46話『ガラスの孤城、割れどもそれも華と似る』
◇◇◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇◇◇◇
「……はぁ…」
脳が痛い…泣きすぎると頭が痛くなるわね。
少し落ち着いたけれど。
「ミチル。」
レイテルの声はするけど、全く姿が見えない。
「……えっ?レイテル?
何処から話しかけているの?」
鍵は閉められて行った筈だし、窓も閉まってる、何処から穴が開いてないことはにぃ様とあたしが遊んだ時に確認済み……
つまり……
「……チート…?」
「どうやってするのだそれ。
…あー、あーあの前に遊んだ糸電話の奴が椅子の裏にあるのだ。それを拾えなのだ。」
「嗚呼、紙コップの。
貴女が遊びたいって言った奴ね。」
「いやなんでこの世界に紙コップがあるのだ、見つけたら糸電話で遊びたくなる性分なのだ。」
「貴女って意外と子供よね。」
「通りゃんせも歌えるのだ。」
「渋……」
この感じ…流石にチートは無いわね。
だって一応は現実だし、今までそんなことは無かったもの。
……つまりこの糸電話から通話してんの!?えっ!?こわ!?
「いつの間にか、『模倣』した相手のスキルを使えるようになってたのだ。
だから今はアリスに模倣しながら話してるのだ。」
「あっ!うん…!えっへへ……。
……うーん、正直信じられない話だけど…『伝通』のスキル…ね。」
…つまり、レイテルはアリスの『スキル』を使うことで今あたしに話しかけているってこと?
……キャミエルの『模倣』は姿と声しか真似出来なかった筈だけど…
「……!もしかして、『スキル』が進化したのかしら。」
「スキルが進化?そんなの聞いたことが無いのだ。」
不思議な事もあるものね、まぁ一応は造ってた設定ではあったけど。
「このゲームの主人公は好感度次第でスキルが進化していく仕様、それと同じ類いでしょうね。
まぁ誰も彼も進化させたらインフレが加速しちゃうからゲームでは主人公限定だったけど。」
全く……待って!!レイテルだけズルくないかしら!!
何よコピーって!!あたしの【超記憶】が進化しても多分攻撃力一切無いわよ!?
「ミチル、お前。
ちょっとメタいのだ。」
ちょっとぐらいバフくれたって良いじゃない!だってこちとら一応はラスボスよ!!
……まぁ文句は言える立場ではないけど。
「もう!とっくに貴女も気付いてるでしょう?
…………あたしがこの物語を書いたってこと。」
多少メタくもなるわよ、だってあたしが世界観も、悲劇も喜劇も全てを設定したんだから。
「最低だ、って思ったかしら?」
誰に罵倒されようと仕方ないわ、私だって一種のカミサマなんだから。
「すげー、って思ったのだ。」
……これはどう返せば良いのかしら…?
「えーと、どうして…そう思ったの?」
「なんでミチルが困ってるのだ。
突然衝撃の真実を告げられて困りたいのは私なのだ。」
確かに...?でもそれにしては貴女淡白すぎない!?もっと衝撃の真実って感じを期待してたんだけど!!
「ミチルは、お前はいつも。
この世界の事話すとき死ぬ程楽しそうにするのだ。」
「そりゃあ楽しいわ、前世よりもすっごくね。
楽しくて、面白くて、胸が壊れてしまいそうなぐらい震えてる。」
楽しい、楽しくて仕方ない。
……キャラクターが苦しむ姿も、愛憎も、悲劇も、面白くて……
「普通の奴には覚えきれない量の設定を考えてて、伏線も何もかも、キャラクターの一欠片の感情も、世界の道筋も。
全部全部、語る時ミチルは一段と声を高くするし。」
それなのに、どうして。
こんなに羨ましいのでしょうね。
「…ええ、凄く…すっごくね。
でも、でもね。あたしそれと同じくらいこの物語が恨めしいの。」
あたしがこの物語をどれだけ愛しても、望んでも。
虚しいの、あたし自身をあたしみたいに愛してくれる人は何処にも居ない。
…あたしの『カミサマ』は何処にも居ない。
「……その時いつも、ミチルが。
一番人間らしくて好きなのだ。」
…その真実が虚しくて、寂しくて。
胸が張り裂けそうになるのに。
「…あーはいはい、あたしも大好きですよー」
「かっる。
流石にそこまで流されると恥ずいのだ。」
なに一つ、憎めない
「冗談照れ隠しよ、照れ隠し。
ありがとう、レイテル。」
「んなー。」
「ねぇレイテル、町の住民の様子は…どう?」
「…んなー!そういえばミチル、質問があるのだ。
さっき耳に入ったんだけどアズのスキルの【冥中】って無機物にも効くのだ?」
ん?冥中?…無機物…?
えっどういう話かしら!?
「んーっ?そりゃあ…無機物が死ぬことは無いもの。
効かないんじゃないかしら?」
さ、さすがに無機物は無理。
でも待って話の意図が見えな……
「なら、対処済みなのだ。」
「あっ!貴女まさか住民全員を人形に変える気!?」
えっ?!ええ!?
まさかのゴリ押し……!?……力こそ正義なのね!?
……これぞ本当に力技…?
「いやはや…まさか天下のミチル様はここまで計算されて……」
「急に持ち上げないでくれるかしら、少し心がヒュってなるわ。」
期待されるのは、圧が重いもの。
「知ってるのだ。」
「もう……こんな時に。」
…いえ、世界樹にはもう行けないもの。
レイテルに失望されるのは当然ね。
「でも、これだけは言えるのだ。」
はぁ、あたし。
意外とひ弱な性格してたのね、にぃ様以外に失望されるってだけでちょっとだけ、ほんのちょっと悲しいだなんて。
「ミチル、お前はすげー奴なのだ。」
「えっ?」
待って!!?そういえば貴女って何処に居るの!!??
◇◇◇◇◇…◇…「だからミチル!!行こうなのだッ!!!!!」…◇…!!!|パリーンッッッ!!
「ふぇ…っ!?!?!?えぇぇぇッッッ!?」
窓割って来やがったゴリ押しこの狸!!!!!!
なんなの今は力こそ正義なの!?
「世界樹侵略なのだ!!」
おまけ
【おい最初の頃とボケとツッコミ入れ替わってんぞ】
「可笑しいのだ!最初は私はボケだった筈なのだ!!!!
なのに…っ!なのにコイツらのせいで……!!!」
「あらあらレイテル?初対面の時にカプ厨云々言ってたのは誰だったかしら…♪?」
「ほぼ忘れられてんだよその設定ッッ!!!!」
「レイテルたん!僕はちゃんと覚えてますよ!」
「てめぇの前では言ってねぇだろ怖いのだッ!!!」
「ふふ、今日は一段と元気ねレイテル。」
「一旦感情を抑えるのだ。
とりあえず私もボケたいのだ、だからお前らツッコミに戻れなのだ。」
「ツッコミと言われても……僕は無意識で…」
「え~♪あたしはいつでもツッコミよ?」
「おまけの過去回見直してこいボケ。」
「はて…?♪」
「はぁ…とりあえずお前、ツッコめ。」
「えっ!僕ですかっ?」
「そうなのだ。」
「……」
「…………」
「あのっ!…どこにツッコめば…」
「たしかに。
今は何も無かったのだ、すまないのだ主人公。」
バキンっ。
「……?」
「ッッ大変レイテルっ!!!パスタを折ったら吹っ飛んだわ!!!」
「なんでこの状況でパスタ作ろうとしてんだこのロリ。」
「その…!…美味しそうですねッ!!」
「そこはツッコめ、主人公だろお前。」
(※まだパスタは完成してません。)
「まぁまぁ、でもこれもあたし達の素だから……ね?」
「……全く、お前ら最初からそんなに天然だったのだ?」
「…………あらあら」
「…えへへ…」
「…………」
「そしてミチル、何人分茹でてるのだ?」
「そこですか!?」
「食べる気ね!!??当たり前に食べる気なのねこの狸!?」




