35話『感情表現ヒストリー』
◇◇◇◇◇◇フィルミアside◇◇◇◇◇◇◇
「おう!フィルミア!
僕様と居るのだからそんな暗い顔をするな!
不快だ!」
「あっ……ごめん。
こう?」
えっと……人間は表情で感情を伝える…
うん、覚えた。
「……やっぱり止めろ。
人から無理に気遣われる方が不快だ。」
「ちょっ……なにそれ……」
表情が悪かった…?
うぅ表情筋なんて気にしたこと無かったからやっぱり固いのかな……
「……僕様が兄上の会話に巻き込まれてる時の顔を思い出してみろ。
それが今の貴様だ。」
「…あぁ…確かに引き摺ってるね。」
それも結構……アリスとアリオン、仲は良いけど話の話題はちょっと…いや凄く合わないんだよね。
「兄上との話は嫌いでは無いが、あまりに話が長過ぎるのだ。」
「…それでも付き合ってるの、なんかちょっと……
アリオンと仲良しで…正直好き同士で羨ましい…かも…」
…それなのに…あの女と僕は。
「え?兄上のこと僕様は大大大嫌いだぞ?」
「……っ!?あれで!?」
ほぼ毎日二人で居るのに!?
アリオンの方は少なからずアリスのこと好きそうだけど……
「うーん、フィルミア。嫌いと好きって一緒に居るのに関係あると思うか?」
「…えぁ?…あるんじゃないの?…
だって…好きじゃないならどうして隣に居るの…?」
「ふっふっふ!
それはな!」
……もしかしてアリス…この状況楽しんでる?
…人間は他者に何かを教える時でも幸福感を感じるんだ…覚えておこう…
「心して聞け!僕様の従者よ!僕様が兄上と一緒に居るのはズバリ一緒に居るのが好きだからだ!」
「結局好きが関係してる…」
…今になって思うけど…アリスとアリオンの言うことって本当に信頼出来るのかな…
……嫌いじゃないけど……
「はは!愚かだなフィルミアよ!
一緒に居る事とソイツが好きかは違うだろ!」
「個人的に同じなんじゃないかな……
だってそれ憎くても…一緒に居たいってことでしょ……」
「……人の感情に、飾りは要らないからな。」
憎くても続く関係性なんて、すぐに握り潰したくなるのに。
嗚呼、そうだ、あの女の存在を知る人間全てを消せば良い。
手足を捥いで井戸にでも落とせば…
「覆水盆に返らず、それだけは覚えておけ。
フィルミア。」
「……え?」
…アリスからなんか頭良さそうな言葉が出てきたっ!!
「僕様は、何千回でも何万回だって。
愛してる。」
しかも意味聞ける空気じゃないっ!!
「おっあんな所に出店があるぞ!
買ってくる!!」
「あ……うん。
いってらっ!」
「貴様結構人間に染まっているな?」
でも、本当に…あの女…言ったような…
……人間の美しさを凝縮したような子……
「……馬鹿らしい…」
…でも……何でそんな簡単に許せるの…?
…綺麗だから…自分を苦しめた人を、復讐も何も出来ないなんて。
……お気の毒だね。
「フィルミア~!!!」
「僕は…」
そんな泣き寝入りなんて。
……出来ないよ…
「許せない」
「そうなのだ?お気の毒なのだ~。」
◇◇◇◇◇◇◇レイテルside◇◇◇◇◇◇◇
本に手を擦りつけて、文字を暗唱する。
そうするだけで眩しくて不快な光線が対象に向かって迫って…
「此処で流血沙汰とか本当洒落になんないんだけど!?」
一人の少女により剣で防がれた。
「ッアリス……!!」
くっ!原作ではバッファーなのに攻撃力がずば抜けて高い雌トラ!!
知ってるのだ!バッファーなのに高難易度の敵をワンパンで倒してたの!!バッファーなのに!動画で!!
その攻撃力原作レイテルにも分けてくれなのだ!!
「……はぁ、やっぱりお前ら強いのだ。」
偶然通りかかっただけ、原作、星四キャラクターが一人で何をしようだなんて。
やっぱり難しかったのだ。
「で、君は何なのさ。
多分、只者じゃないでしょ。」
「さぁ?ただのペットなのだ。」
魔術…ドラゴンを外したのだ。
ヤバいのだ、ヤっバいのだ!
まぁ、落ち着いて対処するのだ。
「それよりも、お前は自分の身体を見た方が良いんじゃ無いのだ?」
だって…術を切っても、もろに当たったのは。
変わらないのだ。
「……えっ…?……」
「…ッ…アリス!?」
正直、人形になる感覚が気になるのだ。
痛覚あるのだ?感触は?まぁでも。
「アリスっ!!?
アリスが…!…っが…!人形に……っ」
「不思議なことを言うのだ、お前が用意した本だろ?これ。」
ミチルの意のまま。
ペットとして暴れてやろうなのだ。
「……ゆるさない…っ…絶対……!
アリス……を……ボクの友達を…っ!」
「こちとら主人の命に従ってるだけのペットなのだ。」
それでも世界樹から産まれたこいつに…下手なことされたら、厄介なのだ。
「でも、良いのだ?
ここで戦ったら身動き取れないお仲間さんも巻き添えなのだ。」
「それも……そうだね。」
こっちとしても部外者が来るのは避けたいのだ、……下手に星五とかと絡みたくない……
…ん?…魔術書にあるこれは。
「【てれぽーと】…これで良いのだ?」
…ん…?場所変わらねぇのだ……
てっぁぁぁ!!視界がぐちゃっとなったのだぁ!!ッッ浮遊感…!??浮遊感がしたのだぁぁぁっ!!!
…………高所恐怖が響くのだ…うげぇ…
「森の中…ハンデなの?」
「森の動物はお前だけじゃないのだ。」
いやここ何処なのだ!?えっ!?
森って燃やされたら一貫の終わりじゃ……っ!先手撃って……
「ぁっ……!?」
あれっこんなところに段差ぁぁぁっ!?
頭打った!頭打った痛いのだぁ!!
「…お前……」
「…お前が言う通りの…真剣勝負なら…」
本っ!!!奪われたのだぁぁ!
えっ!?私死ぬ!?
「……この本は…使わないよ。
もうお前に…使う価値もないから。」
「……それはありがたいのだ。
……でも…価値を決めるのは、お前でも私でもなくミチルなのだ。」




