融合する衝動
徳彦が作り出した**「ゼロの時間」**。世界は静止し、大羅仙主の絶対的な法則も数秒間、その効力を失った。葵の体内の反発も止まり、彼はこの一瞬の静寂の中で、自身の持つ二つの力、応龍の龍理と天魔夜光剣の宝貝を見つめた。
「ノリが、俺のために…! 馬鹿野郎、お前はいつも合理的なのに、なんでこんな無茶を…!」
怒り、焦り、そして徳彦の決断への感謝。全ての感情が、葵の衝動を突き動かす。彼はもはや理屈ではない。ただ**「ノリを無駄にしない、七海とラーメンを食う」**という純粋な願いだけが、彼の龍理を加速させた。
「応龍! 天魔夜光剣! 俺の衝動、全部呑み込め! 一緒に、行くぞォォォ!」
葵は両手の具現化体を引き寄せた。二つの具現化体は、彼の肉体の内側で激しく衝突し、破壊される寸前で、一瞬の均衡を見せる。そこで、葵の非合理的なまでの**「全てを呑み込み、高める」**という昇華の龍理が、二つの具現化体のエネルギーを媒介とした。
龍理と宝貝。陰と陽。静と動。矛盾していたはずの二つの力が、葵の衝動によって一つの金色の光として融合した。彼の全身から放たれた光は、大羅仙主の銀色のコトワリの光を圧倒する。
これは、仙界の法則にはない、W世代による**「完全な二重具現化」の瞬間だった。葵はもはや、応龍でも天魔夜光剣でもない。ただの「昇華の極限」**。彼の衝動が、仙界の新しい理を創造したのだ。




