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18話『豚汁に突き刺さるスプーン』

◆◆◆◆◆レイテルside◆◆◆◆◆


 それはキャミエルに成り代わった初日。

森の中で目が覚めたのだ。

それは偶然だったのか、必然だったのかは分からないのだ。

でも


「いてっ…何かあったのだ……

んなー?卵なのだ?」


 …地面に転がっていたそれは…普通じゃなかったのだ。

黒色の大きな卵…知らず蹴った時から…卵にヒビが入った瞬間から…炎が中から流れ出して来て…たのだ。

…それを見た瞬間ある言葉が浮かんだのだ。


『触らぬ神に、祟りなし』


 それを見た瞬間、息が吐けない程、足が動かない程、精神に重くのし掛かる負荷を感じた私は視線で、指で、すぐに逃げ出そうとしたのだ。

……漫画で見るような化物を使役しようとか…チートゲットとか……そんなことは思わなかったのだ。

…化物、自分よりも何倍も違う、見たことの無い生物。

どういう生態系かも分からない。

…一番最初に…死ぬかもと思ったのだ。

でも…離れようとした時。


「……っ!」


 卵が一瞬で割れて…炎の中の生き物が睨んでいたのだ。

黒色の鱗、黒炎のように消えた殻、殺意の籠った目。

…それは…正真正銘のドラゴンだったのだ。


ガルルッ……!


 みたいな感じで牙を向けて、翼が炎を煽って、草花を燃やた。

……これでも私…草属性なのになのだ。


「……っ」


 ……逃げようとは思わなかったのだ。

私は脚が遅いのだ、確かスコアは……100m走は12秒…絶望的に遅いのが一目で分かるのだ。

逃げ切れる訳無い、すぐに消し炭にされて終わり。

だから…脳が咄嗟に変な処理したのだ。


「大丈夫なのだ。怖くないのだ。

……私はお前のお母さんなのだ。」


 炎を纏った熱い熱いドラゴンを抱き締めて、いーこいーこって撫でてやったのだ。

…『安心感(お母さん)』は、感情のある生き物なら誰もが弱いって……思ってたから……


「……大丈夫なのだ。」


 数十秒すれば、炎は収まってドラゴンが頭を此方に押し付けて来たのだ。

……そうして無事に、私は初日を生き延びたのだ。


 それがアイツとの出会いなのだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「クソゲーだったのだ。」


「よく生き延びたわね…それ。

あと貴女意外と賢い?」


「赤点ギリギリ委員会部長なのだ。」


「…今の言葉を撤回するわ。」


 でもまぁ、まだあるのだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 最初の頃はここが『満の月末』だとは理解してなかったのだ。

森の中だったし、何より森の中じゃ自分の姿を見る機会が無かったのだ。


 それで……


 それからは……まぁ有効活用させてもらったのだ。

ドラゴンの翼に乗って木の実を取ったり、狩りと称して獣を狩らせたり、夜の森は寒いから暖かい体温も、吐く炎で獣を焼いたりとか…結構、使えたのだ。


「お前、優秀なのだ。

結構好きなのだ。」


 そう言って話しかけたり、撫でたりして毎日を少したのだ。

……そのままでも…少し良いと思ってたのだ

…けど……


「母…さん……っ!

見て…っ!ボク…」


 ある月が出てた夜、眠っている所を起こして来たのは。

アイツだったのだ。


「人間に…なれたよ……!」


 驚いたのだ。

……人間になるなんて…


「…フィルミア…」


 …そこで初めて、ここが『満の月末』だということに気付いたのだ。


「ずっと…母さんに…大好き…って伝えたかったんだ……!」


……話を戻すのだ。

あっ、その前に言っとくと私は凄く性格が悪いのだ。

愛せよって言われるのも分かる、クズって言われるのも分かる。

でも、だからこそ。


 …だから…私はアイツのことを見て…最悪の感情になったのだ。


「…分かってるのだ……」


 可哀想な過去って感じで、保護されなくてはいけない子供って感じで、皆から可愛い可愛いされて、いーこいーこって撫でられてる都合の良い現実。

…そんな奴が、どうしようもなく気持ち悪かったのだ。


「…これだから『可哀想』は嫌いなのだ……」


 そして何時からか

私に笑いかける姿に深く嫉妬して、私を心配する姿に嫌悪感を抱いて。

大好きという言葉に殺意を抱いて。


可愛がれなくなったのだ。


「気持ち悪い…吐き気がするのだ。」


 何の感情も知らずに『可哀想』してる外野も、『可愛い』してる外野も、死ぬ程気持ち悪い。


でも……一番は。


『救われると分かってる奴を、救いたくなんて無い。

救われたくもない。』


「…帰ってくるまで…ここで待ってるのだ。

大丈夫なのだ。多分…戻ってくるのだ。」


 別に、どう見られてもいい。

ただ、私の悪意を受け止めてくれれば良い。

……結局は他人事だから。


「結局今更、遅いのだ。」


あと実年齢16歳の高校生に育てさすななのだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……皆に愛されて同情される可(・)哀(・)想(・)が嫌いだったからなのだ……」


「なるほど……ん?待って貴女実年齢16歳よね!?」


「なのだ。

ついでに原作レイテルのセリフで好きだったのは豚汁作ってた時の『何故根菜の密度でスプーンが立つ……?』なのだ。」


「…それ多分二次創作…」


「なのだ…?」


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