5話『主人公登場とか聞いてない!!』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あら。あそこ。」
なら何時もよりも元気良く挨拶してあげましょうか!
こういう『元気っ子』アピールは欠かしちゃいけないわね!
『陰気なブラコン妹』より『元気っ子なブラコン妹』の方が対処されにくいもの!!
知ってるわよ妹系は大好きだから!
「……ただ少し驚かせちゃおうかしら。」
……私がかくれんぼ苦手だと知っていて森でかくれんぼをしようなんて所業、到底許せるものではないわ……
そんな悪意を秘めながら飛び出たその瞬間、私の思考が真っ白になった。
「にぃ様!……えっ……」
「っミチル!?」
だってにぃ様と話していたのは。
『主人公』なんだから。
「……っ……」
……ああ、憎たらしい顔をしてるわね。
全くバタフライ効果かしら?
それとも~…転生者?
「その男の子、どうしたの?」
「えっと…」
……はぁめんどくさい。
「……貴族の息子さんがこんなところに訪れるなんて…此処等で事件でもあったのかしら?」
「…いえ事件なんてそんな…!
少し視察に来てたんですが、迷ってしまって、護衛の人が来るまで少しお邪魔させてもらっていいですか?」
「ふふ♪こんな所にわざわざ視察に来て下さるなんて、流石です♪」
…何処でも聞くような話ね。
原作は何もしてはくれなかったのに、今更そんな善行されても態様に困るわ。
……まぁそれも全て『睡蓮』の手の中なのだけど。
「……でも貴族様、こんな所に護衛が来るのは少し難しいと思いますわ。」
私達に会うための言い訳なのだろうけど…少し無理があるわよ。
引っ込みなさい現代人の愚か者が、こちとらラスボスだぞ。
「此処は深林に囲まれてますし…町に行くにも歩いて数刻半はかかるわ…
陽が暮れたら地盤も関係して帰れなくなる可能性も……!」
つまり一言で言うと…帰れ♡
「ミチル、此処からならすぐ…」
「ねぇにぃ様紙あるかしら♡」
でもそれを単刀直入に言うと、この…変人の疑いが向くもの。
それは私にとっても、にぃ様にとってもよろしくない。
一応は外面は良くしないと。
「……はい、これがこの森の地図。
と言っても簡素だけど♪」
…ふふ♡流石の私の画力、私ならこれで帰れる気しないわ♡
「えっ!大事にします!!
ありがとうございます!!」
でも綺麗に両手で抱えてるのは好きね。
まるで卒業証書を受け取る時みたい、元の家庭での育ちが良いのかしら。
「…ミチルたんからのプレゼント……」
凄い好感度がマイナスに振り切れたわ♡
どこがプレゼントだ、このガキ。
「……もう去って。
私は少し機嫌が悪いの。」
…『デレる私』なんて、想像もしたくないもの。
……ヤバい鳥肌立ってきた……
「…うん!また会ったら仲良くしようね!」
「断然拒否させて貰うわ♪」
お前にとっての可哀想な弱者になるなんて、生理的に拒否感が…
「……ねぇ、にぃ様。
私、少し体調が悪いみたい♪」
……あっ待って頂戴!
嘘の地図を渡してたら主人公もう排除出来てたじゃない!!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ねぇ、あの子、本当になんで来たのかしら?」
「……はは!ただの迷子だよ!
護衛の人もこの屋敷のこと知らなかったから、大丈夫だよ。」
迷子…はぁ『転生者』とか『成り代わり者』が良く使いそうな言葉ね!!
『睡蓮』の記憶の中の異世界小説の記憶は大分新しいわ。
「とりあえず、追い返すのは少し申し訳なかったわね。」
あそこでは断然拒否してたけれどよく考えたら、主人公と二人で対話、したくないけど出来るだけ主人公の情報を知っておきたい。
それにあの主人公が『原作改変』したいなら尚更早めに手を打ちたいわ。
「っ駄目だよ!もう!体調悪いってご飯も食べなかったのに何を言ってるの!」
「……あっそうねっごめんなさい!」
自覚が無かったわ……!
拒否感が強すぎて食事も喉を通らなかった…は流石に無理ね!
「……けれどもう『仮病』は使えないわね……」
確かに効果は抜群だけど。
だけど、それは私の存在を『弱く』してしまう。
「……?ミチル何か言ったの?、あっ夜ご飯何にしようか。食べれる?」
『下』が居るという自覚は、『責任』の意思を生み出し育ませる。
っていうのが私の創作の大体のセオリー♡
「ねぇにぃ様!明日二人で遊びに行かない!?」
「えぇ!?でもさっき……!!」
「あ~…うん!にぃ様が居れば大丈夫よ!多分!」
「信じられないよ!
忘れないで!僕は何時でも心配してるんだから!」
『下』を守る為なら、『下』の意見を聞くものなんて居ないでしょう?
「なら最初はその心配を取り払うのが目標ね!」
「もう!何を言ってるの!」
「にぃ様に守られてばかりなんて……幸せ過ぎて死んじゃいそうなんだもの……」
「えぇ!?」
こんなに心配してもらって少し嬉しいのは確かだけれど
「にぃ様!今日は私がご飯を用意するわね♪」
対等ではないと、上になることは出来ないもの。
「人間の生態って杜撰だね。にぃ様気取りが。」
おまけ!
【追い返されたミツルくん】
「……迷っちゃった…」
この地図…方向どっちだ?上?…下?
……分かんない!!まぁでも、この森に狂暴な生き物は居ないし、最近は外の空気を吸ってなかったからちょっと嬉しい。
……でも折角協力してもらったじぃやに申し訳ない!!
「……まぁお金渡したら大喜びで遊びに行ったけど……
あれで良かったのかな……」
『えっこんなにいいのですか!?坊っちゃまなら安心ですよ~!
坊っちゃまは激強いですから!』(年齢80手前の護衛兼執事さんのイメージ映像)
………うん!
うん!考えすぎても仕方ないし、もうすぐ陽が暮れるし、ここは。
「キャンプだね!!」
◇◇◇◇◇◇◇…◇◇……◇
「よし!出来た!」
前世でよく友達とキャンプ行ってて良かった!!
……まぁほとんど役に立てて無かったけど…!!
「食料は木に登って手に入れたし、火は暮れる前に太陽光で着けた!
レッツゴーキャンプ!」
…寝るところは木の下でいっか!!
あっ葉っぱ集めたらベットに出来る!!
「皆かわゆいし!最高!」
今度は焼きマシュマロしたい!!
「きゅーん。」
「……狸?!!」
ずんぐりむっくりしてる狸だぁ!かわゆい!
……、待って僕のバック漁ってるかわゆい。
待って僕に気付いて時が止まってる。
かわゆい……
でもバックは返して。
「狸って雑食だったよね?
これ食べる?」
そこで捕まえたカブトムシの幼虫!!
大きくてカッコいい!
「きゅい……!?……」
「あっまだ動いてるから怖いかな。
ならこっちの林檎食べる!?」
「きゅ……」
「あっちゃんと洗ったから安心してね!!」
カブトムシ!家で育てても楽しいからね!
「……きゅぃーん……」
間近で見てみたかったかわゆい!
……触りた……!絶対触っちゃ駄目だ!
異世界でも山の動物は触っちゃ駄目。
前世の友人からの警告だからね!!
(※野生動物への接触は感染症のリスクがあります。下手したら死にます。)
「でも、やっぱりこの世界の狸って何処にでも居るんだね!かわゆい!」
ゲームの中では二つ目の国から戦闘出来ない動物枠で何処でも駆け回ってたなぁ…寝てたら真後ろに行っても起きなくて……学校の中で先生の机の上に寝てたのがネタにされてた記憶が……
……あれ?
「……この地域に狸なんて居たっけ?」
「きゅっ……」
あっ!
「行っちゃった……」
◇◇◇◇◇同時刻◇◇◇◇◇◇
「坊っちゃまァァァァッッ!!!!
出てきて下さァァァァイイ!!!
坊っちゃまを置いてカジノに行っていたと知られれば私が解雇されてしまいますぅぅぅぅ!!!」(←カジノで無双&獣に無双してきた80手前の執事)




