運命の翼・飛翔する戦士たち 4
ベッドに入ったフイリンだが、なかなか寝付けずにいた。疲れが溜まっているはずなのに・・。とりあえず本でも読むことにした。すると・・、
「今晩はー、フイリンさん」
フイリンの寝室のドアが開き入って来たのは・・いうまでもなくカーラである。
「ねえ、フイリン、一人で寝るの寂しくない? 」
「いえ、別に。子供じゃありませんし」
「またまたー、無理しなくていいよ」
いい、とも言っていないのにすかさずベッドに潜り込んでくるカーラ。一人用なのに無理して二人入るものだから嫌でも体が密着してしまう。
「本当は、カーラさんが寂しいんじゃないですか? 」
「んん、まあ、気にするな」
「・・えっちな事はしないで下さいね」
「はっはっは・・するわけないだろ。安心しろ」
カーラの豊満な胸がフイリンの背に当たっている。正直、少し気持ちいいかも、と思うフイリンであった。
(なんだか少しお母様のことを思い出す・・)
そうこうする内に寝息を立て始めるフイリン。
(ふむ、まだ今一つ未熟だな。食べごろになるのはもう2、3年か・・)
彼女の体のそこかしこを触りつつ、邪な思考を巡らすカーラであった。
深夜、カーラの部屋に近づく一体の影があった。その影は静かに部屋のドアを開け、そのまま侵入する。そして、ベッドに接近する。
「ふふふ、あの、カーラ・エンジェルウィッチの血をいただけるとは実に幸運だ。魔の者と人の者との血を受け継いだ者はそう居るものではないからな・・、ん?!」
当然の如くベッドはもぬけの殻である。
「居ない?!何処に行きよった? 」
間抜けにもきょろきょろと周りを見回す。
「こんばんわ、お嬢ちゃん。夜這いかけに来るとはおませさんでちゅねー」
いつの間に部屋の入口の壁に寄り掛かっているカーラ。しかし、寝着のままなのでわりと間抜けなビジュアルである。
「カーラ?!きさん、何故? 」
「なにゆえって・・、最初から怪しさが爆発しとったわ。えーと、パラス・トロクサイだっけ? 」
「パラス・トロスダイだ! きさん、わざと言うておるだろう? 」
怒りと恥辱のあまり顔を紅潮させるパラス・トロスダイ。
「何だって? 私の血ぃ吸うつもりだったのか、お前? 嫌なこった。誰が大事な血やるかっての」「そうそう、悪い子はおしおきしないとねぇ~」
パラスに掴みかかろうと迫るカーラ。が。
「!?」
いきなりカーラの背後から、腕と足を掴み、首を締め上げる者がいた。
(ぐっ・・こいつらは? )
どうにか敵を確認する。奴らは先の使用人とメイドだ。3、4人掛りで動きを封じようとしている。
「よし、これで身動きとれまい」
逆に迫りくるパラス。かっと開いた口には鋭い犬歯が見て取れる。カーラの物よりも太く長く鋭い。
「そう恐るる事はない。失血死するほど吸うたりせぬ。また、お主が吸血鬼の眷属となることもない」
パラスの牙がカーラの首筋に迫る。
「お主、あちしの事を童と思うておるようだか、あちしは300年は生きておる。先頃、85年の眠りから覚めた刹那だ。あちしにしてみればカーラ、お主の方が小娘ぞよ」「それにしてもカーラよ、100年前はお主、随分と名を上げる行いを成しておったのう」
「?!(こいつ・・一体? )」
驚愕するカーラ。バラス、いきなり牙を突き立てることはせずに、首筋をぺろりと舐めだす。
「ああ、綺麗な肌だ、ますます突き立て甲斐がある・・」
そして、次にその牙を突き立てようとした時、
ガスッ! 鈍い音と共にパラスが後方に吹き飛ぶ。カーラが頭突きを食らわせたのだ。そして、その勢いなのだろうか、押さえられている力が一瞬弱まった気がした。そのチャンスを逃さず腕を振りほどき、反撃に転じた。
カーラのパンチと蹴りが、使用人共に炸裂する。
「え?!何だこいつら? 」
驚くのも無理はない。倒れた使用人やメイド・・だった物は明らかに・・人ではない。
「こいつら傀儡だったのか・・。数体の傀儡を同時に操るとはあいつ見かけによらずかなりの魔力の持ち主か・・」
安堵する間もなく更なる傀儡共がわさわさと階下から上がって来る。奴らは最早、使用人の仮面をかなぐり捨て、爪を尖らせ、口部には尖った歯を生やし完全に戦闘モードとなっている。
「チッ、糞うざい」「おら、消え失せろぉ! 」
気弾をまとめて傀儡の群れに食らわせ、階下にぶち落とす。あっさり壊れ、動かなくなる傀儡共。
「カーラ、きさん・・、もう許さぬ。こうなったら手足引き千切り動けぬようにしてから血を啜ってくれようぞ! 」
ダメージから回復したか、恐ろしい形相で、立ち上がり迫りくるパラス。すると・・、
「夜中なのにうるさいです・・。目、覚ましてしまったじゃないですかー」
さすがに騒がし過ぎたようで、寝ぼけ眼のままフイリンが起きてきてしまった。
「まずい! フイリンが人質に取られたら・・」
しかし、奴はフイリンに近づこうとしない。それどころか一瞬怯えたような表情を見せたのだ。これは一体? 当然それを見逃すカーラではなかった。何やらピンと来たのか、
「フイリン、折角気持ちよく眠っていたのにな。うるさいのは全部あいつが悪いんだ」
そう言うと、彼女を前に引き寄せゆっくりとパラスににじり寄っていく。
「あのー、状況が全然飲み込めないんですけど? 」
「あいつは、見た目はガキだが実は私の三倍以上生きている吸血鬼らしいんだわ。んで、身の程知らずにも私の血吸おうなどとしやがったのでお仕置きしようとした所だ」
「はあ・・? 」
やはりまだよく分からないみたいなフイリン。
「そういえばフイリン、お前確か女神アンジュエラに仕えるシスターだったよな? 」
「・・もしかして忘れていたんですか? 」
「・・それはそれとして、アンジュエラといえば慈愛と清浄を司る女神、従ってその真逆である不浄の産物である吸血鬼は、アンジュエラを恐れるのも必然! 」
迫りくるカーラとフイリン。
「ええい、来るな! 来るなと言うに! 」
冷汗に塗れているパラス・トロスダイ。カーラ、すかさず彼女の腕を掴み、うつ伏せに引き倒す。
「きさん、何をするつもりだ!?」
明らかに言葉の端に脅えが見える。
「言っただろう。お仕置きをするって」
実に嬉しそうににやりと笑うカーラ。下腹部を持ち上げ、スカートをめくり上げ、タイツとパンツを引き下ろす。そしてその生白い尻にスパンキングをかますのだった。
ペチッペチッといういい音が屋敷内にこだまする。
「い、痛い、よさぬか、この痴れ者がぁぁぁっ! 」
まだ寝ぼけ眼のまま呆然と突っ立っているしかないフイリンであった。




