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六人家族が異世界に  作者: ヨガ
再びの
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51

 全てが解決した……ということではないが、少なくとも一段落についた。


 しかし、その結果に目を向けるたび、井上凜は現実逃避したくなる。


 これは本当に現実なのか?と。


 井上若実と少し話しをして、現実逃避の気持ちはやっと落ち着いたところだった。


 井上凜は頭の中で少し状況を整理した。


 ツリーセくんは不明な男を連れて、裂け目のところに飛び降りた……三十メートルの高さはファンタジーの世界でも、特殊な手段がない限り、落ちたら普通に死ぬものだ。


 そして、ツリーセくんのあの行動は……きっと玉砕の精神で……


 ここまで考えると、井上凜は頭を横に振って、考えていたことを後にした。


 確認……確認しなきゃ。漫画やゲームなどよくあるじゃないか……実は生きているフラグとか……


 井上凜は震えながら、裂け目のところに行った。リンディの側に通って、またモモナーの隣を通って、裂け目の近くにたどり着いた。


 そして、下の景色を見ていると、井上凜は息を呑んだ。膝が地面につき、目を閉じたくなってきた。


 これは……本当だ。助けようが……ない。


 井上凜はしばらく死んでいた二人のところを見詰めていた。


 しばらく時間が経つと、井上凜の近くに一つの足音が近づいた。足音の主人に目をやると、その人はモモナー(井上桃花)だった。


 「アレは……あなたですね?」


 「アレ?私……?」井上凜はわけがわからない顔で、モモナーの話に首を傾げた。


 「あたしをここに導いたのは……」


 何を言っているのか……と井上凜が聞きたかったが、まだ続きの言葉があるようで、疑問の言葉を発さずに静かに聞いていた。


 「少しおかしいと思った。だってあの頃、あの惨状からして、男はたぶんずっとあそこを離れていなかっただろう。あの家の戦いの痕跡もだいぶ時間が経っていた。

だが、魔法の痕跡があった。今よくよく考えると……あの魔法の痕跡だけ、他のと比べてかなり『新しい』ほうだった。

アレは……アイツの『魔法』の警告の意味を含めていたんですね。対応されていない『新しい』魔法のタイプ……

そして、あたしにあの子を助けてほしかったでしょう。

違うか?」


最後まで聞いても意味がわからずじまいだが、あの子のことはツリーセのことだろうと井上凜が何となくわかっている。


 「今はモモナーさん……と呼んだほうがいいですね?」と井上凜が言った。


 モモナーは軽く息を吐いた後、「答えるつもりはないか……まあ、その慎重さはあなたらしいけど」と小さく呟いた。


 また疑惑の目に向けられると、モモナーはすぐに心境を変えて、井上凜に答えた。


 「そうですよ。モモナーです。」……たしかこの子の話によると、そのようです。と後の話はモモナーが心の中に秘めた。


 この子というのは、当然井上桃花のことを指している。何より、井上桃花はずっとモモナーの中に騒いていた。


 『一体何の話をしているの?』『少し私の指示に従ってよ!』『弟君は一体どうなっているの?』……


 特にさっきまで、モモナーはずっと『兄さんを慰めてよ!』という命令を聞かされていた。


 そういうのはアタシにやらされても意味がないだろう……モモナーは心にこっそりと突っ込みを入れた。


 溜息をためて、つい吐いたところ、井上凜がモモナーに話しかけた。


 「モモナーさんは……」


 「うん?」


 「モモナーさんは……起死回生の方法とか、わかりますか?この世界なら……何か、あるではありませんか?」


 モモナーはそれを聞いて、少し目を開いた。


 この人……たしかこの子の兄さんでしたっけ。


なぜ頼りにしているのか、少しわかったかもしれない。


 状況の判断と理解力が早い。クリティカルシンキングが強くて、頭の回転が早い。ここまで考えられるなら、確かにこの子の心配性にもなるな……だが――


モモナーは頭を横に振って、井上凜の考えを否定した。


 「残念。そんな方法はありません。少なくともアタシの知る限りでは……でも、『あの人』に訪ねてみたらどうでしょうか?君たちをここに連れてきた『あの人』に。」


 「あの人」とは、当然フロンのことだった。


 「フロンさん――」井上凜は言われた通り、フロンに状況を伝えて、訪ねてみた。


 すると、


あの人、フロンというんですね……モモナーは自分の身体を見て、少し考えこんでいた。


 この間、フロンは井上星に話を伝えて、続きの言葉を発した。


 「……そして、申し訳ありません。凜様。どんな世界でも同じです。死んだ人には、生き返りません。キャラクターでも。」


 TRPGの言葉で言うと、有名な“キャラクターロスト”である。


 フロンの話を聞いて、井上凜は失望の眼差しを裂け目の下に向けた。


 『そんな……じゃあ、弟君は?弟君は死んでいないよね?』自分の話が聞こえないということを忘れてしまって、井上桃花はこう言った。


 モモナーはここでため息をついた。


 こういうのはしたくないけど、ちょっと黙らせた方がいいかな……この子は本当はバカじゃないし……でも、ずっとこのままだと迷惑だ。


 「君は、この子の兄さん、『リン』さんですね。」とモモナーが自分の体を指して言った。


 『え……』


 「あ、はい……桃ちゃんが言いましたね?」と井上凜がそう判断した。


 『違う!兄さん!私は言ってない――』


 「そうです。『桃花』ちゃんがリンさんの『名前』を教えてくれました。『ヒカリ』くんのことも残念ですが、フロンさんのところにいれば、安全だと思います。」


アタシにかかれば、こんな推測と人を騙すのが簡単にできますよ。混乱しているのがわかるけど、少し自分の口ぶりに気をつけて、お嬢ちゃん。


 『ちょっと……』ここまでやると、井上桃花は静かになった。


モモナーが牽制しているのがわかっていたから。


 「それは……そうですが、何で確認する必要が――」


 これ以上をやると、疑われてしまうね。


 井上凜が質問をする途端、モモナーが口を挟んだ。


 「実は、あの子の死体を……ここに運びたいんだ。アタシは弔いたい。」“あなた”もきっと……そうしたいでしょう。


 『弔いなんて……』モモナーは井上桃花の話を無視した。


 この嬢ちゃんはきっと簡単に大事な人の死を迎え入れられないだろう。この嬢ちゃんに避けたいけど、身体がこうなってしまったなら仕方ない。


こういうことは、少しずつ慣れるほかがない。


 「そうか。弔い……」井上凜が頭を垂れて、色々言いたいことがあるが、言えなかった。


「やりたくない?それとも……吐きそう?」とモモナーが井上凜に関心している。


 井上凜は一瞬動きが留まったが、首を横に振った。


 「……いいえ。確かに死ぬことは怖いけど、私たちを守ってくれた子の死体に吐きそうとは、思えない……たとえ生理反応でも堪える。」


 ……君は、良い兄さんを持っているね。この人は、ちゃんと死と向き合える。


 「そうか。なら――そこの子!」モモナーはリンディのことを呼んでいた。

新編になったわけではないですが、この章での話数にかなりの時間が飛ばされると思います!

視点も少しずつ兄と弟の部分を減らして、姉と妹のほうに移します!

もちろん、キャラクターの部分も主にこの二人のキャラクターになります!

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