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「だってほら、やっぱ怖いじゃん?誰が見てるか分かんないしさ」
気後れし弁、弥縫策とて御尤も。
不義咎が蔓延びたらん不穏の世にありて、一身の女性なれば自明の懸念。二の足を踏むが用心、道理にこそ適いしも嘲るには及ぶまい。
「それだけ?」
名状しに難き煩雑の心胆を擽らん、内省さんの借問。
凌ぎて言い得し弁とて、腑には残りしネガティビティバイアス。右手が握るスマホ、空疎に窮して懐へと寄せたれば、述懐を促さんバイブレーションとなりし。
無季のしらばくれを刺激せん。
「いや、心が折れたくない気持ちもある……つーか」
口ほども無き杞憂の表裏、宛らメビウスの輪が如くなり。
切り札たる拠りし要とて所詮は井の中の蛙。さても情報の大海にありては如何とならんかな。
虚しく陽が当たらずば、儚く底床へと沈みて藻屑と消ゆしこと無きにしも非ず。
寧ろあり得て相応と臆心の尻ごみを為さん。
「それで?」
内省さんの間髪なる詰問、万事を見据えし和顔愛語の調べに乗りて、峻烈とばかりに鞭を振るいたり。嘲弄のアイトラッキング、四方へ泳ぐ思案を正鵠に追い立てたん。
「まあ、できればさっ、普通……つか、自然な出会いがいいなぁ、なんて」
居直りたる太き直情、末尾をはにかみし。
試みに申さば、無季とて21世紀の人。時代を綾なさん柔軟にてポチりも手練れたるや、デジタルエコノミーの末席に身を置きし者なり。
携え便利のハード、今さら漫然と余す心得無きにしも、やはり其処はお堅きリアル志向。
適い難し願いとて捨てるも難し。
「んなわけで、アプリは最終手段……かな」
幕も下ろしたり液晶に浮かぶ暗澹を翻し、スマホを目路より追いやりしも、淡き夢想にて敢然の断を為せぬ浅慮。
諸々気怖じて心躍らずとて、未だ背水の陣にあらぬを言い切りたれど、やはり奇縁は一縷の場がありてこそと抜かりも非ず。
「ずいぶんと余裕だね」
言わずもがなの胸三寸、賜りし皮肉は御尤も。
見果てぬ不甲斐なきを仰ぎたるや、徒なり己が故へと靡かせん自嘲に、吊り上がしは苦き口角。
虚ろなる遺憾の傾斜、光源背後と近きも前方に遠し。情緒に捩じれる慙愧の相貌、此れもまた純のセオリーなり。
「いや…………」
もどかしく言詰まりたるは袖無きに振れぬが未練。
辺りを賑わし若人たちに及ばずとも、せめて先程の店員に並びて歳月巻き戻りたるなら、刻もゆとりて活路も開けしもの。
無念なる臍、実に噛み応えがありなん。




