故郷まで幾光年
葵の全身から放たれた融合の光は、徳彦が創り出した**「ゼロの時間」の結界を破ることなく、内部で極限まで圧縮されていた。その力は、大羅仙主が持つ『コトワリの宝貝』の絶対的な法則すら凌駕する、一瞬の「新たな定義」**だった。
「貫け…! 俺は、帰るんだ!」
葵は咆哮し、融合したエネルギーを、徳彦が定めた時空間の不安定な一点、すなわち崑崙山の龍理の心臓部へと叩き込んだ。
それは攻撃ではなかった。法則そのものである大羅仙主を倒すのではなく、その絶対的な理の中に、わずかな「例外」の穴を開けるための、純粋なエネルギーの解放だった。
融合の光は、大羅仙主の銀色のコトワリの宝貝の表面に激突し、法則の壁を押し広げる。大羅仙主の無感情な顔に、初めて解析不能な「エラー」を示す光が走った。
「無効化…不能。観測範囲外の…事象…」
大羅仙主の絶対法則が破られ、崑崙山の心臓部が爆発的な龍理を噴出させる。その龍理の渦の中に、ノリが定めた位相の座標と、葵の昇華の力が描いた新しい法則が重なり、**地球へと繋がる一時的な「帰還ゲート」**が閃光と共に開かれた。
葵は、力を使い果たし意識を失う寸前、崩壊しかけた徳彦の具現化体に手を伸ばし、その肉体を抱きかかえる。
「ノリ! 間に合ったぜ…!」
二人の少年は、大羅仙主が再びその理を収束させる前に、開かれた光の渦の中へと飛び込んだ。
崑崙山には、法則の管理者である大羅仙主が、静かに残った。その周囲の龍理は急速に修復され、開かれたはずのゲートの痕跡は消滅する。しかし、二つの、法則の外にある力は、クリスマスの奇跡を起こし、仙界から消え去っていた。




