25話『開演後の八百数字!』
◇◇◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇◇
「うぇー…死にかけたのだ。」
「お疲れ様、案外良い子にしてたわね。」
鳥の姿も結構好きだったのだけど…やっぱり狸の姿が一番好きね。
「見てたのだ?」
「ええ、がら空きの窓から。」
随分と激しく惹かれる姿を見せてくれたわね。
もう一度見れるなら最初から見てみたいわ。
「それ……バレてないのだ?」
「まさか、誰がキャラクターの名場面に背景を気にするの?」
それに踞っている子供と優しい主人公が、目の前の巨悪を見ずに私を見つけるなんて…
それこそギャグだわ。
「なら良いのだ。」
「ふふ、じゃあ一番カッコいい場面の主人公に問うわね。
どうして貴方あのドラゴンを殺さなかったの?」
貴方が初めて表舞台に立つなんて…飼い主感動しちゃったわ。
……なんてね。
「んなー、分からないのだ。」
◇◇◇◇◇レイテルside◇◇◇◇◇◇
「あら?貴女の事なのに?」
「……あのドラゴンに銃を向けた時思ったのは。
責任は取りたくないなだけだったのだ。」
可哀想とかじゃない、殺したくないとかでもない。
ただ、メリットとデメリットを比べたらこうなっただけ。
「あの主人公、懐柔してきてたけどガチギレしてたのだ。」
理性で抑えても握り締めた拳から血が溢れだしてたのだ。少なくともあの時ドラゴンを殺していたらその拳は絶対私に向けられていたのだ。
「人を殺す、責任を負うってことで。
それが凄くめんどくさかったのだ。」
恨まれることも殺されることも覚悟しないといけなくなるのだ。
……めっちゃめんどいのだそんなの。
「あはは!貴女って意外と綺麗なことを考えるわね。」
「何がなのだ?
彼処で殺したらあの主人公モドキに追われる。
なら生かして置いてドラゴンにだけトラウマにさせといた方が追われないのだ。」
「あらあら…確かに。
ふふ!いい性格してるのね、貴女。」
…そうやって。
「今ならそう、言い訳出来るのだ。」
「えっ?あぁ…ふふっ!」
後付けは出来るのだ。
どれだけでも。
「分からないのだ。」
「…分からない?」
「どれだけ言い訳しようと、分からないのだ。」
『殺そうと思ったけど殺せなかった、』
『殺そうとして無かった。』どっちも正しかった。
けど私は、その瞬間どう考えたのかを。
「忘れたのだ。」
理性かもしれない。
倫理観かもしれない。
はたまた情だったのかもしれない。
でもそれって関係あるのだ?
「結局覚えてない。
私は分からないのだ。
あのドラゴンを生かした訳も、殺そうとした訳も。」
「まぁ!まるで哲学者のようなことを言うのね。」
「けどまぁ。
少なくともあのドラゴンへの愛情ではないのだ。」
「そこは断言するのね?あっはは♡
可哀想なフィルミア……」
……ただ感情論は嫌いじゃないのだ。
「にやけ顔が隠せてないのだミチル。」
無責任を正当化するのにすごく丁度いいのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇おまけ◇
【ミツルくんへの感情を言葉にしてみて!】
「大大大嫌い♡」
「単純に善意でもこっちを攻略しようとして来てるのは…胸が詰まるのだ。」
「あらら♡そんなこと思ってたの?レイテル♡」
「ミチルの即答の大大大嫌いよりマシなのだ。」
「えぇ?♪
大大大嫌いも好きの内よ?あは♪」
「…えっミチルあの主人公もどき好きなのだ!?」
「害したい…苦しめたい……それはある意味で感情が向いてるということ。」
「ついでに攻略されかけたら……」
「死なすぞクソガキ」
「圧倒的殺意。」
「ふっふふ…愛憎もまだ愛の内、まぁハッピーエンドは程遠いけれどそれもまた美しいじゃない、ふっあはは」
「でも言うてお前そこまであの主人公もどきに感情向けてねぇのだ。」
「少なくとも無関心よりはねふふ、あははは。」
「大丈夫なのだ……?さっきからずっと笑って…
…ハッ…コイツ…病んでる!!」
「いえ気圧の変化で喉がむず痒いだけよ。」(←木の中の高いところから谷の底に行った直後)
「草」




