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 「陛下、その、お取り込みの最中申し訳ございません」


 3人で抱き合って寝ていた中、青い整備服を着た青年に話しかけられた。


 「良いよ。それで準備できたのか?あれ」


 「まだです。慣れない無重力整備ですから。ですがひと段落は着きましたので、使用者用の調整をさせていただきたいのです」


 「構わないよ」


 一度2人の頭を撫でてから離れる。


 「案内致します、陛下」


 整備士に連れられ後部の格納庫へ。真ん中には5mくらいの白い鎧が立っていた。両手にブレード、背中にレーザー砲、背中は背鰭のような巨大な放射板が4対着いている。その鎧を10人がかりで弄ってるんだ。


 「これがあれ?なんたらランギみたいな」


 「はい。敵地突撃用魔鎧、虎(イル=ホランギ)です」


 セトとの戦いの時、青龍さんが使ってた装備、その元になったのがこれって話らしい。


 「アウシル用に設計されてるんだよな。僕に扱えるか?」


 「分かりません。陛下次第です」


 「燃えるような事を言ってくれるのはありがたいけど、いざ使ってみてダメでしたじゃ恥ずかしくなるな」


 青龍さんが使ってた装備と違ってこれの燃料は魔力だ。火属性と雷属性、太陽のような燃え盛る魔力を燃料としている。だから魔力消費がマッハで、アウシルみたいな膨大な魔力を持った人しか使えないって感じだ。


 「数値上行けるんだから行けるでしょう。それよりも重力慣性制御入れてくれませんか?」


 「あ、その節はすまないな」


 この船には地に足をつける為に重力を発生させる機能がある。でも僕はあえてそれを切ってた。何故なら前みたいに3人で無重力で寝たかったからである。まぁ簡単に言うと僕が楽しみたかったから整備も生活もし難い無重力を選択してた訳だな。


 「その、せっかく宇宙に来たのに地に足付けてるのは風情が無いかなって」


 「いややり難いから入れて欲しいっす」


 ここが地上ならこの人捕まってただろうな。でもこっちの方が楽だから好きだ。アヴダヴもそうだけれど、僕は案外容赦なく色々言われる方が好きなのかもしれない。憚らない関係、そういう感じで。


 「あー、あと2時間だけこのままにさせてくれ」


 「そんなにお好きですか?無重力」


 「2人には出来るだけ沢山の特別な体験をして欲しいと思ってる」


 2人が望んで無いとしても王妃という立場は特別な立場だ。良くも悪くも。だから2人には普通の人じゃ経験出来ないような事を沢山経験させてあげたいんだ。


 「獣人って良いもんなんですかね、そんな」


 「良いよ、ふわふわで良い匂いして。ただ2人がたまたま獣人だったってだけで、僕が獣人が好きなのかって言われたら微妙かもな」


 「分かりませんね。美しいままの種族って言っても、最後に何十年も寂しいんじゃ意味ないでしょ」


 こいつマジで失礼な奴だな。アヴダヴでも言わなかったぞそれ。いや、別に良いんだけどさ。


 「それについては少しだけ考えがあるから問題ないよ」


 「解決って、出来る事じゃないでしょ」


 「その話は終わりにしよう。さっさと調整してくれ」


 機械の中心、空いている。何故なら鎧なのだから。その鎧の中心に立つと鎧は自動的に身体に接続される。


 「ピリピリする」


 肌にピリピリと電気の感覚。電気を流して魔力を無理やり取り出そうと、そういう設計なんだ。筋肉に電気を流して動かすように。


 「凄いな……」


 妙な感覚。まるで雑巾絞りされてるような。


 「陛下、宝具想定の設定で行きます」


 瞬間、強い稲妻が身体を走る。まるで雷に打たれたように。


 「ぐっ……」


 魔力の減りが凄まじい。一瞬でかなり持ってかれた。多分このままの僕だと3分が限界だろう。


 「耐えてくださいね、あと2分くらい」


 2分間、焼けるような痛みが続く。ただ悶えて耐え続ける。まるで麻酔なしの歯医者だ。


 「あと1分です」


 「早くしてくれ!」


 稲妻、稲妻。何とか耐え続ける。段々と雷が弱まってゆく。


 「終わりです」


 鎧から飛び出す。床に手と膝を突く。身体から白い煙が立っている。


 「くそ、2度とやりたくないな」


 まだズキズキと痛みが残ってる。痺れて筋肉がピクピク動いてるんだ。


 「今ので何とか調整できましたので」


 「そう、そうなんだな。じゃあ今日はもう良いんだな?」


 「えぇ、今日は」


 「じゃあ明日に備えて僕はもう休むよ」


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