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令和の乱  作者: 岡田一本杉
アルバイトをするまで
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否応なくサバイバル

夕方、腹が減りすぎて、気持ちが悪くなった。

やっぱり何か食べる必要がある。

少し離れたスーパーまで自転車で行った。

スーパーも荒らされていた。見るからに物騒だった。

でも、お腹が空いているから背に腹は変えられず、割れたガラスに気をつけて、店に入った。

昼間なのに薄暗い店内に、男が数人いた。カップ麺やら、缶詰などを運び出していた。

「あっ、女だ」

一人が声を上げた。怖くなって逃げた。


自宅の庭の端の物置に、昔キャンプで使ったカセットコンロがあるのを思い出した。

1階の水洗トイレのタンクの水をくんで、お湯を作り、家にあったインスタントラーメンを3日ぶりに食べた。

美味しかった。インスタントラーメンがこんなに美味しいとは。

お腹が満たされると、急に親を思い出し、寂しさで泣き出した。

お父さん、お母さん、私一人じゃ生きていけない。帰ってきて。


インスタントラーメンを食べたから、明日の食料は無い。

不安でいっぱい。空腹感の恐怖が襲ってきた。

真夜中に、もう一度、さっきのスーパーに行った。

誰もいなかったので、缶詰をいくつか集め、代金をレジに置いた。レジの機械自体が土台から奪われていた。


その日以来、真夜中に食料調達に出かけるようになった。

いくつかの近所のスーパーを回った。全部襲われていた。

缶詰やインスタント食品。飲料水が残っていることは稀だけど、有った時はありがたくもらった。

店員もいないし、店も荒廃しているけど、後ろめたい気がして、毎回代金をレジに置いた。


食料調達に出歩いているうちに、近所で、所々、誰かいるような気配の家があることに気が付いた。

反対に、荒らされている家も有った。

時々、家の人が庭で何かごそごそしているのに出くわす時があった。

私の顔を見ると、みんなぱっと家に隠れた。

食料不足で、食料強盗と思われたのだろうか?

みんな、どうやって暮らしているんだろう?

たまに、車に荷物を詰め込んで出ていく家に出くわした。

どこか食料のあるところに、行くのかもしれない。


停電と断水は続いた。スマホはバッテリーが切れて使えない。

テレビも映らない。

情報がないので、何がどうなっているか、全く分からない。


雨が降った。雨の中キャッキャと喜んで踊った。

洗面器を外に出し、雨水を風呂桶に溜めた。庭でほぼ裸になり、雨水で体を洗った。


1週間ほど経つと、近所で食料を調達できる所はなくなった。

だんだん、行動範囲を広げていく。

道には、時々車が放置されていた。電柱や壁に衝突したり、焼け焦げた車もあった。


駅前に行った。以前はこの辺りで一番の繁華街。店が多く食料も多いかもと思ったから。

夜昼関わらず、それなりに人がいる。夜は、焚き火して、数人が囲んでいる。

殴り合いの喧嘩や、女性を襲っているシーンに出くわす。

やっぱり、駅前は怖い。

人の少ない郊外のスーパーを、夜に自転車で回る生活が続く。

水が足りなくなると、公衆便所や店の水洗トイレのタンクを探し、空きペットボトルを沈めて、水を持ち帰る。

トイレを漁る自分が惨め。


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