偉大なるニビル文明という星間文明の一員に過ぎない。つまり、彼らはただ単に移民者である訳だ。この星のね。いや、正確にはこの星に移住せざるを得なかった、たった300人とその他大勢の生き残りの魂だ。
しかしそんな事は今はどうでもいい、今僕が気にしているのはこれだ、滅亡文明リスト。このリストには今まで見てきた全ての文明、つまり偉大なるニビル文明が観測してきた1967の全ての文明が滅んでいる。そしてそれは、偉大なるニビル文明もだ。
「なんで!?なんで滅んだんだ!ニビルもネプティリアンも全部滅んでいる!」
それから一ヶ月かけて全ての文明の滅亡理由を探った。その理由は多岐である、核戦争、天災、飢餓、疫病。
原因はわかる、でも全てやろうと思えば対処できた物だ。特に偉大なるニビルのような超科学を持つ文明なら。じゃあなんで全ての文明が滅んでいる?まるで自ら崖の下に落ちるように……
二ヶ月後、私は数多の反証や賢者ロゼッタストーンとの議論を行い、偉大なるニビル文明や太陽神ラーと300人のアヌンナキが導き出したものと同じ結論を得た。
知的生命体はある一定の豊かさを超えた時に自ら滅びる性質を持っている。
そうだ、ここにある全ての文明がそうだ。最初は少子化から始まり徐々に不寛容が芽生え、局地的な紛争が起こるようになる。そしてその後に永遠の紛争の時代が訪れる。全ての文明がこの流れの中で対応力を失って様々な理由によって滅んでいるのだ。これを止める事ができた文明はない。少なくともこの1967の文明はそうだった。
なんでこうなったのか?それはわからない。
ただ僕が思うに、これは進化で獲得してしまった性質なんだろう。その地で全てを採り尽くす前にコミュニティを自壊させればその地の全てを採り尽くす事はないんだから。
「滅びと再生を繰り返し続ける、それが文明の性質だというのなら……」
この世のほぼ全ての人々が幸せになれるタイミングはないし、逆に全ての人々が不幸せになるタイミングは必ずある。それなら、文明やら社会なぞ最初から存在するべきではない。多くの人が不幸のまま死んでいくのだから。
あぁ、くそう。僕がずっと、多くの人々を救うために探究していた学問は、知恵は、ただ避けれない滅びと不幸の証明だったんだ。
「ネフティア……」
なんとなく僕はネフティアの元に、彼女の部屋向かった。だがなんだ、何かおかしい。彼女の部屋から何か甘い匂いが漂ってる。
「ネフティア、どうしたんだこんな夜中にこの私を呼び出して」
兄さんの声?なんで兄さんがこんな時間にネフティアの部屋にいるんだ?僕ら結婚したのに。
「もう我慢ならないの。だってそうでしょう?私、セトじゃ我慢できない。やっぱり貴方が欲しいの」
……嘘吐き。言ったじゃないか、こうなったら仕方がないから貴方を愛すわって。なんでまた兄さんなんかと。
「そうか、ならそうだな。いいよ、今夜は僕と寝よう。セトはどうせ考古学で忙しいだろうから気づきはしない」
……死んでしまえ。
6年後、僕の子供は5歳になった。名はスビア。ネフティアに似た金髪と碧眼を持っている。ただ僕は彼女を愛せない。
「パパ見て!私読めるようになったんだ!海の人の字!」
彼女は天才だ。だから怖くなった。だって彼女は兄さんの娘だ。兄さんはネフティアばかりか、僕から考古学まで奪う気なのか?
「スビア、そんな物何の意味もなさない。お針子さんの手伝いでもしていろ」
僕は彼女を本宅から追い出した。研究室を見られたくなかったし、何より僕は彼女の顔を見たくなかった。
「今のはないんじゃない?セト」
ネフティアが僕を睨んでる。なんだよ、その目。なんで僕をそんな目で見るんだ。元はと言えば君のせいじゃないか、君が兄さんなんかと寝るから……
「誰の為に僕は……君のせいだろ!!」
気付いた頃には僕は彼女の首を絞めていた。彼女の唾と涙が僕の指を汚す。僕の足を小さな手が叩いている。
「ママを殺さないで!」
スビアを苦しめたのは僕だ、その原因が兄さんやこの女だとしても。でもスビアがせめて僕の子だったら、僕は慰められたかもしれないのに。
「黙れ!」
スビアが腹を抑えて気絶してる。なんで?僕は蹴ったのか?子供を?
「……くそう」
僕は最悪の人間だ。死んでしまえ、僕もネフティアも兄さんもスビアも、全員死んでしまえ。




