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令和の乱  作者: 岡田一本杉
東海
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作戦失敗

佐田倉さんが私に言った。

「ワナだよ。俺ら、ワナに引っかかったんだよ」

初老の男性が自慢げに説明し始めた。

「装置の方は容易に回収できたんだが、博士の行方が全くつかめなくてね。そこで、私が偽の博士になりすまして、私を奪い返しに来る君たちをお招きして、ぜひお聞きしたいと思った次第だ」

「俺らは何も知らない。だから、ここに来たんだ」

と佐田倉さんが答えた。

「知らないなら、交換材料にするまでだ。彼女は通信機を持ってるから、本部と通信できるんだろ」

そう言って、初老の男性は私を見た。

私は声が出なかった。

「まあ、良い。名古屋の領事館に着いたら、ゆっくり聞かせてもらう」

私達3人は、みんな後ろで手錠をかけられて、空き席に3人揃って座らされた。

私は窓際で通路側の佐田倉さんが、小声で私に経緯を話してくれた。

デッキの見張りの中国兵を倒すところまでは計画通りだったが、先頭車両に入ると、中国兵がおらず、私服を着た普通の乗客ばかりで、誰が博士かも分からなかった。二人は後ろから順に乗客を見て、博士らしき人に声をかけた。

彼はそうだと答えたので、助けに来たので、下呂駅で一緒に下車しようと言ったところ、周囲の乗客が一斉に立ち上がり、押さえ込まれてしまったと。

この車両の乗客は、全員私服を着て普通の乗客のふりをした中国兵で、博士も偽物だった。

ただ、装置は本物らしい。初老の偽の博士がいつも抱え込んでいた。

「俺ら、どうなるんだろう」

佐田倉さんはかなり動揺して、頭を抱え込んでいた。

「拷問、だよな。普通」

一方、張本さんはクールなままだった。張本さんを見ていると、何を考えているのだろう?と不思議な気がした。

私は、自分の状況が分かっていず、いや危機的だと頭では分かっているけど、実感がなかった。もしかしたら、外から見たら、落ち着いているように見えるのだろうか?そうすると、張本さんも同じなのかも。

車窓から、時々、駅が通過していくのが見えた。

そろそろ下呂駅に停車する時間だ。でも、一向に減速する気配がない。

そのうち、車窓に、下呂という駅名表示板が高速で後ろに通り過ぎ去っていくのが見えた。下呂駅で停車しなかった。

運転士が買収された、または脅されたかして名古屋までノンストップなのかもしれない。私達3人は通り過ぎていく下呂駅を見て、もう終わりだと諦めつつあった。


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