狂乱の魔人 狂気のスラッシュ感染 4
少女、少し気を取り直したのか、何とか口を開く。
「わ、私を小娘呼ばわりするな。シイナ・ジーンという名がある。それに・・」
「カーラ! 」「カーラさん! 」
彼女・シイナが何やら言いかけたのを遮るように追いついたレイミらが呼びかける。
「さっきの子等はどうにか助けたわ、でも・・みんな酷いショックを受けていて・・」
レイミの目には涙が浮かんでおり、フイリンはすすり泣いている。
そしてシイナ、
「また犠牲が増えてしまった・・」
「うるせえ、辛気臭えこと抜かしているんじゃねえ! 奴らには女の喜びを教えてやったんだ、処女のまま死ななかったんだから有難く思え! 」
「あんた・・、人間じゃない。ケダモノ以下のクズ野郎だよ・・」
怒りのあまりわなわなと震えているレイミ。そのレイミの肩に手をやり、ザイクロファーを睨みつけ、カーラ、
「決めた。お前は楽には殺さない。この世に生を受けたことを後悔するほどの地獄を味合わせてやる」
言うや否やザイクロファーの胸板の中心目掛け気弾をぶち込む。が、しかし、全くダメージを受けたように見えず、平然としているザイクロファー。
「ちっ、少し威力落とし過ぎたか・・」「ならこうだ」
鋭利な刃物と化す、気。それが奴の左腕を斬り落とす。
「さて、手足一つづつ落として達磨さんにしてやろうか? 次は足に行こうか? 」
だが、次の瞬間、カーラの不敵な笑いは凍りつくこととなる。なぜなら・・切断したはずのザイクロファーの腕が即座に再生したのだ。
「?!」(こいつ・・再生能力持っているのか? しかも私の再生スピードよりも早い・・!?)(そういえば、以前戦ったクレイドフルとかいう奴もこれと似た・・)
「ぐおーっほっほっほっ、何と、この俺様は不死の力を得ているのだ。てめーのその"気"だか何ぞなど痛くも痒くもないわ」
「不死の力だと? 」
たじろぐカーラ。
息を呑むレイミたち。
「へえ? 『不死の力』ですか? 」
いつの間にか来ていたミメント。
「解せませんね。貴方の様な只のチンピラ風情がそのような力を得るなど」
「うるせえ。ガタガタ抜かすんじゃねえ。手前から先に種付けしたるぞ! 」
精いっぱい虚勢を張って下品なセリフをほざいているが何となく言葉の端にあせりが見えるのは気のせいか?
「あのーミメントさん、私を差し置いて何目立っているんですかぁ? 」
口を尖らせ抗議するカーラ。ミメントそれをシカトしつつ、
「貴方の得たというその力、魔の者との何らかの取引の産物なのでしょう? 」
さらにザイクロファーに近づき、びっと指を突きつける。
「う、うるせえ、それがどうした、ゴルァァァ! 」
余程都合悪い事でもあるのであろうか、いきなりミメントに襲い掛かろうとする、ザイクロファー。すると突然飛んできたナイフが奴の眉間に突き刺さった。シイナの放ったナイフだ。
「こいつは私が殺す。だから、手を出さないで! 」
「貴方、さっき犯されかけておいて何を言っているのですか? 現にほら・・」
やはりザイクロファー、刺さったナイフを抜き取り、平気な顔して迫って来る。そして何やらぶつぶつと呟き始めたミメント。これは呪文の詠唱なのか? そしてほとばしる魔力の禍々しき光。それが黒い炎となり、ザイクロファーを包み込む。
「如何かしら? 魔界の黒き炎のお味は? ・・って? 」
何と、奴はそれでも平気な顔をしている。
「ブハハハハ、無駄だと言うとろうがぁ! このメス共がぁ! 貴様らは大人しく俺たちの肉便器になっておればいいのだッ! 」
「・・やはり駄目でしたか・・。かくなる上は・・」
「ええい、どけ、ミメント。私がやる! 」
堪りかねてカーラが再び前に出る。
「おい、お前、『不死の力を得た』とか抜かしていたな? それが如何ほどのものか私が試してやるよ」
カーラは手をこきこきさせつつ、口元には邪な笑みが現れている。
「カーラったら、何かまた禄でもない事思いついた、という感じね・・」
レイミがいささか引き気味に言う。
ザイクロファーに接近するカーラ。ザイクロファー、舌なめずりしつつ、
「げへへ、こいつ中々舐り甲斐のある乳だぜ」
するとカーラ、事もあろうに、いきなり奴の股間目掛けて下蹴りをかましたではないか! いわゆる金的というやつだ。
「・・・・」
言葉も出ず悶絶するザイクロファー。
「へえ、不死の力でも痛さは感じるんだ? こいつは面白い」
言うなり今度は、奴の右手を掴み、そして思い切り力を籠める。何か嫌な音を立てつつ、ひしゃげる手先。
「おい、えーとシイナだっけ? お前」
「え? 何? 」
「恨み晴らしたいんだろう? 私がこいつの動き封じとくからそのナイフで少しづつ刻んでやれ」
「はい!?・・」
さすがにシイナも少し引いたか。
「心配するな。こいつが再生するたびにまた、動けんようにしとくから」
恐る恐るシイナが近づいてくる。そして。
「ザイクロファー、・・よくも私の姉さんを・・。結婚を控えていて幸せそのものだったのに・・。それを・・許さない。絶対に! 」
そして「うあああっ! 」という雄叫びと共に奴を滅多刺しにするのだった。
「死ね死ね死ね地獄に行け苦しみ己の罪を思い知って死ねーっ! 」
ナイフを横に薙ぎ払い、奴の手の指が飛ぶ。が、不死の力を得ていると称するザイクロファー、たちまち再生していくのだった。
さすがに疲れが出たか、両手をついて息を荒くしているシイナ。見ればぽろぽろと涙を落としている。
「気が済んだか? 」
肩に手を置き語り掛けるカーラ。
「さて、それはそれとしてどうしたものか・・? 」
幾らぶちのめそうにも片端から再生してしまってはどうしようもない。
「溶岩にでも放り込むか。そうすれば再生しても溶けるだろうし・・」
「うっううっ」
呻くザイクロファー。そしていきなり土下座するのだった。
「分かった、金輪際悪さはしねえ。真面目に働くことにする。だから許せ(糞っ、完全に再生するまで時間稼がねえと・・)」
「はあ・・」と深くため息つきつつ呆れて物も言えない、という表情しながらカーラ、
(しかし、どうしてこの手の野郎はこういう見え透いた真似するんだろう? )
「誰が信用するかボケ! 」
「ねえカーラさん、本当に今までの悪事を反省して心を入れ替えるというのなら、許してあげてもいいのではないでしょうか? 」
堪りかねたのか口を出してくるフイリン。
「ハア? 何言ってんの、あんた! 」
今度はシイナがフイリンに突っかかって来る。
「あんたみたいな碌に現実を知らない見ていないようなガキに何が分かるの? 綺麗事ほざいているんじゃないわよ。大体・・」
「ちょっと! その辺にしときなさいよ、そう言うあなただってガキじゃないのよ! 」
今度はレイミが介入してくる。最早むちゃくちゃである。
「見た目で判断するんじゃない! 私はこう見えても・・」
だが、その言葉が無理やり中断される出来事が。




