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炎の力・強襲!紅き独眼 3

 突如として装甲魔道車の前に姿を見せたそいつは?

「!??!カーラ!?」

 車両の展望塔(キューポラ)から外部を確認するグレプトン。

「何? ぬうっあれは紛れもなくカーラ。堂々と正面から来るとは度胸があるのか、それとも気でも狂ったのか・・? 」「まあよい、全速前進! 奴を跳ね飛ばしてやるのだ! 」

 ズドム!!ドドーーン!

 突如として爆発炎上する後続の装甲魔道車数台。レイミの兵が魔道装甲鉄拳(パンツァーファースト)

喰らわせたのだ。正面の装甲は厚いが、側面のはそれほどでもないので、意外にたやすく破壊できるのであろう。

「お、おのれーっ! 」 

 怒り狂うグレプトンであるが・・。

「お、おい、奴はどこに行った? 」

 外を見るがカーラの姿が見えない。すると、

 ガキッ! バリッ!

何やらもの凄い音がしたと思ったら、装甲魔道車の天井が破られているではないか。

「こんにちは、お元気? 」

「!?カ、カーラ貴様?!何て奴だッ! 」

グレプトンを引っ掴み車から引きずり出したかと思ったら、そのまま地面に蹴り落とす。

「ぐえっ」

 無様な声を上げる彼を胸倉掴んで引き起こすカーラ。

「おい、今すぐ総員撤退を命じろ! 」「私は無益な戦いは好まんし、お前も貴重な兵力を失くしたくないだろう? 」

「そ、そうはいくか、貴様の思う通りにはさせん、この世界を混沌に化そうとする貴様のな」

「? 何を言っているんだ? お前は・・」

 思わず掴んだ手を放してしまった。その隙を付くグレプトン。

ザグッ!

 何としたことか。彼の手にした短剣がカーラの脇腹を突き刺す。

「き、貴様ぁ~」

 不覚といえばあまりにも不覚だった。痛みが走り、出血もある。

「今だ! やれ! 」

 グレプトンの号令が飛ぶ。そして・・。

ヒュン!ヒュン!

 空気を切り裂き、飛来してきたのは数本の矢。グレプトンの部下たちが弩弓を使ったのだった。いつものカーラなら叩き落すなり掴み取るなりできるはずなのだが、深手を負っている今の彼女にはそれが不可能となっていた。

 モロに胸に腹に腕に突き刺さる矢。

「ふはっ、ははははは、貴様あ、ここまでやって楽に死ねると思うなよ~」

 半ば狂気を秘めたかのように笑い、なおも戦意を失わないカーラ。


 一方のレイミだが、カーラや兵たちが敵を引き付けている間に、この場を突破し、王都を目指す、という手法を考えていた。

(もしお父様の隊より先にロブハムホード王に接触できれば戦争終結の交渉できるかもしれない、でもそううまい具合に行くかどうか・・)

 敵に発見されぬよう、岩陰を縫うように進んで行く、レイミと後に続くフイリン。

「どこに行くのかな? お嬢さんたち? 」「こんな難所は子供が来るところじゃないよーん」

「!!??」

 彼女らの目前に現れたのは傭兵たち、そう、マノン率いる隊の兵数名だった。

「ふふふっ、後方に回されて腐っていたが、思わぬ獲物に会えたぜ」

 二人を取り囲む傭兵たち。

「何のことでしょうか? 私たちはただの村娘です、これから街にお使いに・・」

 引きつる笑い浮かべつつ言い訳しようとするレイミ。

「ハア? 剣持って防具付けた村娘がおるかい! お前は誰か分かっているんだよ、レイミ・キルミスター姫」

(ううっ、ばれてるのか・・、それにしてもこの人たち、ジュダスプーリの正規の兵隊ではないみたいだ、傭兵ってやつなのだろうか? )

「ほう、レイミ姫が居たのか? 」

「あっ隊長」

 姿を現したは隊長・マノン・ウオウ。歳はまだ若いようだがこのような荒くれの野郎共をまとめている所を見ると相当の実力者なのは間違いないだろう。鍛え上げたことが多くはない露出部からも良く見て取れる筋肉質の肉体、その辺の男と比べても遜色のない長身、右目に眼帯、片方の左目は眼光鋭く、見る者を威圧する。そしてやはり目立ちすぎる首のあたりで切りそろえた炎の如き紅い髪。彼女は幾たびの修羅場を掻い潜って来たのであろうか?

(この人、下手な口先三寸で誤魔化せる相手じゃない・・) 

 レイミは確信した。

「お前がレイミ・キルミスター姫か? 大人しく私と共に来れば危害は加えないでおいてやる(その後どうなるかは保証しないけどな)」

 あくまで威圧的な態度を崩さず、レイミに向かい手を差し出す。

「レイミさん・・」

 明らかに怯えつつ、レイミの背後に隠れるようにしているフイリン。

「隊長、この姫は俺たちが・・」

「グレプトン殿の命令だ、仕方ない」「どうしてもと言うならそっちの眼鏡の方で我慢しておけ、少し幼いがかまわんだろう? 」

「ま、いいか、こいつにも穴はあるだろうしな、ぐへへ」

 にじり寄ろうとする傭兵共。

「ふざけないで! 」

 剣に手を掛け睨みつけるレイミ。

「私はお前たちのような者に屈しないし、フイリンに手を出させもしない! 」

「ほお、随分と勇ましいお姫様だな」「私とやり合うつもりなのか? いい度胸だ」

 にやりと笑い、背に装備した大剣を手にするマノン。(マノン)の背丈の3分の2ほどもあり、柄や鍔禍々しい装飾がある。幾人もの血を吸ってきたであろう刃。

 レイミ、剣を抜き構える。そして、フイリンも杖を握り締めるのであった。

「何だ、小娘、そのへっぴり腰は? お前実際に人を斬ったこと無いのだろう? 」

 挑発するマノン。

「人を斬るのは実に快感だ、病みつきになる・・」

 にやりと、邪な笑みを見せる。

「な、なら貴方、今度は斬られる快感味わってみたら? 」

 声を震わせ、精いっぱい虚を張るレイミ。

「よかろう。ならばこの"ラウダーザンヘル"の錆にしてくれよう」

 言い終わる間もなく襲い来る。

 地面を抉る剣撃、間一髪かわすレイミ。

「でえい! 」

 岩陰に駆け込むが、その岩が両断される。

「どうした? 威勢のいい事抜かしておいて逃げ回るだけか? 」

「フイリン! 」

「はいっ! 」

 飛び出し、マノンに狙いを定めるレイミ。その体には防御障壁を纏っている。そしてそのままマノンに体当たりをかます。思わずよろけるマノン。そして・・。剣を振り下ろすレイミ。

「! くっ・・」

 間一髪かわされたか? いや、確かに手ごたえはあった。

 ぽとり。

 何かが落ちた。それはマノンの右目に着けていた眼帯・・・。

 蹲っていたが、すぐに立ち上がりつつあるマノン。わなわなと震えつつ、手で右目を押さえている。そして、ゆっくりと手をどけていく。その下から現れたのは、醜い傷跡・・。

「貴様あ~~、死なない程度に痛めつける程度にしておこうと思ったが、もう許さん! 」「殺す! 」

 ((や、やばいかも・・))

 レイミもフイリンも明らかにやばい雰囲気を感じ取ったようだ。部下の傭兵どもも、遠巻きに見守るしかないようだ。

「うおおおっ! 」

 横殴りに来る剣撃。吹き飛ばされ、岩にぶつかり、転げ倒れるレイミ。防御障壁がなかったら真っ二つになっていた所だった。それでもかなりのダメージは受けてしまっている。

(ううっ全身が痛い・・どこか骨折れたかも・・)

「今回復させますっ」

 駆け寄って来るフイリン。ヒーリングを施そうとするが・・。 

「どけ! 」

 マノンがもう近くまで来た。

「嫌だ! 誰が退くものか! 」

 レイミに覆いかぶさりながら、マノンにガンを飛ばす。

「ならばお前も共に斬り捨てるのみ」

 大剣、ラウダーザンヘルを振りかざすマノン。

   

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