45話『贖罪では払いきれない衝動』
◇◇◇◇◇◇◇主人公side◇◇◇◇◇◇◇
誰にも顔向け出来る顔なんてありません。
僕の記憶で塗り潰してしまったミツルくんも。
前世の両親にも、今世の両親にも。
前世の周りの人達にも、今世の周りの人達にも。
でも後悔はありません。
子供を庇って死んだ事も、勝手に物語を改編している事も、誰かを無意識に苦しめていた事も。
僕の前世は生き残ったあの子にあげました、そして今世はミツルくんに貰いました。
なら、死んでも頑張ってやりますよ。
僕の愛してる人達の為に。
ミツルくんの願いを叶える為に。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あっ……そういえば…母さんと戦ってる時に……
アズっていう子が居たような…」
「アズ!?アズ君を見たんですか!?」
……アズ君が、山を降りてきてる?
それってもしかして…!町の人達皆殺しにでもするつもりの可能性ある!?
いや少し早計か…いや…うん。
……でも…物語は早く進み過ぎているし…
「アズくんが…町を滅ぼしに…来てる…
可能性は拭えません…」
「……町を滅ぼすとは?
詳細を簡潔に述べなさい。」
ずっと不思議に思って来ました。
この世界は少し僕にとってこの世界は都合が良すぎましたから。
まるで本当の主人公のようだと、でも、それはきっと。
この物語が仕組まれていたから何じゃないでしょうか。
「アズ君には【冥中】っていうスキルがあるんです…
それも、無条件に望んだ相手を一瞬で殺せる…」
「…それで町の人達を…!?」
「それは根拠はありますか?まさか仮定の話だと?」
…信じられないことそれは分かってる。
何の根拠もない。ても、僕は心の底から……
「……確信なんてありませんよ。
ですが、シナリオはそう進んでいると…そう思ったんです。」
「でも…滅ぼすなんて……
…ここから町まで距離があるよ…?」
「いっ……!いえ!
方法はまだあります!!
……この本を使うんです……」
【テレポート】も【人形化】もあるなら。
…しかし、方法だけがあることは間違いを呼ぶ、知ってますよ。
何度も間違えてますから。
「町の人達を全員…【人形】にすれば良いんです…」
「……え?」
「…………あっ…勿論僕一人でやりますよ!
下手したら犯罪者どころじゃないですし!あっでもその場合ミツルくんの家の人も…っ!
あーっ!取り敢えずやりますっ!悪い予感がするんです!!」
正直僕の人生で一番狂ってることを言ってる自覚はあります。
でもそれで誰かを苦しませるくらいなら、町が無くなるくらいなら何でもやってやりますよっ…!
推しも居ますしっ!!
「いい加減にしてください。」
「あっすみません!勝手に騒いでしまって…」
「そうじゃありません。」
「…っ…僕の自分勝手だとは分かってます。
けれど、それで救えたかもと思った人が救えないのはっ嫌なんです!!」
……僕一人では完結出来ないかも知れなくても、それでも誰にも死んで欲しくなんてないんです。
いくら止められようとこの気持ちは変わりません。
「…ここに。
ここに居る……貴方の為に命を賭けたい人間を、見過ごさないで下さい。」
「……っ!…ぇ…」
「私は根拠を聞いたのです。
何時、私が貴方に『一人でやれ』と言ったのですか。」
「…う……うん…うん。
ボク…別にドラゴンだし…簡単には死なないし……!」
「!!えっ~えっー!!
二人ともっ~~っ!!!」
っ!もう好き…好き!!かわゆい!!!
僕の推しやっぱり全員かわゆい天使!!
……でもやっぱり…
「……本を読んだこのある私から言うと人形になった人間は死んで居ません。
魂を人形に込められた人間は【仮死状態】になる、それでその【命を取る】というスキルを防ごうという手筈ですか?」
「あっうん!!そうだよね!?
そう!!そうする!……
…協力してくれるの?」
「ならば協力しますよ。同情でも悪意でも無く。
私の秩序の為に。」
大切な人が危険な目に合うのは、良い気はしませんね。
「……正直、肯定したくは無いです。
…でもそれが君達の決断なら僕は全力をもって守ります。」
「全く、それは貴方もでしょう。」
「……あ」
…それでも、僕が皆から心配されてるのは。
ほんの少し良い気がします。
「……この場では私が一番魔術の本には長けていますから。」
「…ちょっとこわいけど…どうして慣れてるの?」
「アリスを蹴落とす人間にオイタを少々……」
「それって本当に少々ですか…!?」
……本当にこれで良いんでしょうか!?
でも…今は気にしてる場合では無いですしね……
「ならば、使いますよ。
足元にお気をつけ下さい!【テレポート】!!」
えっと!確か原作設定ではテレポートって行った事がある所らなら何処でも行けるんでしたよねってっっ!!!ぐらっと来ました!!ぐらっと来ました!!ジェットコースターを思い出しました!!
「うぅ…二回目だけど……この感覚……きもちわるい……」
「大丈夫?無理はしないで!
あとアリオンく……」
………あの遠くに見えるのって。
あれは……アリスちゃんの人形……?
「……最初にアリスを人間に戻しても良いでしょうか?」
「…う…うん!!
アリス…ボクを助けて人形になっちゃったから……」
「勿論!」
うんうん、やっぱりアリオンきゅんはアリスたんが大好きだね!!
……アリスたん…もっと仲良くなりたいし……
「アリス、おはようございます。」
「兄上。
……酷いです。」
…………ん?
「え?」
「僕様を置いてそんな奴を助けに行ってたんですか!?
ひどいですっ!こんなの裏切りです!!」
あっこれは。知ってます!!
二人の世界って奴ですね!!多分僕達会話に入れない。
「……大概アリスも重いね…」
「あの二人の湿度は高いですからね…」
そういえばアリオンきゅんアリスたんの事よりも先に僕の所来てたからなぁ。
うん、擁護は出来ない!!!
「兄上のことずっと待ってたのに!
ずっと待ってたのにこんな仕打ちですか!?もうっ嫌いですっ!この浮気ものっ!!」
「誤解ですッッ!!誤解ですアリス!!」
うん、うん……
まぁそうなるよアリオンきゅん……
「……本当に誤解?」
「アリオンくんは好きな子には嫉妬して欲しいタイプですからね…」
「駄目男…」
ごめん、ごめんね。
これは止められない。
あとフィルミアきゅんの目が死んでる。
「話の長い感性おじいちゃん!!!」
「それは今は関係無いでしょう!?」
色々溜まってたんだなぁ…アリスたん。
……まぁ何時間も話に付き合わされてたら…ね。
「ミツル、取り敢えず本の使い方教えとく。」
「!ありがとう、フィルミアくん!
あっ、カルミアくんの方がいいかな?」
「いや、別に……どっちでも…」
「なら慣れるまでフィルミアくんって呼ばせてもらうかな!」
本当はカルミアくんって呼んであげたいけど…カルミアくんって呼ぶのはレイテルたんであって欲しいからね!
取り敢えず……おあずけ!
「いつもいつも!!僕様を呼んだと思ったらその変な愚民と一緒に居るし!
剣の訓練の時に一緒に居てくれないしっ!!僕様が一番って嘘なんだろー!!!」
「いえアリスが一番です!!私の一番!!
私の最愛の妹!!私の秩序ですから!!」
「私の秩序…ってなんだよ!!
分かる言葉で話せ!!!」
確かに意味が分かりませんね!!
『私の秩序』って!!
「あれが俗に言う浮気がバレた夫?」
「あれが夫婦喧嘩って奴ですね!!フィルミアくんはあまり見ない方が良いタイプの。」
って浮気…!?浮気ですか!?…いったいどこからそんな言葉を覚えて…!?
「二人とも先にやらないといけないことがありますよ!!」
「あっ?なんだこの無礼者っ!」
……このままだとまた、彼に人を殺させてしまう。
それは、絶対駄目だ…だから!!
「……アリスちゃん。
…詳細は省きます。貴方は…僕に命を預けてくれますか?」
「……いや…無理!!……絶対無理だろ!
ほぼ初対面だぞ貴様と僕様!!」
「ですよね~。」
はい…分かってました。
関係値多分ゼロに近いですもんね!それで信じられるかって話ですもんね!
……でもちょっと最初の推しにそう言われるのはショックです…
「でも…僕様の命は兄上に預けるから。
…兄上がどうしてもって言うなら…貴様に従ってやらんこともない…」
「それってっ!!」
かわゆいです!かわゆい!!
アリスたんの貴重なツンデレシーン!関係値ゼロでこれが見れるなんて!生きてきて良かったですっ!
「…アリス…意外とツンデレ要素高いよね。」
「貴方何処でそんな言葉を覚えて来たのですか?あと私の可愛い妹はいつも世界の中心ですよ。」
「聞いてない。」
……でも、これで編成は決まりましたね。上々です!
「勘違いするなよっ!
そして兄上を取んな愚民!!」




