矛盾の具現化
大羅仙主との戦闘は、W世代の二重具現化能力そのものを否定する戦いとなった。大羅仙主の『コトワリの宝貝』が放つ波動は、葵と徳彦の体に宿る**「龍理と宝貝が同時に存在する状態」**に、仙界の絶対的な法則を強制的に適用し始めた。
「ぐっ…龍理が、反発している!?」葵は呻く。応龍の具現化体と天魔夜光剣の具現化体が、まるでN極とN極のように互いに反発し合い、彼の肉体を引き裂こうとする。
徳彦の氷龍も同様だ。氷晶の槍の具現化体が発する「安定化の理」と、氷龍の「冷却・鎮静の理」が激しく衝突し、具現化そのものが炎のような音を立てて崩壊し始める。
「これが…大羅仙主の能力。自身の龍理を破壊した者の**『自己否定の理』**。我々の二つの力を、理不尽に『矛盾』として規定し、存在を消滅させようとしている!」徳彦は歯を食いしばりながら解析する。
葵は、体内の激痛にもかかわらず、本能的に徳彦の傍へ。
「ノリ、このままじゃ、俺たちの魂が持たねえ! なんとか、この反発を止めろ!」
「無理だ。敵は法則そのもの。安定化プロトコルは、法則の『流れ』を鎮静させることはできても、**『定義』**そのものを書き換えることはできない…待て。定義…」
徳彦の銀色の瞳が、一瞬の閃きを見せる。大羅仙主の攻撃は、彼の理性が完全に理解できない唯一の現象だった。それは、彼の計算を超越する**「非合理的な領域」**に答えがあることを意味していた。その領域こそ、葵の衝動が支配する場所だ。




