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我が歩むは修羅の道・背後に広がるは死の荒野 3

その夜、キルミスター城の中、カーラに与えられた一室。そこに響いているのは喘声。

「あっあっああ」

 攻めているのはもちろんカーラその人。相手は城の使用人であるようだ。今回は上手くナンパできたのであろうか・・。

 繰り広げられるは耽美なるロンド・・。交じり合う二人の肢体・・。

 甘く暑く長い夜、時は流れていく・・。


 所変わりこちらはレイミの部屋。

 コンコン、ノックの音がした。

「フイリンです。入ってよろしいですか? 」

「ああー、待ってたよ、早く入って、フイリン」

 歓喜の表情でフイリンを迎え入れるレイミ。

「あ、あの、私のような者が姫様・・い、いえ、レイミさんのお部屋にお邪魔してよろしいのでしょうか? 」

「何遠慮することあるのよ、貴方は私の・・・その・・友達だから・・」

 少し照れ気味のレイミ。

「お城では年齢近い子も居ないから、たまに課外勉強会で外の子たちと一緒になることもあるけど、皆私が王女だというので、その、よそよそしいというか、そんな感じだし・・」「あ、ボマー茶は好きかな? 」

 話しつつ、自らの手で茶を入れ、菓子を出す。

「あ、はい、いただきます」

 菓子を齧り、茶のカップに口を付ける。さすが王族の仕様品だけあって高級そうなカップや皿と思える。が、今のフイリンにとってはそちらの興味よりも緊張感の方が勝っている。

 レイミ、彼女の心を見透かしたように

「そんな固くならなくていいよ、もっとリラックスしてね」「あ、そうだ」

 

 彼女らがそれぞれの夜のひと時を過ごしている今、城に接近する怪しき影があった。そう、それはまさに影と呼ぶ以外の何物でもなかった。誰の目にも留まることなく城門に接近する「影」。


 城門の衛兵の彼は退屈していた。毎日毎日、代わり映えのしない判で押したような日々。衛兵といっても特に怪しい者や危険な者などが来たためしなどなかった。彼の楽しみと言えば勤務明け後、彼女の元に行き楽しむこと。そんな日々が今後も続くはずだった・・・・。

 何かが、脇を通り過ぎたような気がした。そう、特に怪しい物など何も見えやしなかった。ただ、彼が最後に見えた物は、首と胴が真っ二つに切断され、こと切れている同僚の姿であった。そして彼は何も分からないまま、急激に目の前が暗くなっていった。


「キキキキキ、この城の警備は意外とザルだな、この分なら楽勝だぜ、ケケケ」「さぁて、お姫様はどこかなー? 」

 そして一枚の図面を取り出して見る。

「ウケケ、金で国や同胞を売る奴が居るのはどこも同じだな、おかげで仕事がやりやすくなるぜ」


「ねえ、フイリン、私が着ていたドレス着てみない?」

「え!?」

 唐突なレイミの直言。

「私が数年前に着ていた物だけどもう着れなくなってしまったから・・今のフイリンなら着れると思うよ」「フイリン可愛いからきっと似合うよ」

 言うが否や、レイミ部屋のクローゼットの奥から2、3着のドレスを引っ張り出してきた。

「で、でも私なんかがこういうドレスとか似合うはずないですし・・」

「そんなに自分を卑下しないの」

 

「ふむ、この上だな・・」

 城の下から上方を見上げる。明かりの点いている一室、そこだけはやけに豪勢な作りのベランダが設えてある。誰が見ても特別な部屋に見えるであろう。

 

「ど、どうでしょうか・・? 」

ドレスに着替え、レイミに見せる。

「わあ、すごい、可愛い、綺麗、とってもいいよ、フイリン」「いつものシスター服より・・いやそっちもそれはそれでいいと思うけれど・・」「何か思わず嫉妬しそうになるな~」

 目をハートにし、はしゃぐレイミ。フイリンを大型の姿見の前に連れていき、肩に手を掛ける。

「ほら」

(これが・・私・・)

 確かにいつもと違うフイリンの姿が鏡の中にあった。そう、自分自身でも思わず見とれてしまう程に。実際は数分なのであろうが、随分と長い事鏡の中の自分と対峙していたような気がする。興奮し過ぎたか何か体が熱くなってきたように思う。

「あ、あの、少し外で涼んできていいですか? 何か熱くなってきて・・」

 実際、少し汗も出てきたようだ。

「いいよ、その間に新しいお茶入れて来るね」

 奥の方にある給湯所に入ってくレイミ。フイリンはベランダに出てみる。夜の風が火照った体に心地よい。夜空の星も綺麗に見える。

(ああ、フイリンはレイミ姫様やカーラさんに出会えて幸福です・・これもアンジュエラ様の思し召しでしょうか・・)

 思わず女神アンジュエラに祈りを捧げる。(そして、お母様、(わたくし)フイリンの行くべき道を見守ってください・・)


「ケッケッケェ~、こんばんわぁ、レイミ姫! 」

「!!!!!????うっひぇ・・・・」

 悲鳴上げる間もなく口を塞がれるフイリン。麻酔薬を嗅がされたか、意識を失い、そのまま担ぎ降ろされていく。ロープを伝い降りた先にはバスオブンが待っていた。

「よし、こいつを連れてずらかるぞ、大事な人質だ、丁寧に扱え」

 フイリンをバスオブンに渡すエンバーゴ。

「おっと、こいつを忘れちゃならねえな」

 一通の何かを書いた紙をナイフでまだ死体転がる城門詰め所内の壁に刺し留める。そして城を速足に後にしていくのだった。

「エンバーゴ・・」

「何だ? バスオブン? 」

「あまり人質とか卑怯臭いのは俺の性に合わん」

「あ? 何抜かしていやがる、卑怯な手段無しにカーラに勝てるとでも言うのかよ、それよりあそこに来るまでに城の者に見とがめられ無かったろうな? 俺がちゃんと門の衛兵は始末しといたから」

「いや・・庭の茂みで卑猥な行いをしていた奴らが居たので成敗した」

「! ・・・お、おま・・まあいい、例の場所に行くぜ」

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