合理、非合理
徳彦は、目の前で龍理と宝貝の具現化崩壊に苦しむ葵を見つめた。自身の解析では、この状況を打破する確率はゼロ。しかし、葵の衝動が「非合理的な領域」を開く鍵だという結論に至った。その鍵を起動するには、絶対的な安定とゼロの時間が必要。
「アオ! 俺の指示に従え! これが、俺たちの最も合理的な、そして唯一の非合理な結論だ!」
「何を言ってやがる、ノリ!」
「大羅仙主は、二重具現化を『矛盾』と定義した。ならば、その定義を上書きする一瞬の隙間を作るしかない。俺は、時空間の龍理の流れを極限まで安定させ、敵の絶対法則を数秒間静止させる!」
徳彦は、氷晶の槍の具現化体を自らの胸に突き立てた。
「なっ!ノリ!?」
「俺の龍理(氷龍)と宝貝(氷晶の槍)を、**時空間の龍理の流れの『調整弁』**として機能させる! これで、龍理の流れはゼロになる。ただし、俺の具現化体は崩壊し、この後数分間、俺は戦闘不能になる。だが、それしか道はない!」
氷龍の龍理が、周囲の龍理の流れを一斉に鎮静させる。空間から色と音が失われ、大羅仙主の動きさえも、写真のようにピタリと停止した。
「今だ、アオ! この『ゼロの時間』で、お前の衝動を極限まで昇華させろ! お前が新しい理を生み出せ!」
徳彦の具現化体は、光の粒子となって崩壊し始める。全ては、葵に託された。




