↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/56

32話『奪い奪われの創始統』

◇◇◇◇◇◇レイテルside◇◇◇◇◇◇


 何で、分かったか。

そう問われて言えるのは。


「……裏切りの花…」


その小さな墓に供えられたその花には。

 毒(・)が(・)あ(・)っ(・)た(・)か(・)ら(・)。

  それだけなのだ。


◇◇◇◇◇フィルミアside◇◇◇◇◇


「はぁ……お前は……この森を燃やしたのだ?」


「ああ…そうだよ!」


 分かりきった事を聞いて来ないでよ

お前がボクを置いてった癖に。


「全部!全部燃やした!

人間が火に溺れてく姿も!溶けていく様もね!!」


 ああもう!無関係な他人で居てくれれば、何も聞いて来なかったら楽だったのに


「…」


「それを脅しにでも使うつもり?脅しに使ったってボクを置いてった、お前の言う通りには絶対に動かないから

全部ちゃんと分かってるの!?」


 利用出来ないボクを見て、どうせお前も失望するんだろ


「……分かってるのだ。」


「…へぇ、ならどう言い訳するつもりなのさ

…近付かないで」


「近付かないと、お前の顔見えないのだ。」


 ボクが…この姿になってから…一回も近付かなかった癖に


「まともに見たことも無い顔にお前はよく興味を持つね。」


「……お前がドラゴンだった時。

頭を撫でた時のお前の甘い返事も、一緒に寝て夜を過ごした時の体温も、全部覚えてるのだ。」


 やっぱり、コイツもただの下等種族(モンスター)なんだね。

都合の良いことを必死に考えて、従えようとするだけの下等種族(モンスター)。


「それだけ?ならもう良いよね。」


 もう期待するだけ無駄だよね。


「……でも、お前その時と何も変わってないのだ。」


「はっ…変わったよ。

お前のせいでね。」


 すぐに減らず口も閉ざしてあげるから……

だから…!!!


「そういうのは、本を見てないで人の目を見て胸を張って言うのだ。」


「…ッ!!」


「ほら、ちゃんと顔を上げるのだ。

涙(・)が溢れたらいけないのだ。」


 ……悲しんでる…?

…ボクを…見て?


「服の切れ端ごときで…っ…!触んなッ!」


 ボクは許してなんか…!!


「……お前のこと…」


 ………

母さ


「今度はちゃんとお前を棄てるのだ。愛玩動物。」


「……!!」


  …………本当に、いい加減にしなよ。

 …………その無害な容姿で、その何も出来ない四肢で、久遠も生きれぬ心身で、贄にもならない臓器で、人間にも劣る心臓で、賭け皿にも出せない指先で、考えの足らぬ脳味噌で、濁りきった血液で、凶兆も察せぬ五感で、祭壇に並べない五臓六腑で、赦しも乞えない口舌で、拝せぬ腐りきった信仰心で、溝に欠けた生存倫理で

弱肉強食すら薄れた生存本能で。


よくも、ボクを見下げるのなら。

なら、ボクは。


「…どれだけ失望させれば気が済むの。下等生物如きが。」


 お前の心臓に厭世を刻んでやる。


「綺麗な本ね、忌々しい。」


「ッ!!」


 ガチャンッ


 そんな音を経てて、顔全体に何かがぶつかった。


「私のペットに手を出さないで欲しいのだけど。

駄犬風情が。」


 目が…イタイ…イタイ…イタイイタイ!!

人間なら死んでる癖に!

それなのにボクがドラゴンだからって物を投げて来るだなんて!


「ユル…サナイ……!」


「……それよりも…足元気を付けるのだ……」


 えっ…アレ…?

ボク……ボク……


「危ない!!フィルミアくんッッ!」


 …どうして……アカイ…の…?


アカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイアカイ


 炎が


「しっかりしてください!!」


 母さんも、ミツルも、全員、炎の中


「わぁお、流石火気厳禁ね。

このランプ。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 まさに対岸越しの火事だったのだ。


「ころしてやるッ…!絶対っ!!あかいっ!ダメなのに!!!お前らの……!!

お前らのせいでッッ!!しねっ!!ぜんいん……ッッ!!」


「フィルミアくん!落ち着いて!!」


 ミチルが投げたランタンに、フィルミアの炎がかすった。

それだけで炎が私達の周りを取り囲んだ。


「主人公もどきも来てたのだ……」


「行きましょうか、レイテル。

あの子のことはあの主人公に任せましょう?」


 錯乱するあのドラゴンを一目見て、ミチルは炎から逆へと歩く。


「ミチル…あのランタン……」


「……オイルランプ、ある意味有効活用出来て良かったわ。」


 急かすように手を繋がれて、引き寄せられるその手は子供と思えない程に強い。


「……なぁ…なのだ……」


 何も言えない、その中でミチルはいつもみたいな満面の笑みじゃなくて。


「…………不恰好な台詞を言ってもあっちには聞こえてないなら、色を付けてもしょうがないじゃない。」


 フィルミアが落とした本で顔を隠しながら、無害な小動物のように眉を潜めてそれ以上は何も言わなかった。


「……あ…」


「……それは?」


 ……地面に落ちた、私の。


「スマホなのだ。」


◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇


「昨日はちょっと危なかったわね。

レイテル。」


「……で、結局ミチルの言ってた小細工って何なのだ?」


 ……ええ、言わなきゃね。


「無数の彼岸花で編んだ籠の中に互いの髪を数本入れて、それが無事全焼するとその二人は永遠に一緒に居られるって伝説があった。」


 何も知らぬまま聖竜との縁が出来ると喜ばれて、参加させられたのでしょうね。


「……けど、失敗したのでしょうね。」


 ………


「フィルミアと村の子の儀式は失敗して、村の聖竜様と縁を結びたいと言う策略は失敗に終わった。

……それがどう言うことか分かるかしら?」


 ……これが意味することは、貴女が知りたいなら教えてあげることに決めているの。


「…分からないのだ…

…………でも続きも、聞きたいのだ…」


 ……そういうと思ったわ。

特に貴女は、身を焦がすことが好きだもの。


「ふふ、素直ね。

…………儀式が失敗したらそれは…ずっと一緒に居られない、それじゃあ聖竜様を繋ぎ止めて置けないということなの。」


 ……繋ぎ止めれないなら、要らない子…


「……!」


「だからその子は、村と聖竜様との縁を切った『忌み子』になった。」


 忌み子…ゲームの中では存在だけしていた子供、主人公に最終的に助けられるシナリオだった。

けど、フィルミアが訪れたことで……そうはならなかった。


「……言えるのは…それだけね。」


 …サブ任務として存在だけしていた儀式が現実で起こったのは、あまり気分が良くないわね。


「………」


「貴女は悪くないわ。

……ただフィルミアが産まれるのが早かっただけだもの。」


 ……『睡蓮』が用意しなかったら、起こらなかった結末……

………彼がただレイテルに釣られて来ただけなら…杞憂だったと言えてたのにね。


「……なぁミチル……本当に……

強制力だったのだ?…」


「あら?」


◇◇◇◇◇レイテルside◇◇◇◇◇◇


「……私のせいじゃないのだ?」


 ……知ってたのだ。

悲しい過去持ちだって、でも、それが私のせいなら。

どう…可哀想だって思えばいいのだ……?


「……」


「レイテル♪」


 目の前であんなに苦しまれても私は何も出来なかったのだ。


「れーてる?」


 …だからって、私に出来ることなんて無かったのだ。

気持ち悪くて、最低で、ああもうさっさと死んでたら…


「……このペット風情が♡」


「…何なのだお前。」


 さっきから煩いのだ。

待ってコイツ満面の笑みなのだ。


「責任を問うなら、私に問いなさい。」


 はぁ…?何を言ってるのだコイツ。

言うてミチル関係無いのだ。


「私はね性格が悪いの。

誰が不幸であっても良い、逆に誰が幸せであっても良いずっとそう思ってる。

でもやっぱり、目の前で気を病まれるのは気分が悪いから。」


 私はきっと前世から何も変わってないのだ。


「だから貴女が責任を感じるぐらいなら。

飼い主の私が取る。そして捨て置く。」


 『ごめん』そう言っても、私のごめんは責任なんて一つも背負うなんてしたこと無いのだ。

ただ、ただ怒られない為に言うだけだったのだ。


「そもそも、貴女に気を病まれてたらやりにくいのよね。

あれ、例えばゲームのランクで一緒に行ってる時に一喜一憂される時。

負けるだけで『ごめん』って何度も言われてる時みたい。こっちが病むわ。」


 責任なんて…取りたく無い。


「だから笑って、レイテル。」


 でも、その責任さえ取られたら私は。 


「誰だって人の不幸に興味無いんだから。」


 どういきて行けば良いのだ?


◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇


「ねぇレイテル、ついでにここに仕舞っておいた布の切れ端触った?」


「…………んな?私が触ってどんなメリットがあるのだ。」


 ……布の切れ端が無い。

あれにはフィルミアの涙が染みてたから、あれにそのまま火を付けようと思ってたのだけど……

でも私の部屋に出入り出来るのはレイテルとに(・)ぃ(・)様(・)だけ……


「……また少し、めんどくさい問題になったわね。」


おまけ


「……ぁ」


……コツンッ…

 

 あっ、ペン落ちちゃったわね。

現実世界なら機械で小説が簡単に書けるのに、紙は時間がかかるし…やっぱり嵩張るのよね。

……それに


「……汚い字…」


 この世界の人はこの紙に綺麗に大体書けるんだから凄いわね。

尊敬するわ。


「全く、ここだけは前世と変わらないわね。」


 潰れてて、斜めになってて、大きさもバラバラで。


「見てられないわね。」


 昔自分が書いた作品を見返すことなんて出来ない。

それは興味も無いと同じ、興味が無いなら何も思わないと同じ。

私は、あの光景に何を思っていたのかしら。


「ねぇ、レイテル。

貴女が羨ましいわ。字が綺麗だもの。」


 自分の名前さえ、綺麗に書けたことなんて無かったもの。

まぁ私、学校さえ我が儘で行ってなかったものね。差が開くのは当たり前よね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。