顔も隠さず、カラダ隠さず
山の頂上には社があった。単に和風と言うだけでなく 道観の装いも取り込んだ、異国情緒漂う趣きであった。そこの境内に銀色の光の柱が突き立った。
天から突き立ったのではない。
社の上からなら手を伸ばせば届きそうな近さで波打つは一面の海であった。そう東西南北、四方に八方、どちらを見渡しても海。地平線も水平線もない。
はるか 目をこらせば海の中には眩しと言えない事もない光球。この世界の民は精陽と呼ぶ。
この世界は海と大地のはざまに横たわる自然溢れる世。一五〇〇年の昔から竜宮と呼ばれている。
数秒して、銀の光が消え去ると、そこには六つの影があった。意識を失い石畳に横たわるのは、日向葵がふたり、速水徳彦もふたり。四人とも全裸である。二組の双子の様に意識を失う彼等を護るように、全長三メートルほどの四肢と角持つ大蛇――龍――が半身を持たげげていた。
一頭は前脚の付け根から鷲の白い翼を生やし、もう一頭は鬣が氷を思わせる結晶が連なっていた。
西洋の荒ぶるドラゴンではなく、中華文化圏の神に等しき神獣だ
「子供の龍理だよジン。見るの何百年ぶりだろう」
「うん、インこちらは宝貝らしいね。仙骨は凄いけどどっちなんだ?」
インとジン、こちらは年の頃なら十二才程度の中性的な子供と、銀の塊から削り出したような枝角を持つ全長八メートル程の龍であった。
子供がジン、龍がインだろう。
今、ふたりが目覚める。




