39話『報われないのも一つの愉悦』
◇◇◇◇◇◇レイテルside◇◇◇◇◇◇
「自分勝手な奴は…好きなのだ。
いつか自分が捨てられると分かってても…人間らしいなって…思えるから……」
でも……本当は可哀想で可愛いなんて、そんなお前みたいな構ってちゃんみたいな気持ち悪いメンヘラムーブは、大嫌いなのだ。
「でもお前みたいな愛されも、溺愛も、ソイツだけが愛されるなんて死ぬほど吐き気がするのだ。」
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子供の頃、私は何も出来なかったのだ。
「アンタなんて産まれてこなかったら良かった!!」
その癖に泣き虫で毎日両親を困らせていた。
殴られたりも怒鳴られたこともあるのだ。
「……アンタなんて死ねば良いのに。」
そんな言葉も聞いたことあるのだ。
でも、トラウマなんかじゃないのだ。
フラッシュバックだって起こったことないし。、過食症だって、体重が減少したことも、多重人格になりたくても、イマジナリーフレンドを作りたくて脳内で再生したって、全部全部なったこと無いのだ。
…でも、一つ確かだったことは普通にそんな両親のことが大好きだったのだ。
だから私の思う愛って奴は結局そういう奴なのだ。
傷つけられようと、怒られようと、簡単には嫌えない。
簡単には手放せない。
そんな、人間らしい愛。
それでいて、誰かが愛されていたら嫉妬して、誰かの可哀想される過去も大嫌いで、関係を自ら切って。
でも、推しカプの監禁とか、胸糞とか、可哀想な奴は大好きで。
……何処かそれを重ねていた被虐心も…どうしようもなくて。
他人の事を忘れて、遠巻きから心底自分を楽しんでたのだ。
「死にたいお前らより、生きたい私の人生が高等なのは当たり前なんだよ。
勝手に報われてろ底辺。」
人生の責任を押し付けてくるメンヘラも嫌い、創作で可哀想愛されしてるキャラクターも嫌い、自分の人生の可哀想に浸ってる奴も嫌い。
全員嫌い。
……だったのに、個人的に好きな奴もいたのだ。
「こいも~!ファミレス行こっ!」
「OK、300円で満腹チャレンジしよう。」
「私のポテト愛舐めないでね!!」
変なチャレンジに付き合ってくれる親友。
「おいお前、今日ゲーム出来る?」
「はい、行けたら行きます。」
それで実際に来る変な奴。
「ねぇ~!!こいもちゃん!
聞いて~!!彼氏が~!!」
「うんうん、それは彼氏が悪いね。
でっ内容は?」
「その前に通話しよ~…!!」
普通に青春してて見てて可愛い奴。
……自分に関わってくれる友達が、大好きだったのだ。
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…でも、もう居ないのだ。
置いてったのは私なのだ。
「…私はキャミエルなんかじゃないのだ。」
「っ…!!」
そうだったのだ。
何を馬鹿言ってたのだ、恥ずかしいのだ。
完全に構ってちゃんなのだ。
可哀想なんて気持ち悪いのだ、でも嫌いじゃないのだ。
この姿じゃ部が悪いのだ。
だってこの姿、狸で弱いのだ。
「『レイテル・柑橘』。
メリバ厨で…バトエンが好きなのだ。」
だから、少し姿を借りるのだ。『ミチル』。
お前スキル弱いのに、めっちゃつえーのだ。
「……それが本物の貴女なの?」
「そうなのだ、あとごめんなのだ。
お前のこと見くびってたのだ。」
だって面白いのだ。
押し入れに詰め込まれたように逃げ場が無くて、デスゲームのドラマを見るようにドキドキして、嫌われてる自己嫌悪に囲まれて…
加虐心が満たされて……すっごく気分が良くなって…すごく好きなのだ。
「…だから…私の為に。
私を後悔させてくれなのだ。」
きっと私は…苦痛は逃げ出したくなるのだ。
実際にその災禍に投げ込まれたら。
絶対に被害者ズラをするのだ、逃げ出そうとするのだ、けど。
「自業自得の可哀想が一番興奮するのだ!」
人の心の『加虐心』は『被虐心』と反比例なんてしないのだ、比例するのだ。
私がそのバットエンドの主人公なら。
怖くて、死にたくなくて、逃げ出したくて、そんな感情がぐちゃぐちゃになるのだ。
でもきっと代わりに。
「……面白いのだ!ちゃんと怖いのだ!」
被虐心、恐怖心、破滅願望が満たされるのだ。
全細胞が恐怖に震えて、心がぴょんぴょんって踊って、脳が幸せでいっぱいになる。
「それが…それがお前に愛なの?」
「愛してるから、愛して欲しいのだ!」
「……なら…なおさら死んで……」
「この身体でも容赦ねぇのだお前!!」
……ただ素のミチルの身体能力も『模倣』出来てるのは良いことなのだ。
素晴らしいのだ。
「っ絶対に逃がさないから……!」
「逃げようとしてないのだ、あくまでも時間稼ぎが目的なのだ。」
ミチルが満足するならそれで良いのだ。
でも死にかけるのは予想外だったのだ。
……まぁ冗談なのだ、死にかける以上に即死すると思ってたのだ。
「……ここで蹂躙されるのが役目なら、それでも良いのだ。
所詮は延命遊戯、そこに私は居ないのだ。」
空中に現れる鎌を避けながら森の中で姿を眩ませる。
……間にあってくれなのだ。
ミチル
「……ッ!!!」
頬に鎌かすったぁぁぁ!!!
殺す気なのだッ!!殺されるのだぁぁ……!!
でも…なんで……
「みぎ…!」
……避けれてるのだ…?
「ひだり……そのまま…!」
分かってる…訳じゃないのだ。
なのに……なんで……!
「あしもと……!!あっぶねぇのだ……!」
デジャブに感じるのだっ…?
『知ってる?♪デジャブって。
私達の記憶が造り出してるんだって♪』
「ちがう……っ!!!」
違う…のだ…!…これは。
『お前、狩り上手いのだ。
不意打ちが特に。』
「うしろ…」
木の棒を投げれば…アイツはスピードを落とす……
……ぜんぶ、全部
「チッ…!」
……思い出しただけなんだ…
……全身で…コイツの癖を
「……超…記憶……なのだ…?」
……
ミチル、お前。
こんな酷いスキルを持っていたのだ…?




