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令和の乱  作者: 岡田一本杉
関西
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菅浦集落

ぼんやりと視野が戻ってきた。天井が見えた。桟敷が見えた。

ここはどこだろう。なんでここにいるのだろう。

しばらく考えて、崖から落ちたことを思い出した。

私は布団の中で寝ていた。周囲を見回すと、おばあちゃんの家のような、和室の室内だった。

上半身を起こす。少し背中は痛いが、ただの打ち身のようだ。頭も特に大丈夫そうだった。

「気が付いた?」

襖が開き、私と同じくらいの年の女の子が顔を出した。

急だったので、なんと答えれば良いか分からず、しばらく呆然としていた。

「崖の下で倒れてたから。怪我はない?」

そうか、この子が介抱してくれたのか。

「うん、大丈夫みたい。ありがとう」

彼女は夏希と名乗った。私も自己紹介した。夕食の用意があるからと、隣の部屋で夕食を御馳走になった。食べながら聞いた。

「ここ、どこ?」

「菅浦集落っていうんだけど、まあ普通の人は知らないよね」

菅浦集落は琵琶湖岸の集落で、背後は崖、前は湖面という陸の孤島だ。目的地には着いたようだ。

ここは漁師町で、地域の人はほぼ全員琵琶湖の漁で生計を立てていると、彼女は言った。ただ、最近は漁も不作なのと、今は一部の魚が禁漁期なので、両親とも他の町へ出稼ぎに行っていた。今は、この時期でも漁師を続けている近所の人の手伝いをしながら、一人で、生活しているという。

私とちょっと似てるかも。

同じくらいの年で、一人暮らししている人って、いるもんなんだなと思った。

「なんで、こんな辺鄙なところに来たの?」と夏希。

第3師団の部隊の配置図をもらいに、とは言えない。

「ちょっと一人旅みたいな感じで」

ふーんと、夏希は不思議そうな顔をした。

私は助けてくれてありがとうと、何度も言った。全然知らない人に、家まで運んでもらって、夕食までごちそうしてもらって、こんな親切な人がいるんだ、と思った。


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