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血の祝祭・鬼女と半妖 1

 カーラたち一行は、ブラグザース国に入り、トアオミの街に滞在していた。何でもここ数か月の間にこの街を含む近隣の地域で少女の行方不明が続発しており、彼女らはその捜査を引き受けたのだ。

「この街はかつては賑やかで盛っていたのに今はゴーストタウンのようだ」

「皆表に出ないようにしているのでしょう」

「ここの役人は機能しているの? 」

「いないから我々に依頼したのだろう」

 話をしつつ、表通りを歩く四人。まだ日中の街中にもかかわらず、人通りは酷く少ない。ただこうしていても埒が明かない。何か情報を収集せねば。

「耳に挟んだ話だが、何でも処女を狩り集めるのを生業にしている連中が居るとかどうとか」

 マノンがぽつりと言う。

「ふむ、そいつらがこの一連の事件の下手人か・・」

「以前遭遇した山賊みたいな奴らなのかな? 」

「それは分からんが、攫ってどうするつもりなのか? 性奴隷として売られるというのならまだ助かる可能性はあるが・・」

「それ以外には何か? 」

「胡散臭いカルトな奴らが生贄に使うとかも有り得る。そうなるとちとヤバいな」

 珍しく何やら考え込んでいるカーラである。

「知っての通り最近分けわからんのが色々やらかし始めているからな」

 ふと見ると彼女らの方に一人の老婆がふらふらとした足取りで近づいて来た。

「あんた方、行方不明の少女たちを探すのかい? 」

 突然のことに無言で頷く。

「私の孫娘が奴らに攫われよった。お願いだ、助けておくれ。孫娘は精霊の文様が彫り込まれた木のブレスレットを肌身離さず持っておる。だから必ず・・」

「ああ、分かったわかった、何とかする」

 うるさそうに先を行こうとするカーラ。

「大丈夫、私たちに任せてください。必ず助け出して見せます」

 胸を張り自信たっぷりに答えるのはレイミ。

「レイミ、安請け合いするな。無事でいる保証なんかないんだぞ」

「・・・」

 一瞬不満そうな表情をするが、カーラの言う事も尤もかも、と思い直すレイミ。

「何か策でもあるのか? カーラ? 」

 マノンが尋ねる。

「奴らの狙いは処女だ。すなわち・・」

 そう言いつつ、レイミとフイリンに目を向けるカーラ。ぎくりとする二人。(猛烈に嫌な予感がするんですけど) 

「というわけでお前ら囮になれ」

 うわあ、やっぱり。またかよ、おい。

   

 トアオミの街の郊外の街道を歩む二つの影。レイミとフイリンである。二人はいつもの服の上にフードを纏い互いに手を繋ぎ歩いている。

「何か今回の相手、今までとは違うんじゃないか、という予感がするのですが」

「・・たとえどんな相手だろうとカーラが潰してくれるよ。今までもそうだったし」

 後方から音もなく近づいて来るのは一台の魔動車。後部を貨物が積めるように広く取っているタイプだ。その車は二人を追い越したと思ったら、前方に停止する。これは怪しい、おいでなすったか、と身構える二人。案の定、運転席から二人の人物が降りてきた。しかも、ご丁寧に二人は覆面を付けている。ますます怪しい事この上ない。素早い動作で間合いを詰めてくる賊。そして短剣を抜き出し突きつける。

「お前ら、死にたくなかったら大人しくしろ」

 後部の荷物室に入るように促す賊。

(はいはい、ここは素直に従いますよ)

 扉が閉められ外から鍵をかける音がする。再び走り出す魔動車。

 フイリンは覚悟していたとはいえやはり不安を隠せず小刻みに震えている。そんな彼女を引き寄せ肩を抱くレイミ。

「安心して。私がついてるから。いざとなったら私だってやってみせる・・」


「うむ、どうやら釣り上げたようだ」「見ろ、動きが速くなった。多分魔動車に乗せられたのだろう」

 カーラとマノン、何やら石板に似たような物を眺めている。それは先の二人に持たせた魔石に合わせ反応する一種の魔道アイテムである。

「よし、追うぞ」

 魔道車に乗り込み、レイミらの後を追う。


 小一時間ほども走っただろうか、魔道車(くるま)が停止し、扉が開く。

「下りろ」

 覆面の男に促され外に出る。そして手に枷を嵌められた。すぐに目に入ったのは城だ。レイミの居た城に比べればかなり規模は小さいがそれでも立派な作りではある。ただ一風変わっているのは堀の代わりに高めの塀が周りに張り巡らされているところだ。そう、まるで外界から何かを隠すように。

「うむ、これは久々に上等の処女だ。雰囲気と匂いで分かる」

 手下を数人引き連れた体躯のよさげな男が出迎える。こいつが処女狩り隊のボスなのだろうか?

「これならクレイドフル様もお喜びになられるであろう」

(クレイドフル様? )

 聞いたことあるような気もしたが思い出せないレイミ。

「私たちをどうするつもりですか? 」

 気丈にも男に物申すフイリン。

「ぶふふふっ、お前らはクレイドフル様の糧となるのだ。最高の名誉なのだから感謝するがいい」

「連れていけ! 分かっていると思うがくれぐれも手を出すんじゃねえぞ。処女じゃなくなったら只では済まされないからな」

 「糧」って何? これはマジでヤバいことになるかも、カーラたち早く助けに来てくれないか、と思いつつ引っ立てられていくのだった。

 塀に開けられた狭い扉を通り、城の敷地に入っていく。そこから地下へ通じていると思われる階段を下る。厳重そうな扉が開かれ地下の部屋に入る。真っ先に感じたのは異様な臭い・・。何だこの臭いは? どこかで嗅いだような記憶があるように思う・・。

 (そうだ、以前行ったことがあるゲドム通りがこんな感じのだった、それ以外にも・・)

「ううっ、何この臭い? 吐きそう・・」

 やはり王族育ちのレイミにはきついとみえる。

 周りをよく見ようとはするが薄暗くてよく分からない。それでもだんだん目が慣れてきて少しづつ見えるようになってきた。通路に面して扉がいくつも付いているのが分かった。何やら牢獄にも見える。嫌でも以前山賊に捕まったことを思い出してしまう。そうするうちに一つの扉の前で止まった。鍵を開け、扉を開く。

「お前ら、検分があるまでしばらくここに居るのだ」

 無理やり中に押し込まれる二人。

(検分て・・? ・・どう考えても禄でもないことでしかなさそう)

 今は不安に震えるしかないのか・・。 

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