19話『同じ釜の狢、けれど上等』
◇◇◇◇◇ミチルside◇◇◇◇◇◇
「あの後、フィルミアは結局主人公の家に居候することになったけれど。
良かったの?レイテル♪」
「逆に家の中に他者を侵入させて良いのだ?ミチル。」
「んー良いわけないでしょう。
他者…しかもあのドラゴンは貴方に御執心。
まともな結果には到底ならないわ。」
にぃ様とのいちゃいちゃも出来なくなっちゃうもの。
「それでなのだ。ミチル。」
「ええ、というか貴方が私のことをミチルと呼ぶのは初めてじゃないかしら?」
いつもお前呼びだったものね。
「それでなのだミチル。
なんで私達は海に居るのだ?」
「世界樹探索♪と言ったところかしら?」
この世界の全ては『世界樹』の根…つまりシステムの根幹で繋がっている。
ただ、世界樹の根が露出することは滅多にない。
……そう原作でも。
「原作ではミチル達の策略により世界樹の根が露出したけど…今回はそうやってしまったら主人公にすぐにバレちゃうもの。
ひっそりと世界樹の根と接触するしかないわ。」
「んなー情報量が多いのだ。」
「簡単に言えば海の底に根があるかもって話よ♪」
「!?つまり深海に潜るのだ!?」
「ものは試しね!レイテル!!」
「嫌なのだぁぁぁぁ!!!」
そして入ったのだけど……
「死にかけたわ……
やっぱり生身は駄目ね…」
「ミチル…お前馬鹿なのだ……?
ヤバい海水が耳に入ったのだ……」
てっきりレイテルが模倣で魚に変身すれば行けるかな…と甘く見てたわ……
次!!
「……帰ろうなのだ。
高所は流石に駄目なのだ。」
「貴女は鳥に模倣すれば良いじゃない。
私の方が酷よ♪」
断崖絶壁の谷、わんちゃんこの下に露出した世界樹の根があるかもと思ったけれど……
「嫌なのだぁ!!嫌なのだ!!
高所恐怖症!!高所恐怖症!!」
「もう!そんなこと言ってないで!っ行くわよ!にぃ様を家で待たせてるんだから!」
数十メートルを下ったところで天候が急変したから結局下りきれず。
まぁレイテルがグズったのもあるけど私が連れてきたんだし文句は言えないわ。
「というかなんで連れてきたのだ…」
「話し相手が欲しかったから…じゃ駄目かしら?」
あまり人と話したことないから話せるのが嬉しいのかもね。
「にしても…ここは肉食動物が少ないのだ。」
…初めて見た森の中だけど。
野犬も熊も猪も居ない。
「世界樹のエネルギーが満ちる所には殺傷をする肉食動物は増えない傾向にある。」
「んなー?それって食物連鎖ってどうなってるのだ?」
という裏設定があった筈。
「さぁ、でも確か同時に自然と小動物は外に出ていく傾向もあるらしいわ♪」
…ふふ、まともな者を産まないこの森のこと、不思議と感じ取ってるのかしらね。
……ていうか今更だけどこの子。
「レイテル、貴方武器は持ってるの??」
「弾無し銃なら太もものベルトに……」
「どうして弾も無いに着けているの!?」
「初期装備なのだ。」
確かに原作のキャミエルもガーターベルトに銃セットしてたけど……でもそれって普通に弾は自動で……
あと普通に種類も変えれた筈…
まぁ……レイテルだし……
「聞きたいことがあるのだ。」
ん?
「ミチルは…私がどうして裏切らないと思ってるのだ?」
突然何を言っているのかしらこの子。
「?裏切れないでしょう?貴女は。」
身分もない、食事も取れない、友人もいない、それなのにどうやって離れるつもりなのかしらこの子。
「んなー、お金とか主人公との友情とか……裏切る要因は沢山あるのだ。」
んー、レイテルが裏切る……。
うーんこの子がねぇ…ちょっと現実味無いわね。
「そもそもとして、貴女は模倣して物を盗めるのにどうしてお金が必要なの?
それに友情は、貴女所詮他人事だから裏切れる思考回路してるじゃない。」
この子…元々盗みに躊躇する程の善性持ってないし…持ってたらそもそも善人ならフィルミアを捨ててないもの……
「…正論なのだ……
なら私がお金で裏切ると仮定したらどうなるのだ?」
…んー…有り得ないもしも、だとは思っているけれど…
そうなるなら…そうなっても……
「…それでも良いと思ってるわ。」
誰であろうと、この結論は揺らがないわ。
「私、良いと思うの。」
家族だって、親友だって、所詮は他人で私じゃないことには変わらないのは分かっているから。
「お金で変わっちゃうぐらいの愛情なら、たった一つのきっかけで愛が欲に変わるぐらいの愛なら。」
そんな愛だって良いと思う、けれど。
「首を絞めて、爪を剥いで、水の中に沈めたって、悪夢の中に閉じ込めたって」
ぺらぺらの感情のぶつけ合いなら、相手に一方的にぶつけたって、壊したって。
「許されなくても良いと思うの。」
私も、貴女も。
特に貴女は同じ釜の狢でも。
「…ある意味、すげーのだ。
でも死にたくないのだ。」
何もかもが弱すぎるもの
「んな?ミチルそれ。
弾入ってないのだ。」
「ええ、でも見かけ騙しもいいもの♪」
おまけ
【アズとアリスの友達事情】
「アリスさんはミチルとどうして仲良くなったんですか?
あの…失礼ながらサンザシの髪飾りを頂いただけじゃ……」
「……贈り物をしたら…友達じゃないのか…?」
「!?」
『でっ、報酬は何かしら?』
………………
…………
……あの状況が……?
「だって…兄上がそう言ってたから……」
僕が言うのもだけど結構ミチル無礼者だったけど、けどそんなミチルもかわいい良い子。
「でも…ミチルは……」
「……兄上…こう言ったんだ…」
『ふふ。それはもうお友達ですね。
アリスにお友達が出来ていたなんて本当に嬉しいと思っておりますよ。
わ た し のアリス。』
……重くない…?そのお兄さん…重くない?
僕とミチルの10倍くらい重力が無い?
「それは……それはね!多分」
「……兄上に自慢出来るって…思ってたのに……」
駄目だ…絆されたら、それはこの子の成長には繋がらないしミチルが知らない間に友達が…
ん?ミチルに友達?
「……友達じゃないかな!!間違いないね!!」
ミチルに友達が出来るなんてっ!!!
こんな嬉しい事があるんだっ!
【アズは紳士である】




