これはなんです?
コカトリス討伐の翌日、やっと身体の感覚が戻ってきた。
「飛んでる?なんなんだ、これ」
今僕は、空を飛んでいる。いや、正確には空を飛ぶ船の甲板に居る。白波のように雲を掻き分けて、雄大に飛んでいるんだ。
「お前の何億倍も面白いだろ。夜の船メセケテッド、改めマイナーノア。海の民とシュメールの技術力を持ってして、太陽神ラーとアヌンナキ共の船をなんとか使えるようにしたんだ」
夜の船、つまり昨日僕らがコカトリスを討伐した時に居た昼の船と同型って事なのか?てか海の民とシュメールってこう、こんなんだったか?それにマイナーノア、小ノアってことは大ノアも存在する事にならないか?
「まぁ、ホエル王に掛け合うのは少々手間だったがな」
「ホエル王……海の民の王ですか?」
「まぁそんな所だ。それでどうだ?いいだろこの船」
良いか悪いかで言ったら面白いかもしれない。でもこんな船、僕らに扱えるのか?言っちゃ悪いが、これは科学とか魔法とかを極限まで発展させたその先にある物だと思うぞ。
「素晴らしいと思います。しかしこれ……技術的に僕らが扱って大丈夫な物なんですか?墜落とか、しないですよね?」
アペプは凄い嫌そうな顔をしてる。ピヨトリスを抱きしめるスビアを見ていた時のアイシスと同じ顔だ。
「つまんな。そこが良いんだろ、超技術の飛行戦艦しかし引き出されている力は3%程度で、仕様書の言語が違うから限界出力もわからない、そこが良いんだそこが」
どこが?てかこの船、仕様書読めてないのに飛ばしてるの?それは大分話違ってくるよ。飛行機のパイロットが勘だけで操縦してるって事だろ?
「まぁお前にはわからんと思っていたけどな。さぁ、もう中に入ろう。今時の作戦について話さなくてはならない」
船の中に向かうアペプ、しかし彼は硬い鉄扉の前で一度立ち止まった。
「あ、そうだ。この戦いが終わったらお前に面白い情報を教えてやろう。セトの家についての情報さ」
「それはありがたいですが……」
何故?どう聞くのは野暮だ。だってこの人の行動原理は面白いか面白くないかじゃないか。聞いたところで面白いと思ったからしか返ってこない。
艦橋に向かう、そこには既にアペプの部下とアイシス、スビアが居た。内装はなんというかアニメみたいだ。モニターが沢山あって赤とか青とかに光ってる。でも半分は死んでいた。
「さて、マンゴーデスワーム、改めゴッドイーターの討伐について説明するぜ」
ゴッドイーター……多分マンゴーデスワームって名前がダサいからって。でも名前的には合っているかもしれない。だってアウシルさんは神格の魂を持っている訳で、もしアウシルさんの遺体を食べていたらそれは神食い、ゴッドイーターって事だし。
「まず先遣隊がゴッドイーターを肉を使って荒らしても良い場所にまで引き寄せる。ん、あ、切り替わんない?んじゃ地図広げて」
天井のモニターに地図を貼り付ける。なんというか、茶番を見てる気分だ。隣とアイシスは不機嫌だしスビアはなんか、廊下見てるし……あれ黄色い……
「スビア、連れてきちゃったの?」
あの黄色いのはピヨトリスのピーちゃんだ。アイシスから散々言われてたのに。
「うん、勝手についてきちゃった。私のことママだと思ってる見たい」
笑うスビア、隣ではまたドン引きしてるアイシス。本当に茶番だよ。
「よし、貼れたな。それで続きだ。ゴッドイーターを所定の位置に誘き出した後、マイナーノアは主砲を発射しながらバリアを貼ってゴッドイーターにラムアタックを敢行する。そうすれば奴とてひとたまりないだろう。そしたら今度はこいつの出番だ」
アペプの元に細長い一本の剣が届けられる。なんというか、ギザギザした平たい岩のような剣だった。
「天鉄剣、改めオーバードバスターソード。俺がこいつでゴッドイーターを輪切りにする」
よく見たらその剣の材質ってあの時の地下牢の檻と同じ材質じゃないか。それで名前が天鉄、天の鉄……隕石?
「さて、説明も済んだ所で。出航だ!」
出航の声と共に、船の速力が上がった。
「エーテルラスカエセリオン対消滅エンジンの出力上げ!ウェルトシュタイナー、ネイルヴァイス、ハイパーレーザーラムの確認を急がせろ」
エーテルラス?ウェルト?ネイルヴァイス?ハイパーレーザー?なんだって?
「え、なんです?それ」
モニターに色々表示されてる。これは……英語?ENGINEの横にCAUTIONって表示されてるけど大丈夫なのか?てかなんで英語?太陽神ラーとアヌンナキは英語を使うのか?
「長い方がかっこいいからな」
そういう物なのか?長くても意味ないと何にもならないと思うけれど。
「さ、もう見えてきた。なんてったって最大速度は光よりも速いからな。まぁ今は音速の手前くらいまでしか出てないが」
巨大な砂嵐が目の前に見えている。




