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邂逅・悪の華と聖女 7

「皆さん、このような悪行、人の道に外れています。今なら悔い改めればアンジュエラ様も許してくださるでしょう。だから・・」

「ごちゃごちゃうるせえ、このガキ!!」

 ゴスッ!

「うっ・・!?」

 何と、事もあろうに奴らの一人が腹パンを喰らわせた。堪らず崩れ落ち地べたにへたり込むフイリン。

おまけに何かこみ上げてきた上に下から漏れるのも感じた。

(ああ、さっきお茶飲みすぎたかなあ・・)人間予想外の事態に遭遇すると思考が混乱するものだ。

「よおし、脱がしたれー」

「わっ、こいつ漏らしてやがる、いけない子でちゅね~」

 眼鏡を取られどこかに放られたようだ。

「おい、何てことしやがる、眼鏡取っちまったら意味ねえだろ」

「うるせえ、突っ込めれば何でもいいだろ、いちいち気にすんな! 」

 スカートをめくり上げられ両足を掴まれ、上に持ち上げられる。最早抵抗したくてもできる状態ではなくなった。しかし、ここで諦めるわけにはいかない。

「あなたたち、もう・・地獄に落ちますよ・・こんな・ことすれば・・あなたにも家族がいらっしゃるでしょう・・」

 説得続けるつもりなのだろうが、最早、呂律も回らず、言っていることも支離滅裂になってきている。

「うぜえな、ちったあ黙れや、そうだ、俺様がキスで黙らせてやるぜ、ぶへへ」

 舌なめずりしながらフイリンに顔を近づけてくる。何ともおぞましいとしか言えない。

「あーずるいぞ、お前」

 万事休すなのか、目から涙があふれてくる。

(後悔なんかするものか・・ああアンジュエラ様・・お母様・・フイリンはまだ未熟過ぎました・・)

 目を瞑って瞼に浮かぶのは・・(??なぜカーラ(あの人)なのだろう? )


「はいはい! そこまでにしておこうね! 」

「?!」

 突如として響き渡る場違いな声。それは・・。月の光に照らされ、その銀の髪は妖しく輝いている。真紅の双眸はこちらを真っ直ぐに見据えている。

「あ? 何だてめーは? これからいい所なのに邪魔すんじゃねえ! 」

「おお、こいつもいい女じゃねえか、まるで鴨葱だなこいつは、一緒にヤっちまおう、かっ!?」

 カーラ、その野郎の首を引っ掴み、

「お前、さっきこの娘に腹パンしたろ? 」

 ボグゥッッ!

 腹パンどころじゃない、思い切り吹っ飛ばされ後方の建物の壁にめり込む。

「や、野郎~! この糞アマが~! 」

 輩共、よせばいいのにナイフやらよくわからない鈍器やらを取り出し、カーラに襲い掛からんとするが・・。カーラそれを無視しまくりフイリンの元に近寄りるのだった。

「ほら、大丈夫・・には見えないな・・」

 拾った眼鏡掛けてやり、(スタッフ)を返してやるのだった。そして手を引いて立たせてやる。

「うっううううっ・・カーラさん、私・・」

「オラ、死ねぃ! 」

 野郎、構わずナイフを繰り出してくる。が、カーラ、軽くかわし、ナイフを持った腕を掴んだかと思ったらすかさず、捻り上げるのだった。

「いっ、いて、痛ててて・・」

 思わずナイフを取り落とす野郎。残りの奴らは仲間を捨てて逃げて行ったようだ。

「なあ、フイリン、こいつどうする? このままぶち殺すか? 殺さないまでも手足落とすか? 舌抜くか? 耳か鼻削ぐか? 金玉潰すか? 」

 サディスティックな笑みを浮かべながら、指を舐めるカーラ。

「ひっ、ひい許してくださいい・・」

 途端に気弱になる野郎。いい気なものである。

「それとも・・改心するよう説得してみる? 」

 何やら以前と比べ言い方が優し気になっているような気がしないでもないが。

「? ・え? ・・うっっう、ぐすっ・・」

 まだべそかいているフイリン。

「うっ・・すん・・今の私ではとても人を説得して改心させることなんかできません・・」「人の心に響くような言葉を届けることなんかまだ未熟過ぎて・・」

「でも・・でも、命を取ったり傷つけるようなことはしないで欲しいです・・」

 カーラ、黙って聞いていたが、

「うん、わかった・・」

 そして、野郎を地べたにすっ転がし、尻に蹴り入れつつ、

「よかったな、あんな酷い事したのに許してくれるってよ、感謝しろ! 」

 しかし、考えてみれば一番酷いのはフイリンにこんな事やらせたカーラなのでは、という気がする・・。


 カーラ、フイリンに背を向け腰を下ろす。そして後ろを振り向き、

「ほら、負ぶされ」

「い、いえ、結構です。子供じゃないんですから」

 さすがにそれは恥ずかしく思う。

「それに、カーラさんの服が汚れてしまいます」

「うっさい、遠慮するんじゃない、素直に従え。誰も見てやしないから」

「そこまでおっしゃるのなら・・」

 あまり意地張ってもしょうがない、ここは素直に言う事聞いといた方がいいと思うフイリンであった。

 歩きながら背に負ったフイリンに語り掛ける。

「これで分かったろう? 世の中には他人の言葉など最初(ハナ)から聞く耳などない、通じない、己の欲望しか頭に無い相手も居るってことが」

「で、でも私、人を信じる心は失くしたくないですから・・」 

(案外意地っ張りだなあ、こいつ・・)口には出さず、歩むカーラ。

(そういえばフイリン(こいつ)最初に何か仕掛けようとしていたな・・一体何を? )

 (温かい背中だ)フイリンは思った。そう、まるで幼い頃、母の背に負ぶされていたのを思い出すような・・。

(・・カーラさん・・まるで女神アンジュエラ様のようだ、と言ったりしたら怒るかな・・? )

「フイリン」

 突然、呼ばれて驚く。

「あ!?は、はい? 何か? 」

「お前、なかなかいい尻しているな。触り心地が非常に気持ちいい」 

 さわさわと撫でてくるカーラ・・。

 憮然とするフイリン。

「・・降ろしてくれませんか・・? 」


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