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13話は受付まで。

 さて、到着したのは大分駅。目的地はそこに隣接する駅ビルーーアミュプラザ大分だ。開業した時は県内から人が殺到しすぎて全国紙にも載っていて驚いたものだ。

 大分県民としては非常に大きな商業施設に思えるが、全国的に見ればごく一般的な駅ビルなのだろう…と考えると少し悲しくなる。

 せめてそこそこ新しいのが長所というこということにしておこう。


「へぇ…初めて来ましたけど、そこそこの大きさですね」


「そりゃ都会と較べちゃうとね…。じゃあ私は紀伊国屋に行ってくるから。じゃあねっ」


 霖先生は颯爽と逃げようとしている。もちろん逃す俺ではない。


「『じゃあねっ』じゃないですよ。受付も手伝ってもらいますからね」


「えぇ…そんなの2人でなんとかなるでしょ…」


「1人はズブの素人でしょう。それにどれもこれも面倒がって説明してこなかった霖先生が悪いんですよ」


「そのズブの素人をスカウトしてきたのは誰かな?」


「そう誘導したのは誰でしたっけ?」


 霖先生との舌戦…もとい泥仕合を機子はオロオロしながら見ている。そうは言ってもこれくらいは日常茶飯事だし、慣れてもらうほかない。


「さ、さぁっ。早く会場に行きましょうっ。霖先生もこんなところで時間を浪費したくないはずですよ?」


「…うん、まぁ首藤ちゃんの言う通りなんだけどね」


「そうですよ。全く…誰が引率なんだか」


「私だってやりたくてやってるわけじゃーー」


「はいはい、そこまでですっ。会場は何処ですか?」


 どうやら機子をスカウトしたのは正解だったからしい。 俺と霖先生だけでは泥仕合の長期化の末の遅刻or不戦敗になりかねなかった。


「…映画館」


 どこか不満げに霖先生が呟く。仕切られるのが気にくわないのだろうか。


「えぇと…じゃああのエスカレーターに乗ればすぐですね」


 そう言うと機子はエスカレーターの方へ歩き出す。

 そういえば大分では駅以外でエスカレーターの片側を空けることはほぼないが、都会でもそうなのだろうか? ほとんど都会に出たことがないのでさっぱりだ。


「映画館って確かゲーセンの近くだったような…。あの辺あんま行かないからよくわからないな」


「社さん、ゲームとか興味なさそうですもんね…」


「ちなみに隣で合ってるよ」


 あれ? 霖先生は映画とかゲームだとかに興味ないと思っていたのだが…。


「何不思議そうな顔してるの? 場所なんてフロアマップとかチラッと見たら覚えるでしょ?」


 …はいはい、あなたはそういう人ですよ。

 そんなことを思いつつ映画館に到着した。

 そこはごくごく普通の映画館で、しいて異常を挙げるなら蚤の市開催のポスターがでかでかと貼られていることくらいか。


「ほらほら、あのお兄さんのとこが受付だよ。受付は2人で済ませといて。私はここで他にちょっとやることがあるから」


「予備知識ナシで出来ます?」


「出来るって言ってたから大丈夫だと思うよ。じゃあまた後でね」


 霖先生は今度こそ颯爽と何処かへ去っていった。きっと顧問の先生用の受付とかがあるんだろう。

 いくら何でもここでこのまま紀伊国屋に行ってしまうようなことはない…と信じたい。


「さぁ社さん、さっさと受付を済ませてしまいましょうっ」


「あぁ、そうだな」


 その時ふと嫌な予感がした。もしや霖先生が良からぬことを企んでいる、またはしているのか…それとも受付か。その両方出ないことを祈ろう。



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