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無重力にて




 マンジェットはギニア=マスドライバーに向い、そこから宇宙に上がった。

 無重力。臓器が浮いている。自由な感覚。窓の外にはあの歪な大陸が見えていた。


 「シュン君お父様の時もそうだったようね。ずっと地球を見てた」


 もはや懐かしい記憶だ。たった2年前の記憶なのに。


 「シュン大陸の形がおかしいとか言ってなかったっけか」


 言った。実際あの地球の大陸の形はおかしい。アフリカ大陸が伸びているし日本は無いしで色々とおかしいんだ。


 「言ったね。実際まだ違和感はあるよ。特に……あそこ、シベリア」


 ギニア=マスドライバーはキプロス=マスドライバーと比べて調整がずれてた。そのせいでめちゃくちゃ遠くに飛んだのだ。故に地球が少しだけ小さく、広く地形が見れる。だからおかしいんだ、東シベリアが。夜なのに輝いている。まるで僕の時代の航空写真のように。しかもその輝きに隙間がないのだ。東シベリア全てが輝いて、黄金の陸地になっているのだ。


 「しべりあ?」


 「あの輝いてる場所」


 「聖域の事?」


 聖域。聖典によるとラー発祥の地ってあったな。まさかそれがシベリアとは思わなかった。しかもあんな風だとは。


 「あれが聖域?」


 「スビアと読み解いた感じだとそう示唆されているって感じかな?遥か東の大地にてラーは輝ける黄金の都を築いたってあったから」


 「ほえーって感じだな。じゃああそこには人が?」


 「全員居なくなったって読み取れる。ある時から子供が産まれなくなくなって滅んだんだって」


 なんか壮大な話だ。こう、触れられる神話って感じでワクワクする。ただ僕があそこに行く事はないだろうな。資源があったとしてもあんな場所じゃ運べない。意味がないんだ、行く意味が。


 「嫌な話だ、辞めにしよう。そうだ、なぁ今から寝ないか?」


 「え?」


 「はい?」


 僕の突拍子の無い提案。2人は息を合わせたようにそう返事をする。


 「いや、最近疲れてて眠りたいし、それにほら、前もこうやってぷかぷか浮きながら寝たからさ、もう一度したいなって」


 僕の身体に抱きつく2人。返すように右手でしっかりと抱き締める。暖かいんだ、2人の身体。良い匂いもする。だからこうやって抱き合ってるだけで僕は満たされる。


 「シュン君、大きくなったねほんと。筋肉はちょっと落ちちゃったけど、がっちりしてるし」


 「そりゃ大人だもんな、僕」


 「大人?シュンが?」


 「大人だよ。成人したし」


 16歳で成人をして僕はもう17歳だ。それでもう一年したら18歳で、もう大人なんだ。いや、大人でなくてはいけない年齢なんだ。


 「私にはそう見えないけどね」


 「どうして?教えてくれ、アイシス」


 「バカだから、シュン」


 僕の胸の上で動く耳、垂れてる。アイシスの耳もスビアの耳も。軽く撫でるようにマッサージをする。2人はこれが好きなんだ。


 「確かに僕は君達よりもバカだ。2人みたいに言語に精通している訳でもなければ優れた発想出来る訳でもない。でも僕は最大の国の王様をやれてるんだ、今の所は」


 「そういう所だよ、バカ」


 このバカの意味はそのまんまだろう。でもそれじゃわからない。だからこういう時、耳を触るんだ。アイシスではなくスビア。だって2人は大体同じ事考えてるし、それでいてスビアの方が分かりやすいから。


 「分かってる。地上に降りるまでの時間は全部僕自身と2人に使うよ」


 「そうして」


 あれの調整と宝具の取り付け。3日間の宇宙。皮肉にも僕に休みを与えたのは戦いだったんだな。


 「そうする。でも今は寝ちゃうよ」


 深い眠り。いつもよりも格段に。

 

 

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