それでどうしたら?
内閣が倒れた。次の内閣を立てなければならない。弑虐未遂から、いやスエズの鉄道爆破の件から始まって立て続けにこんなことになるとは予想も付かず、スケジュールはギチギチ、執務室の机はぐちゃぐちゃ。ラムセスも僕も徹夜は3日目に突入しようとしていた。
「ロベルピエル……は居ないか」
内閣は解散。でもシュメルとのゴタゴタは放置できないから外務大臣であったロベルピエルはそのまま外務大臣の仕事をさせている。
「流石にですね。老体にはちときついです」
弱音を吐くラムセス、無理もない。内閣が不在だから内閣が本来やるべき仕事の全てをこっちでやってるんだから。その上で普段の仕事はそのまま、昔のファラオが何故過労死したのか分かってしまう。
「一旦休むか?僕も少し休みたい。さっさと風呂に入って寝ないと」
それにほら、4日も会ってないとなると寂しくなる。さすがの僕も、二人も。
「そうですね、そうしたいです」
「ならそうしよう。机の上はそのままで良いから貴方も休んでくれ」
フラフラになりながら執務室から出ようとする。その時、扉が強く何度も何度も叩かれた。
「陛下!陛下!」
返事、したくない。でもしなくちゃならない。誰なんだ、こんな時に仕事を増やそうだなんて。
「そこからで良い。重要な部分だけ話してくれ」
扉の先からの言葉。それは信じ難い物だった。
「シュメル方面軍が議会の化物に襲われ、シュメル方面軍はシュメルによる攻撃だと判断しシュメル軍に攻撃を加えました!」
「は??」
シュメル方面軍がシュメル軍に攻撃?それは戦争ではないか?
「ロベルピエルは?ロベルピエルは何と言ってる?大使館は?」
「シュメルからの宣戦布告の報告を最後に大使館は何者かに爆破され、ロベルピエル外務大臣閣下は行方不明となりました!」
「は??」
連絡手段が断たれた?宣戦布告??戦争になったのか?一夜にして、内閣が壊れている間に?
「クソ!この忙しい時になんて事をしてくれたんだ!!!」
大きな音、壁を殴る音。拳から血が流れる。
まさかイズィバーラ、これを狙っていたのか?結果運営には内閣が必要、時間が無ければ交渉もできない、軍部大臣現役制度のせいで向こうが大きな決定権を持っている。
くそ、負けたのか、僕。どうする?
「終わった……のか?」
戦争になった。今から戦争を止める?でも連絡手段は?特使を送って何とかなるのか?そもそもシュメル方面軍を止めて特使を送って、内閣が不在なこの時期にそれをやる余裕があるのか?
「陛下……」
「分かってる!」
結局アトランティスと同じだ。どうしようもなくなった以上、最終手段を取らなくてはならない。
「ラムセス、内閣の件全て貴方に一任する。僕は前線に行って……違うな」
前線に行って何になる?戦争は辞めてねと軍を停めたところで、原因の大元は議会に現れたのと同じ化物なんだろ?アペプの魔力を感じるあの化物。つまりアペプを止めない限り何も解決しないって事だ。化物を放ったアペプを、裏からシュメルを支配する男を。
「アペプ・アポピスを拘束あるいは……殺害する。僕はその為にシュメルに行く。海軍に連絡をしろ、マンジェットでシュメル首都バビロングラードに対して弾道強襲を行う」
あぁ、くそ。アペプ、アペプ義兄さん。貴方はどれだけ状況をぐちゃぐちゃにする気だ。




