28話『加虐に滲む被虐』
◇◇◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇◇◇◇
「ミチル…そろそろこの森を離れて、別の所で暮らすことを考えてみない?」
…にぃ様からの提案!
滅多無いにぃ様からのお願い!
勿論主人公でも国王でも殺して…っ!!
ゲホッ…!ゲホッ…!取り敢えず落ち着きましょう私。
「別の所…?にぃ様が言うなら賛成したのだけど……一応理由を聞かせてくれるかしらにぃ様。
勿論、にぃ様の主観で♡」
にぃ様からの提案は嬉しいけれどここから遠くに離れてしまえば、簡単に世界樹にアクセスすることが出来なくなる。
デメリットが圧倒的に大きい…といってもにぃ様を監禁出来てしまえば主人公との距離を取れるメリットにはなるのだけど…最近思ったけどにぃ様と身体能力の差で監禁はほぼ無理かもしんない♡
「……最近、山火事が流行ってるんだって。
それも今までに無いぐらい。」
……あら。
「山…火事?」
ここは比較的に繋がれの土地の激差が大人しい土地。
灼熱の土地が繋がってるわけでも無いのに山火事多発している。
「それも一つじゃなくて…ここ最近ずっとそんな話が聞こえてきて……」
「それって去年よりもかしら?」
「……多分。
少なくとも…まともじゃない。」
去年の山火事はそこまで多くない。
汚い害虫の捨てた新聞紙をよく眺めてたのが懐かしいわ。
「だからミチルが危険な目にあって欲しくないから、遠くの町で安全に暮らしたいなって…どうかな?」
「……ええ、分かったにぃ様♪
でもすぐには無理だから、数週間待ってくれるかしら?」
にぃ様のお願いでも私はここをすぐには動きたくない。
世界樹を壊すためにね。
「うん、ごめんね。
ミチっ……」
けれど、やっぱり…
「……山火事…ね。
ふふ。」
やっぱりにぃ様は私にたくさんの事をくれるわね。
私も…頑張らなくちゃ。
「……ミチル。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
んー♪
あれから私だけで調べてみたりもしたけど
「ねぇレイテル。
山火事が流行ってるんだってね。」
「んなー?
それがどうかしたのだ?」
にぃ様から聞いた山火事、やっぱりゆっくりとリラックスしてみるものね。
思わぬ収穫だわ。
「それも一週間以上燃え盛る程の炎。
怖いの、この森が燃えちゃったら私達は一溜りもないわ…♪」
「お前怖くねぇーだろとはツッコマないのだ。
……一週間も…。?」
「貴女も恐ろしいと思わない?♪」
全てを消し炭にする感情の無い怪物。
人間では扱い切れない領域、それはきっと。
紙切れさえも。
「……ねぇ。もしも。」
最近の山火事、強制力と関連を付けるは少し早計かしらね?
でも、やり直しは効くもの。
「単純に世界樹を燃やしてしまえば良いと思わない?」
「……んなー。」
言ってしまえば、あれはただの木だもの。
そこにある違いと言えば、特殊な炎じゃないと燃えないってだけ。
なら、特殊な炎とやらを持ってこれば良いじゃない。
「…また、エグいことを考えるのだ。
それで世界が壊れたりしたら、私達も危険じゃないのだ?」
レイテル、やっぱり貴女は……否定はしないのね♪
貴女らしいわ。
「……『残留構造』って知ってるかしら?
世界樹が消えても世界樹の型として残ったこの世界はすぐには壊れない。
それこそ、1000年、いえ500年はね。」
「……でもそれ…何百年も経った時も影響とか。
世界が壊れるとか、…大災害にならないのだ…?」
……300年頃から型がひっそりと崩れ始めて…災害が起こり始めて…400年を越えた後から世界の構造が壊れ始める。
そして500年後には型が崩れ落ちて、生物は全て死に絶える…なんてね♪
「あら、随分と可愛いことを言うのね♪
ふふ、どうしたの?情が湧いちゃった?」
「……んなー、否定しても肯定してもダサいのだ。
ノーコメント。」
狂人ぶって意外と常人の思考してるところ。
貴女の魅力よ、レイテル。
でもね。
「……このグラス。」
「綺麗な赤色でしょう?
ふふ、カッコつけるなら朱色と呼ぶべきかしら。」
ここに注いだ赤い液体のように、意外と自己って甘く溶けやすいものだと思うの。
「人間の寿命は精々100年、貴女は200年かもだけど。」
きっと貴女は今、人を見捨てる程自分に酔ってないだけ。
何もかも楽しくなって幸せになって愉悦に酔えば、貴女は切り離せる。
まるでケーキの形を整えるように切り落とせる。
「そうなれば、貴女達は死んでる。
理想を叶えて人間らしく幸せに囲まれて、私達に不利益なことは無い。」
それってとても素敵な事でしょう?
そんな未来のことを手放してまで。
「遠い未来のことを気にして手を止めるには、あまりにもちっぽけなことじゃないかしら?」
貴女の人生を泥に捨てたいの?
「……ミチル、ある意味才能なのだ。
でもノーコメントなのだ。」
「共感するのも、否定するのもダサいから?」
レイテル貴女はとても可愛い。
無害で、愚かで、それでいて強情な加虐性に煽る被虐心。
「…っあはは!負けなのだ。
はぁっ…私はミチルのこと結構好きなのだ。
……あっま…」
…獲物としてまさに上等な。
「ええ、私も。
貴女のこと好きよ。」
可愛い私のペットだもの。
「……んな?」
◇◇◇◇◇◇アズside◇◇◇◇◇◇◇◇
【もうすぐ月が満ちる日】
「……」
【ミチルは世界樹のことを知っていた】
「……」
【ミチルは世界樹の場所を知っていた】
「…」
【僕は分かってる。】
「…………っ」
【ミチルにとって、最善のこと。】
「ごめん……ごめんね……」
【それはきっと……】
「……ミチル…」
【ミチルが僕の妹として、産まれてこないこと。】
おまけ。
【グラスの正体】
「でっこの液体酒じゃないのだ?
年齢制限大丈夫なのだ?」
「ブドウジュース♡」
「ちゃんと配慮済みだったのだ。
……あっまいのだ。」
「たまに一口だけ欲しくなる味をしてるわね。
半年に一回。」
「ていうか何処で手に入れたのだこれ。」
「売ってた♡」
「……ブドウジュースは…
流石に異世界にもあるか…」
「ついでにレイテル、貴女はブドウはジュース派?そのまま派?」
「んなー…苺派なのだ。
ミチルは?」
「じゃがバタ派♡」
「フルーツの枠からも出やがったのだコイツ。」
「残りいる?」
「個人的に衛生面気にするのだ。」




