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令和の乱  作者: 岡田一本杉
東海
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作戦の目的

私は急いで寝室のドアをノックした。返事がなかった。もう一回、強くノックしたが、無反応だった。仕方なく、私は隣の寝室への扉を開けた。

寝室は空だった。人がいた気配すらなかった。

もしかしたら、暴発音を聞いて、クローゼットに隠れたのかもしれないと思い、クロゼットも開けたが、いなかった。

「博士ー、博士ー」

全く返事がなかった。

「きもう博士ー、亀毛博士ー、亀毛兎角博士ー、きもうとかく博士ー」

後ろで、クスリと笑い声が聞こえた。張本さんだった。

「私達、騙されたのよ。亀毛兎角って、仏教用語で、存在しないという意味よ。そんな博士は最初からいなかったのよ。私はとんだ道化だった」

それから彼女の目から、涙が一筋流れた。

「西村さんも、かわいそうに。あなたも使い捨ての駒だったのね」

ゲホッと彼女は血を吐いた。

「寒い」

彼女は呟いた。私は寝室から毛布を持ってきて掛けた。

「誰か呼んで来るから」

立ち上がろうとすると、彼女は私の服の袖をつかんだ。

「待って」

彼女の声はか細くなっていた。

「私、の分、まで、幸せに、なって」

「何言ってるの?一緒に幸せになろう」

「あなた、は、人と、知り合う、能力が、ある。私、には、それが、なかった。あなた、は、幸せ、に、なれる。私、が、不幸、なのは、それが、原因。国、とか、本当、は、関係、ない、って、うすうす、気付いて、いた。ただの、言い訳」

彼女は息すら苦しそうだった。

「もっと、早く、別の、形で、出会い、たかった。そう、すれば、良い、友達に、なれ、た、の、に」

息を引き取った。自然に涙が出てきた。張本さんが亡くなったことに対してではなく、今までずっと苦しんできて、それを誰にも言えなかったような気がしたし、それを私以外には言えないまま亡くなったのが、かわいそうだった。

孤独な人、だった。

そして、私も多分、孤独な分類に入るだろう。

私はホテルを出て、中本さんの車に乗り、経緯を話した。そのまま静岡県まで送ってもらい、近くの駐屯地で、制御装置と一緒に降ろしてもらった。

中で事情を話すと、32連隊は名古屋制圧のために、自治体連合軍を集結させ、近くまで来ていた。

翌日、小隊長が来た。経緯を話し、装置を渡すと、作戦は大成功だと言った。

「5名、亡くなりました」

おとなしくて、コンプレックスの塊の私でも、ちょっと感情が出てしまった。意識できないけど、怒りという感情かもしれない。

小隊長は私を別室へ案内した。小さな机と椅子があり、私に座るように促し、座った。

もう一度、彼は大成功と言った。私は怪訝な顔をした。

「かねてより、部隊内で、情報漏れの疑いがあり、内々に調査していて、その過程で疑わしき5名が浮かび上がった。それが今回の5名だ。今回の作戦は、スパイをあぶり出すのが目的だった。もちろん、偵察衛星の制御装置の回収も重要で、その二つを同時に達成した君は、大変優勝だ」

「なぜ、私が?他にもっと適した人、いると思う」

「君は完全に白だから。仙台での活躍もあるし、もともと大宮で私達を解放してくれたのは、君だから」

そう言って、彼は出ていった。


自治体連合軍は、偵察衛星を使い、第16師団の部隊配置を把握した。

翌日、自治体連合軍は総攻撃を開始し、各敵部隊の補給線を切断した。

第16師団は総崩れになり、敗走した。

自治体連合軍は各駐屯地の占領と同時に、名古屋を制圧し、翌日、愛知、岐阜、三重の知事は、東京の武装勢力から離脱し、自治体連合と合意文書に署名、降伏した。


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