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「はっ!」と右手に持った短こん棒を振って、次に左手でこん棒の先端を掴む。またその次に流れるように体をひねって、身体全身を回る。
最後は中腰の姿勢に固定し、両手がこん棒を横に持った状態で、誰もいない地面にグッと締めくくる。
ここで彼女は動きを止めた。
なぜ彼女――ノールの動きが止まったというと、彼女の想像では、自分はこん棒で敵を制圧したのだ。
ノールは今、神官のこん棒術を練習している。
「……もう一度。」
少し汗を拭き、ノールは短こん棒を持ち直して、武器の手を前に出す。姿勢を構えた。
まず武器を前にして……身体は完全に直線にならないように立つ。次は攻撃を仕掛けしにきた敵にぶつかり合わないように避けるーー「はっ!」と彼女はすぐさま横に移動し、こん棒を振った。
敵の身体を狙うより、攻撃を阻止するのが最優先!
サッ、フッ。彼女はイメージトレーニングの敵を仮想し、武器を所持する部位を狙う。
洗練された動きは簡潔性を語って、無駄な動きは簡単に見せられない。
横移動、縦移動……歩幅を合わせて、直線の攻撃と横切りの攻撃……
サッ、サッ、フッ。
彼女は足運びに注意しつつ、こん棒を振った。ここで、彼女はまた仮想の敵を想像し始めた。
ノールの前にイメージトレーニングでの敵が自分に向かってきた。武器を手にした敵はその武器を自分に振ってきた。
一振り、二振り……自分の攻撃によって、武器手が振れなくなった。
……痛みを与えるのはこのタイミング!
「はっ!」と連続の攻撃が続き、サッ、フッ、フッ、こん棒を突き、振る音が出た。
また順手に横回し、縦回し……縦押し、横押し……!と、彼女は身体と手を動かし、次々と動いていた。こん棒を払い上げると、一周回って、プッシュしたようにこん棒の両端に持って、押す。
ここで風もまるで喝采を送っているように、ノールの肌に吹いていた。動きによって発生する風だ。
「ふう……」一息を入れて、彼女はもう一度こん棒を縦と横回しして、最後は一振り……と思わせて、次に方向転換して、仮想敵の顔にこん棒の尾端で突く。
ここまで練習すると、ノールはやっと両手を胸に収めた。今度こそ練習が終わったのだ。
「はあ……」数秒の時間に目を閉じ、息を吐いた。
長こん棒なら、回し技が多いけど、短こん棒なら、小回りの技が一番効く。
ノールは旅の時にラーリーに教わったことを思い出しつつ、手遊び感覚で軽くこん棒を振っている。
……そういえば、神官はなぜこん棒術を学ぶ必要があるか、ラーリー先生が言った覚えがある。たしか――
「――武器にこだわる必要がない。それが神官のこん棒術。そうでしょう?神官様。」とまるでノールの思考を読み取ったように、旅館の店主が言っていた。このことに対して、ノールは驚いていない。店主の隣にデイリーがいるから。
店主はさっきまで、デイリーに神官のことについて説明したのだ。
時々こそこそ話をしている二人だったが、こん棒術の練習に集中しているノールはずっと気にしていなかった。聞いてもすでに授業でわかった話だ。
そのため、ノールはさっきまで二人のことを無視してきた。
だが、話しかけられたら、さすがに無視できない。彼女としても無視したくない。ノールは二人の方に目を向いて、微笑みを作って言った。
「ええ。生活用品でも代用できる技ですから。」ある種、平民のための技でもある。ちゃんと生活していれば、小物の鈍器はいくらでも見つけられる。こん棒にこだわる必要がない。神官は武器を求めない。
「カッコイイ!ねえ、ノール様!教えてくれてもいい?」デイリーは上目遣いの感じにノールに言った。
「え、ええ……私は大丈夫ですが……」とノールはこっそりと店主の方に見た。
「こう言うと思ったから、なるべく君に見せたくないんだが……」
「ひどいよ!父さんは今までずっとこうやってこっそり見ていただろう!」
二人のここまでの経緯を簡単にまとめると、明日ノールは出発するつもりだから、彼女は旅館の裏庭を貸して、こん棒術を練習した。ちょうど少し仕事の時間が空いたデイリーは見つけて、ノールの許可を取って、練習を見学したのだ。もちろんデイリーは自分の父親のことを強引に無視したが。
また、店主実はかなりこん棒術を見てきた。小さい頃、成人の頃、所帯を持つからの今……その中に、ラーリーとノールのこん棒術、彼の中に一番評価が高い。
「監視という意味も含めているから、仕事だよ。」だから、一人が欠けても、店主は今夜も「監視」した。
「本当に?」店主はデイリーに疑いの目に向けられた。
「本当だ。父さんは嘘をつかない!」と堂々と嘘をついた店主。
二人の会話の真実を知っているノールがクスっと笑った。
この笑い声を聞いたデイリーは言った。
「……ねえ。父さんがひどいと思いません?ノール様。」と同意を求めに来たデイリーに、ノールはただ「あはは」と苦笑いした。
「ほらほら、困らせるんじゃない。」
「むう……」と頬を膨らせるデイリー。
「私はもう15歳だよ!自立したい娘の気持ちを考えてほしいけど。」
「はぁ……」店主は自分の娘にしょうがないようでため息をついた。
「まあ、元々俺が決めるようなことじゃないが……」
「つまり?!」
「……神官様の迷惑でなければな。」
「ええ、大丈夫ですよ。神官の巡礼、こういう意味も含めています。“住民たちの悩みを解決して、防衛術を教える。”冒険者だけでなく、神官も住民の味方です。だから、迷惑になりません。」
「やった!」
「ですが、デイリーさん。一つだけ約束してほしい。」
「うん?それは?」
「……悪用しないでください。」
冗談の雰囲気がないため、また、ノールが冗談を言えるような人ではないため、デイリーは普通に約束した。
「……うん。約束します。そんなことしません。」
「なら、教えます……が、時間は大丈夫でしょうか?店主様。」とノールは店主に確認した。
店主はデイリーに一目を見た後、しょうがない感じに頭を掻いた。
「残りの仕事は俺自身でやるから、娘と仲良くしてていいですよ。」
「そうですか……申し訳ありませんね。」
「いいえいいえ、こちらこそ。」と店主が言った。
話が一段落の隙につけこんで、デイリーはすぐに言った。
「でも、ノール様は本当に行かないんですか?ギルドに。」デイリーが言うギルド、当然冒険者協会のことだ。
「……うん。」
「ここのギルドは他の町とは違いますよ……」ちょっと怖いかもしれませんが――と、後の話はこっそりと付け加えるデイリー。
だんまりのノール。
ノールの様子を見て、デイリーは諦めず続いて言った。
「昔のことがわかっていますよ。聞いていましたし……でも――」
「デイリー。」
呼ばれていたデイリーも一瞬でだんまりとなった。
“すみません。かなり特徴のある名前ですが、わかりません。”ノールがこの旅館で四人についての話を聞いてみたら、一言で言えばこんな感じだった。
そして、二人に一通り聞いてみたら、そこでデイリーが提案した。
“人探しなら、ギルドに行ってみたらどうでしょうか?”と、少し意外な発言である。
ノールは少し目を閉じて、しばらく考えこんでいる様子。
続いて、「とりあえず、こん棒術を教えましょうか。」と言った。
「……うん。では!よろしくお願いしまーす!」と、あえて明るい感じに言ったデイリー。
そして、もうしばらく二人の様子を見ている店主。
二人がしっかり交流していることを見て、店主は少しあたたかい笑顔になって、その場を後にした。
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翌日。
ギルドの前に立つノール。
彼女は心を決めていた。




