身を焼く炎
昨日投稿できなくてすいません。
仕事忙しすぎて死んでました、できるだけ二日に一回投稿心掛けていきますので、応援よろしくお願いします!
悲鳴が聞こえる。
僕はそこで重く閉じていたまぶたを上げ悲鳴の出所を探す。
だが探すまでもなくそれはすぐに見つかった。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇえ…熱い熱いよぉ」
僕の目の前でそれは行われていた、処刑……いやそんな生易しいものではない。
十字に組んだ木に磔にされ燃やされる、僕はその光景に思わず吐き気を催す。
この世界に来てから人間の死というものをたくさん見てきたが、これは酷い。
火炙りを行うのは狂気の笑みを顔に貼り付けた一人の同級生だった。
「こんなに早く来るとわね」
正直何故こんな事になっているのか分からない。最後の記憶はアイツに魔力を封じられた所だ、そこからの記憶が一切ない…まぁ無い方が少しはマシかもしれないな。
僕はこれから死ぬ、あぁなんてあっさりした結末なんだ、これが創作物の世界なら真の力に目覚めたり誰かが助けてくれたりと色々あるんだろうけど、残念ながらそんな事は起こらない。
それに自力で逃げることも不可能だ、なんせ手足が無いんだから。
不思議な事に痛みは感じない、恐らく目の前の彼が治療したんだろう。
その傷で僕たちが死なない様に。
いつの間にか悲鳴が止んでいた、そして場違いな嗤い声が聞こえてくる。
「あはっ!あはははは、よしこれで四人目だこの死に方は随分と苦しいんだなぁ」
生きたまま焼かれるなんて苦しいに決まっている。
それはピクリとも動かず体から煙をあげる聖夜を見れば明らかだ、全身は真っ黒になり可愛らしかった面影は一切見られない。
「そんなに楽しいか?」
僕は未だ嗤い続ける霞に話しかけた。
「ん?楽しいとは少し違うな……ザマァ見ろとは思うが」
この返事を聞いて僕は後悔した、今更遅すぎるがあの時霞をかばっていれば僕達は死ななくて済んだのではないか?と。
……いや、結局霞と僕たちは分かり合えなかっただろうな、僕たちの思考は歪んでいるが霞は歪んでいなかったんだから。
「くくく、そうか、なら早く殺せ」
だが、ただで死ぬ訳にはいかない。
どうせ死ぬのならお前に一矢報いて死ぬ!
さぁ!早く殺せ!
「へぇ、それで何企んでるんだ?」
僕はその言葉に思わず体を強張らせる。
霞の眼を見ると全てを見透かされてる様な気に陥ってしまう。
それほどに彼の眼は美しく嫌な冷たさを放っている。
「……随分と疑ぐり深いですね、もう諦めただけですよ。何をしようと逃げられる可能性はないんですから」
「まぁ、確かに逃げられる可能性はないな。だがお前が何もせずむざむざ死ぬとも思えない、お前は人を欺くのが上手いからな」
霞は僕という存在を正しく理解していた、いや理解されていた。
確かに僕は人を騙すのが上手い、それが邪魔して事を上手く運ぶ事ができなくなっているんだが……
「手足も無く上手く魔力を使う事もできない今僕にできる事はなにもない、こんな姿を晒し続けるのは恥だ
さっさと殺せ」
18歳か…まさかこんなに早く死を迎えるとは思わなかった。
それに焼死とはね、まぁ両親がこの事を知らずに済むのは良かったかな。
「ならお望みどおりにしてやる、じゃあな和奏」
そこから死ぬまで僕は悲鳴を出さない様に耐え続けた。
自分の体が焼ける匂いと痛みを押し殺して。
★★★
聖夜に続き和奏も殺した。
だが和奏を殺しても何も思わなかった、聖夜を殺した時の方が感慨深いものがあった。
「やっぱり、悲鳴があるのとないのとじゃ感じ方が違うな」
そう和奏は焼かれる間一切の音を発さなかった、聞こえていたのは体が焼ける音と炎が弾ける音だけだった。
残る標的は山岳と西条だけだ、この国にまだ勇者がいるかは知らないがとりあえずこれで七人を……
「……ん?アーシャが消えた?……いやこの国にはいるな【時空魔法】を使ったのか、てことはルーシーと人間が戦ってるんだな」
人間にルーシーと渡り合える奴が居るとは到底思えないが、まぁ早めに行く事に越したことはないだろう。
「よし、とりあえず、山岳お前を殺す」
俺は思考を打ち切り、泣き喚く山岳に死刑を宣告する、それに一切の慈悲は存在しない。
「やめろおぉお!やめてくれぇぇぇ!お願い!お願いだぁ霞、助けて助けてくれぇぇ」
恥もプライドも捨て命乞いをする。
小悪党にありがちなテンプレな対応だ、そしてそれに対する対応も大体決まっている。
「助けるなんて事はあり得ない、今まで犯した罪をあの世で償え」
俺はそれだけ言い残し、親指と中指を擦り合わせパチンッと音を鳴らし炎を出す。
炎や水を出すぐらいならこれだけで済む。
「いやだぁぁぁぁぁぁぁ、ママぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そして山岳は終始ママと叫びながら灰になり消え去った。
今までで一番意気地なしだった、喜持ですらあんな死に様ではなかったと言うのに。
そして最後は西条だ。
「言い残す事は?」
何故そんな事を聞いたのかは自分でもわからない。
ついつい口に出てしまったと言うのが正しいだろう。
「私に悔いはない、私が弱かった、だから負けたそれだけの事だ」
武闘派らしい奴のセリフだ。
「そうか、じゃあな」
俺はまた指を鳴らし炎を出し、前の三人同様体を燃やす。
西条は一切の悲鳴を上げなかった、それが恥だとでも言うかのように静かに灰になり死んだ。
和奏とはまた違う感じだった、武士の最後とでも言うべき死に方だった。
今回の復讐は余り奴らを絶望に堕とせなかった。
それだけが心残りだが、終わったものは仕方がない。
「殺したのには変わりない、切り替えていこう。とりあえずルーシーの所へ行くか」
俺は魔力を頼りにルーシーの所へ駆け出した。
★★★
十六夜が山岳を殺していた頃。
〈帝国 王城 地下〉
暗がりの階段にコンコンと靴の音が反響する。少しジメジメしたカビ臭い空気を吸いながら彼は下へと進んで行く。
階段を下りきるとそこには三十メルはあるであろう、石で作られた扉が鎮座している。
彼は扉に手を翳し、こう口にする。
「開け、死境の扉」
その言葉に反応し、扉はガガガッという鈍い音を立てながらゆっくりと開く。
隙間からは悲鳴の様なものが絶え間なく響き渡り、生者の魂を引きずり込もうとする。
「……冗談だろ、なんで起動してやがる」
王である彼は和奏の言葉にずっと違和感を感じていた。
『後悔させてあげますから』
この言葉が頭からずっと離れなかった彼は自らここへ赴き、扉の中身を確認しにきた。
すると案の定それは起動しており、帝国を滅亡へと導くために今か今かと解放される瞬間を待ち望んでいた。
「あいつ……クソ!クソが!このままじゃ霞諸共この国は消える」
勇者が残した置き土産が産声を上げるまで残り十分。
それが過ぎると帝国は未曾有の災害により滅び、魔が蔓延る土地に成りかわるだろう。
自分が尊敬する先生の作品の二期と映画化が決定しました…
本当に凄い!それに作品のファンとしてとっても嬉しいですね!
楽しみだ!




