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令和の乱  作者: 岡田一本杉
東海
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ランデブー

市内はがらんとしていて、人通りはほとんどなかった。でも、全く人がいないという訳でもなく、時々荷物を運んでいる人や、店をやっている人がいた。停電と断水でも、それなりに町は動いていそうだった。

ごくまれに、遠くを車が走っているのを見かけた。ガソリンの供給が止まっても、残っている分で、車を動かしているのだろう。

1時間ほど歩いて北上し、市の北東の高校前にたどり着いた。高校は当然休みで、生徒は一人も見えなかった。

私たちは、直接高校の敷地内には入らず、少し離れた民家の物陰に隠れて、様子をうかがった。白川郷の神社のように、中国軍に取り囲まれることを恐れてのことだった。

もともと指令では時間の指定はなかった。いつ協力員がくるのか分からないので、そこでずっと待った。時々、人が高校前の道を通り過ぎることがあったが、何もせずにそのまま通り過ぎて行ってしまった。

「隊の方ですか?」

突然、誰かが後ろから声をかけた。皆が振り返ると、30代後半くらいの男性が立っていた。

佐田倉さんが、はい、と答えて、相手は協力員だと言った。彼は中本さんといい、この町で電気工事の店を経営していると自己紹介した。

「ここではなんですから、私の店まで良いですか?」

彼の店は歩いてすぐのところだった。家から高校を見ていたら、4人組が高校のほうを観察しているのが見えたので、すぐに私たちだと分かったという。

店の打ち合わせ用の小さなテーブルに付いた。

お茶を4人分持ってきてくれた。久しぶりにお茶を飲んで、おいしかった。

早速、中本さんは話を始めた。

「この町には、私の他にも協力者がいまして、彼らから得た情報によると、偵察衛星の制御装置は、すでに中国軍が回収し、名古屋に移送の予定です。ただ、博士の居所が不思議なことに、私たちの情報網には全く引っかからないのですが、中国軍は博士の身柄もすでに確保したようで、制御装置と一緒に、今日の夕方、列車で名古屋に移送の予定です」

今日の夕方と聞いて、皆急がねばという雰囲気になった。

「通常の特急列車で移送すると聞いています。そのため、一般の客も乗っていると思われるので、どうやって博士を連れ出すか、見当がつきません」

電車が動くのかと、佐田倉さんが聞くと、発電所が一部再開し、大都市やJRなどの幹線に優先的に復活しているという。

佐田倉さんは、乗り気でなかった。もうこのまま諦めて、体制を立て直した方が良いと主張した。

「中国軍の主力部隊に、制御装置や博士を連れ込まれたら、取り返すのがより困難になると思う。今ならまで、警戒も手薄だから、タイミングは今だと思う」

張本さんは冷静に言った。私はどっちとも分からなかった。

聞いていた中村さんは、できる限りのサポートをすると申し出た。装置と博士さえ確保できれば、車ですぐに長野の12旅団の区域に向かえるので、確保さえできれば良いと言った。

張本さんが、意外に積極的で強気だった。中国兵は、今後の統治のことを考えて、一般の日本人の前では手荒なことはしないだろうと。また、ここで止めたら、岡本さんや水崎さん、浜田さんの遺志を無駄にすることになると。

佐田倉さんは、しぶしぶ頷いた。


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