40話『過ぎた愛は罪の果て』
◇◇◇◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇◇◇
「ミチルっ…
その……子って……」
「あっにぃ様!うーん取り敢えずこの部屋から出ないかしら?この部屋だと多分服が汚れちゃうから……」
洗濯しなきゃいけなくなっちゃうわ。
今は外に出ても良いのかしら?
「取り敢えずこの子も部屋の外に出しときましょうか。
汚れては無いけど、するなら埋葬してあげたいし。」
一応この物語のガチ勢らしいしね。
ファンならファンで嬉しいもの!
「よしっ!これで良いわ!
さぁ早速お話しましょうか!にぃ様!」
「ミチル…!
あの部屋…」
わー、遺体があるなんて聞いてないなぁー
ビックリしたなぁー!わぁいわぁい。
「別にどうでも良いわ。」
いやでも、ここまで物語が書き換えられているとは…いや違うわね。
強制力がある時点でこのシナリオはあたしが書いたものじゃない。
さぁだれのシナリオでしょうね?
「…それだけじゃ……無いでしょ」
「あたし、気にしてないわ。
だって私の為なんでしょう?」
でもそのシナリオで。
にぃ様の妹として、居れないのなら。
「にぃ様、あたしね。
にぃ様が望むなら、世界を壊しても良いわ。」
にぃ様に比べたらこの世界なんて取るに足らない。
「ミチル…僕…
ミチルとなら…っ」
あたしはね、良いと思うの。
騙して囲い込んだって、夢の中の幸福に漬け込まれたって。
それで本人が幸せならあたし凄く良いと思ってる。
でも違う……あたし、にぃ様の為なら。
「でも、もう私も隠し事はしない。」
これは救いなんかじゃない。
あたしにとってにぃ様が『世界を取るか』、『贖罪を取る』かの賭けで。
にぃ様はどちらを選んでも幸福な結末。
…あたしと世界、あの可愛いペットだって……全て愛しいチップ。
「この物語はあたしが作ったの。
にぃ様が世界を壊したいなら、最初にあたしを壊して。」
でもね。あたしは。
どうなろうと、どんな悲劇になろうと、拷問だって殺されたって構わない。
にぃ様にどれだけ振り回されたって、あたしが守るから!
「ミチル……?」
だからにぃ様、いつか……いつか
……『ミチルのお兄ちゃんじゃなかったら良かった』なんて、悲しい顔で言わないでね。
「ふふ、お気の毒ね。
にぃ様。」
まぁでも、もうどうでもいっか!
「こんな妹で!!」
忘れられないの。
睡蓮としての人生も、生き方も、愉悦も。
何も。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆主人公side◆◆◆◆◆◆◆◆◆
僕は一度も前世に戻りたいと思ったことはありません。
いえ!両親が嫌いだった訳では無いんです!
むしろ大好きでした!はい!!
でも、そうですね。
…僕は、自慢じゃ無いですけど何でも出来たんですよ。
勉強もスポーツも、料理も音楽だって。
全部全部、1日で出来ました。
「ゆうきくん凄いねぇ。」
だからですかね。
僕がいると皆一歩引くんですよ。
最初は不思議に思って増ましたけど、今は「そうですよね」と思います。
…僕と、比べられるのが嫌だったんですよね…
「ゆうにーたん、すごいね」
僕は人を愛してました。
過保護って言われるぐらいに!支えて上げたいし育ててあげたいって、思ってたんです。
本当に善意で、本当に愛しくて、役立てて欲しくて
「…兄貴には分からねぇよっ!!
…最初から何でも出来た兄貴には…」
劣等感を煽ってしまって、
「…嫌がらせは止めてよ。
馬鹿にしてるんでしょ…」
…傷付けてしまって
だから…何人なんでしょうね。
僕の【愛】を、【愛】として受け取ってくれた人は。
「結局は才能なんだよね。
良かったね。人に好かれる才能があって。」
誰かを愛しても、返ってくるのはいつも。
劣等感を抱いた言葉でした。
つまり最初から、誰も僕を対等なんて思って無かったんです。
触れたら壊れてしまう、そんなちっぽけな存在だと思われてたんです。
「…君は良いよね。
努力なんてしなくても、優秀だもんね。」
嗚呼、人間の事嫌いだなって思いました。
心の底から愛したんです、なのに誰も返してはくれなかった。
それが何よりも憎かった。
「ええ、努力なんてしたこと無いですよ。
お前らみたいな愛を掃いて捨てる努力なんてね。」
最後、僕は弟を虐めてた六人を病院送りにした後に学校に行くのを止めました。
家の中で、ただ見つけたゲームをクリアしては、また終わったと溜め息を付いて。
たまに元学校が同じだった友人に誘われてサバゲーとかキャンプとかは、行ってましたけど。
不祥事を起こした息子に両親は何も言いませんでした。
弟も…何も言いに来ませんでした。
「…新作ゲーム良いの無いかなぁ~。
出来れば一人でやれる、やり込み要素ある奴。」
そこで見つけたのが【満の月末】でした。
面白かったですよ、攻略も、メインストーリーも、戦闘も。
でもそうですね、一番好きなのは。
僕が知らない【愛の形】があった事です。
すれ違いという単純な構造で、簡単に関係は壊れてしまう。
でもそこには、互いに抱える【形】があった。
僕はそれを知りませんでした。
そんな簡単なことを今まで気付きもしなかった。
だから僕は、もう一度人間を知ってみようって思ったんです。
…そうして昼頃に弟妹のお弁当届けに行こうとして、小さな子供を庇って死にました。
後悔?してないですよ、だって後悔したらその子のこれからの人生を否定する事になります。
その子の…【未来】を否定する事になりますから。
命をかけて小さな子を守れたんです!
【勇気】を…貰えたんです!
……それで、良いじゃないですか。
「…………ふざけないでください!!!
この身体はミツルくんの身体でしょうがッッ!!!」
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