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令和の乱  作者: 岡田一本杉
東海
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奪還計画

具体策に話が移った。張本さんの案では、3人で一般の旅行客を装い、特急に乗り込み、目立たないように中国兵を順に始末し、途中の下呂駅で制御装置と博士とともに下車するという計画だ。

発砲音が目立たないように、小銃にサイレンサーをつける。他の機関銃などは置いておくなど。

私には計画の是非は分からないが、中本さんも納得してそうだった。私たちは汚れた服を中本さんに代えてもらい、リュックの荷物もほとんど捨て、小銃とサイレンサーだけを持ち込むことになった。私は通信機を捨てる分けにはいかないから、上にカバーをかけ、ちょっと大きめのリュックの振りをする。

中本さんに高山駅まで送ってもらい、名古屋までの切符を買ってもらった。自動券売機がとても珍しく思えた。埼玉ではまだ鉄道は動いていなかったと思う。自転車とトラックでの移動ばかりだったから、分からないけど。

停車中の特急に3人で乗った。博士を探して車両をまず前の方へ行くと、先頭車両は貸し切りとなり、立ち入り禁止になっていて、扉の両側に中国兵が銃を持って立っていた。つまり、先頭車両に装置と博士がいるのは確実だった。

特急がガタンと動き出した。中本さんはワゴン車で先に下呂駅に向かった。私たちは前から2両目の車両に座り、いつ先頭車両へ行くか考えた。私は銃の撃ち方の訓練を受けていないので、このまま2両目で待っていて、二人が博士と装置をもって、ここへ戻ってくることになった。

「よし、行こう」

佐田倉さんが決心して、立ち上がった。張本さんが続いた。二人は2両目の客室から出て行き、私は二人の後姿を見送った。

電車のガタゴトいう音が大きく、デッキでの出来事は全く音が聞こえず、どうなっているか分からなかった。

かなり時間がたった。5分、いや10分くらいか。銃撃戦にそんなに時間がかかるとも思えず、だんだん不安になってきた。もしかして、二人とも返り討ちにあったかもしれないと。

突然、客室のドアが開いて、私服姿の男が入ってきて、私の腕をつかんだ。男は私の腕を引っ張って立ち上がらせ、前の車両に連れて行った。車両の入り口には、中国兵が二人倒れていた。

先頭車両に腕を引っ張られて入ると、佐田倉さんと張本さんが、私服の男に後ろで手を押さえられて、捕まっていた。車両の中に、中国兵の制服を着た人は一人もいなかったが、客層が明らかに他の車両と違っていた。女性や子供が一人もいなかった。

二人のすぐ近くの席に座っていた初老の男性が立ち上がって、こちらを見た。

「3人と聞いていた。これで全部だな」

彼の足元には、少し大きめのジュラルミンのアタッシュケースが置いてあった。直感的にあれが目的の偵察衛星制御装置だろうと思ったが、その隣りにいるこの初老の男性が博士じゃないのだろうか?

それに、中国軍に捕まっているはずなのに、この余裕の態度に不自然さを感じた。

「君たちには、博士の居場所を吐いてもらう」

彼は博士ではないのか?

私はよく事情が飲み込めなかった。


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