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令和の乱  作者: 岡田一本杉
関西
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竹生島

翌日、朝食もごちそうしてもらった後、菅浦集落の待ち合わせ場所の旅館を探しに出た。集落は10分も歩けば端から端まで行けてしまうほど小さなもので、目的の旅館はすぐに見つかった。

旅館は食堂も兼ねていた。中に入り、お茶を飲みながら、昼ごろまで待ったが、協力員は来なかった。

もともと、時間は決めていないので、いつ来るか分からない。私は数日待つつもりだった。

「あんた、待ち合わせの人?」

旅館の主人が私に声をかけた。

素直に言って良いものか迷った。

「なんで、ですか?」

「もし、人探しっぽい人が来たら、こいつを渡してくれって、頼まれてね」

そう言って、彼はカウンターの下からICレコーダーを出した。

私はICレコーダーを受け取ると、自分のテーブルに戻り、音量を小さくして、聞いた。

「よう、調子はどうだい?こっちは最近上がったりだよ、全く」

なんなんだ、この人は?人間違いかも?

その声の主は愚痴を一通り言うと、竹生島へ釣りに行くと言った。

「とりあえず、ブラックバス3匹が目標だな」

そして、あんたは素人だから、きっと0匹だろうと。

多分、竹生島へ来いという意味だろう。

私は旅館の主人に、竹生島の位置を聞いた。菅浦集落の南方3kmの島だという。ここから船は出ていないので、行きたければ、だれかに空き漁船を借りるしか無いという。

旅館を出た。

琵琶湖の方を見ると、沖に島が見えた。竹生島だ、意外に近い。

どこかで漁船を借りよう。漁港で誰かに声をかけてみよう。幸い、お金はいくらか持ってきていた。

旅館から漁港までの道を歩いていると、材木屋さんなのだろうか、店の前に長さ3mくらいの材木を何本も軒に立て掛けて並べた店があった。

私がその前を通り過ぎると、突然材木がガタガタと倒れてきた。私はパッと走り、間一髪で当らずに済んだ。私の後ろでは倒れた材木が積み重なって山となり、もしその下に埋もれていたら、私は助からなかっただろう。

周囲には人の気配はない。

風のせい?偶然?

私は漁港に着き、網の修理をしていた初老の一人の漁師に声をかけた。料金を払うから、船を貸してほしいと伝えると、了承してくれた。どこへ行くんだ?と聞くので、竹生島と答えると、急に渋い顔をして、断られてしまった。

「あの辺りは、どこの奴らか知らんが、ガラの悪いのがいるから、近寄らん方がええ」

理由を聞いても答えてくれず、埒が明かないので、他の人に声をかけてみたが、皆同じ答えだった。

漁港の一番端のかなりボロい漁船の近くに、少し若めの漁師がいた。暇そうにタバコを吸っていた。彼に声をかけた。

「5万なら、受ける」

距離的には、往復1時間もあれば十分なので、かなり高い。迷った。

「竹生島へ行くやつは、俺以外にはいないぜ」

私が竹生島へ行きたいが、漁船を貸してくれる人がいないということを誰かから聞いたらしい。

仕方なく、了承した。

「明日、夕方の出港だ。昼間は、柄の悪い奴らがいるからな」

金を払い、しばらく周辺を散歩し、少し小高くなった高台から、琵琶湖の湖面を見た。数隻の船が竹生島の周りに停泊していた。

何してるんだろう?


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