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令和の乱  作者: 岡田一本杉
東海
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ホテルの居室

中本さんの会社の出張所が名古屋市内にあるので、まずはそこに向かい、そこに泊めてもらいながら、博士の居所を探すことになった。

数時間で、出張所に着き、仮眠用のベッドで久しぶりに熟睡した。食事も久しぶりに普通の、まともなものだった。

その間に、中本さんは仕事仲間など、独自の情報網から博士の居場所の情報を集めた。私の通信機は、特急車内で取り上げられてしまったから、本部と連絡は取れなかった。

3日後の夜、中本さんは博士の居場所が分かったと言った。

「中央区のセントラルホテルに隠れてて、自治体連合側と連絡を取りたがっているらしい。オレたちと同じ様に、地下で自治体連合寄りの活動している人から聞いた情報だから、前みたいに中国軍のワナということないと思う。多分、まだ中国側も知らない情報だ」

明日の朝、ホテルに向かう事になった。

「一応、これが必要か?」

中本さんは、そう言って小銃を出した。私はもともと持っていなかったけど、張本さんは列車で捕まった時に、取り上げられてしまっていた。

「念のため、ありがたく受け取ります」

張本さんはそう言って小銃を受け取り、安全装置やスライドを動かしたり、弾倉に充填できるかなど、使えることを確認した。

「中国軍がいないなら、使うことは無いと思う。安心して」

そう私を見ながら、彼女は言った。


翌朝、私と張本さんは、中本さんの車に乗せてもらい、3人でセントラルホテルへ向かった。今度の車は、後部座席も付いていて、私と張本さんが後部座席に座った。

博士と会えれば、そのまま静岡へ向かうため、制御装置も車に積んだ。

ホテルの駐車場に着いた。周辺は特に変わった様子もなく、中国軍が待ち伏せをしている様子もなかった。

「私だけで大丈夫だから」

張本さんはそう言うと、一人でホテルへ向かった。私は中本さんと二人で、車の中で待っていた。

ふと、車内を見ると、制御装置が無くなっていた。博士がいれば、この車で静岡まで行くのだから、装置を持っていく必要はないはずだ。

ちょっと胸騒ぎがした。それは仕事熱心とかではなく、張本さんに興味があったことの方が大きいと思う。

「ちょっと見てきます」

部屋番号を中本さんに聞き、私もホテルへ向かった。

ロビーから入り、エレベーターで博士の階に着いた。一部の部屋はチェックアウト後の掃除が始まっていて、クリーニングの台車が廊下にあった。その台車の前の部屋は掃除中のためか扉が開きっ放しになっていた。

ホテルの廊下はL字になっていて、角を曲がると博士の部屋がある。歩いていくと、ちょうど張本さんが中に入ろうとしていたところだった。

「張本さん」

私が声をかけると、彼女は振り向いたが、何も言わずそのまま部屋に入った。私も彼女に続いて、部屋に入った。

部屋はかなり高級なセパレートタイプなのだろう。リビングとダイニングと寝室が分かれているタイプで、ここはリビングっぽかった。博士はそこにはいなかった。

扉が私の後ろで、自動的に静かにバタンと閉まった。

リビングは、がらんとして静まり返っていた。すべての備品があった場所に整っていて、人の生活感がなかった。

「トイレかな?」

私は洗面所の方へ行き、トイレや風呂を見たが、博士はいなかった。

リビングに戻り、張本さんに向かって首を振った。張本さんは、リビングで無表情に立っていた。装置のアタッシュケースは足元においてあった。


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